アストンマーチン新型ヴァンキッシュS 至高のV12は王者の証
アストンマーチン・ヴァンキッシュはハイエンドモデルとして、同社のラインナップに長らく君臨してきました。
このヴァンキッシュはDB9をベースとしたモデルです。そのDB9が、新型プラットフォームのDB11に置き換えられたことで、ヴァンキッシュも近いうちにDB11ベースに切り替わると噂されてきました。
しかしアストンマーチンが出した答えは、DB9ベースのヴァンキッシュにさらなるチューニングを施して「ヴァンキッシュS」とし、2018年まで存続させるというプランだったのです。
画像の出典: caranddriver.com
なぜヴァンキッシュはマイナーチェンジに留まったのか?
アストンマーチンは年間販売台数7000台とする野心的な計画を立てています。(2015年の実績は4000台程度)
その主役となるのが、同社初のSUV「DBX」です。
DBXだけで3000台を売り上げようとしているのですから、DBXに対する同社の期待のほどが窺えます。
このDBXに加え、新型ヴァンテージやDB11ヴォランテの登場も控えているため、アストンマーチンの開発リソースには全く余裕がないはずです。
よってDB9ベースのヴァンキッシュをマイナーチェンジして、2018年まで延命させるしかなかったのでしょう。
2017年後半には新型ヴァンテージ(DB11ベース)が登場予定なので、2018年には完全な新型ヴァンキッシュがお目見えするはずです。
ヴァンキッシュSの変更点
基本的な部分は以前のヴァンキッシュと同じですが、細部にはかなり手が加えられています。
エクステリア
空力面では、フロントスプリッターの最適化が図られたことで、240km/hで走行している際のフロントアクスルのリフト量が、66kgから18kgに減少しています。
インテリア
独特な質感を見せるセンターコンソールは、「サテン・チョップド・カーボンファイバー」とよばれるパネルで加飾されています。
シートや天井に用いられているのは、ブリッジ・オブ・ウィアー社のレザーを用いた「フィログラフ・キルト・レザー」です。
サスペンション
もっとも大きく変化したのはサスペンション周りです。
スプリングレートは10%引き上げられ、リアスタビライザーの剛性も3%向上、リアのトーも増やされています。
ショックアブソーバーの「ビルシュタイン・アダプティブ・ダンパー」は、ダンパー本体とともにソフトウェアもリチューンされました。
チーフエンジニアによると、ヴァンキッシュはリバンプ(伸び側)の減衰力が強すぎたのに対し、ヴァンキッシュSはバンプ/リバンプのバランスが改善されたそうです。
油圧式パワーステアリングもチューニングされ、レスポンスが増しています。
しかしDB11は電動パワーステアリングなので、ヴァンキッシュSにアドバンテージは無いかもしれません。
エンジン
ヴァンキッシュSの6.0リッター・V12は、トルクこそ630Nmのまま変わらずですが、パワーは600ps(ヴァンキッシュ比+27ps)までアップしています。レブリミットは7000rpm(同+350rpm)です。
トランスミッションは8速セミオートマチックの「タッチトロニックⅢ」が継続使用されているものの、よりシャープな変速フィールに変更されました。
シフトスピードそのものは変わっていないそうですが、スポーティーな感覚を強めたようです。
ちなみにアストンマーチンのトランスミッションは、シフトスピードこそフェラーリに及ばないものの、スムーズさでは跳ね馬を圧倒していると評価されています。
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