スバルが2018年にPHEVを、2021年にはEVを発売すると明言!

テクノロジー・業界分析,批評

これまでプラグインハイブリッド(PHEV)や、電気自動車(EV)に参入していなかったスバルが、ついにパワートレインの電動化に乗り出すようです。
スバルの吉永社長は、2018年、つまり来年にはPHEVを発売すると明言しました。
2021年にはEVも発売するそうです。

今回はスバルのPHEVやEVに関する戦略と、その勝算について考えてみます。


スバルのPHEVおよびEV戦略

スバルはPHEV用に新車種を開発するのではなく、既存モデルにモーターやバッテリーを追加したものを発売するそうです。

この方法ならば、バッテリーとモーターのサプライヤー以外に、新たな提携相手を探さずに済みます。
PHEVを素早くラインナップするには、効果的なやり方です。

また、開発費を抑えつつ既存車種からの利益を最大化できるため、スバルのように規模の小さいメーカーにとっては、ベストなやり方だと思われます。

実際、スバルの研究開発投資は激増しており、2017年度は12億ドルを計上しています。これは2014年度の2倍です。
12億ドルの内、かなりの部分が電動化研究に使われていると見られており、スバルにとって大きな負担となっています。
既存車種を流用するのも、無理からぬことなのかもしれません。

なぜここに来てPHEVを発売するのか?

厳しくなる一方の排ガス規制や燃費規制への対応もありますが、スバルとしてはPHEVやEVという新たな選択肢を用意することで、他社に顧客が流出することを防ぐ狙いがあるようです。

スバルにPHEVやEVが無いと、規制の厳しい地域の顧客は、泣く泣く他社製の車に乗り替えるしかないという事態も今後起こりかねません。そうなる前にあらかじめ手を打っておくということのようです。

PHEV化される車種は?

車種としてはフォレスターやアウトバックが噂されているものの、吉永社長はブルームバーグのインタビューに対し、否定も肯定もしませんでした。

バッテリーやモーターを積むことを考えれば、インプレッサやXVのような比較的小型の車種ではなく、レガシィやアウトバックの方がPHEV化に適しているように見えます。
また、価格帯的にも大型車の方が、PHEV化のコストを価格に反映しやすいでしょう。

バッテリーの調達について

パナソニックサムスンが候補に上がっているようです。
バッテリーの選定は1年以内に行われ、2018年発売のPHEVに搭載されます。

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スバルに勝算はあるのか?

ブルームバーグによると、キロワット時(kWh)当たりのバッテリーコストは、2010年には1000ドルだったものの、2016年には300ドルと、3分の1以下に低下しています。2030年には100ドルまで下落する予想です。

リチウムイオン電池のコストは、急激に低下している。

スバルの戦略は、あくまで既存車種をPHEVやEVに転用するものですから、テスラのように高級車として販売するのではなく、「お手頃価格」であることをウリにするでしょう。

ガソリン車とEVのコストが逆転するのが2025年と見られているため、そこに向けて2018年にPHEV、2021年にEVを販売する戦略は、理想的と言えるかもしれません。

2025年には、内燃機関を搭載した自動車よりも、EVの方が低コストになる。

開発の出遅れは問題無し?

スバルはパワートレインの電動化で出遅れています。
ハイブリッドも中途半端で、アシストの弱いハイブリッドを「スポーツハイブリッド」と銘打ってお茶を濁したものの、結局売れませんでした。
EVやPHEVに関しては、まだ1台もラインナップされていません。

しかし先行しているGMのシボレー・ボルトEVは赤字ですし、テスラも利益を計上しているわけではありません。

高い利益率を維持しつつ、PHEVやEVのラインナップを増やしていくなら、バッテリー価格の低下を見越したスバルのロードマップが最適と言えます。
スバルの非常に高い営業利益率は、今後も維持されることでしょう。

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