GRスープラのニュルブルクリンクでのタイムはなぜイマイチなのか?
ドイツのSport Auto誌が、トヨタ GRスープラによるタイムアタックをニュルブルクリンクで行い、7分52秒17というタイムを記録しました。
BMW M2コンペティション(7分52秒36)よりも速いタイムなので、善戦したとは思いますが、やや物足りなさを感じるのも事実です。
というのも、以前スープラの開発責任者である多田哲哉氏が、「GRスープラはニュルブルクリンクを7分40秒以下で周回できる」とコメントしていたからです。
なぜGRスープラのタイムは伸びなかったのでしょう? 今回はその理由を考察します。
GRスープラのニュルでのタイムが伸びなかった理由
ターンイン時のスタビリティの低さ
タイムアタック時のGRスープラの車載映像を見ると、ブレーキングからターンイン時にかけて、ドライバーがステアリングを小刻みに動かしているのがわかります。
フロントタイヤのグリップ限界を探っているのか、それともリアタイヤのスライドを修正しようとしているのかはわかりませんが、時折カウンターステアを当てているので、後者である可能性が高いです。
一方、同じSport Auto誌がテストしたポルシェ 718ケイマンS(タイムは7分46秒70)の車載映像を見ると、ターンイン時の挙動が安定しています。
ちなみにどちらも同じドライバー(Christian Gebhardt)によるアタックです。
また、車両のディメンションも、全幅とトレッド幅以外は似かよっています。
項目 | GRスープラ | 718ケイマンS |
---|---|---|
全長(mm) | 4,380 | 4,385 |
全幅(mm) | 1,865 | 1,800 |
全高(mm) | 1,290 | 1,295 |
ホイールベース(mm) | 2,470 | 2,475 |
Fトレッド(mm) | 1,595 | 1,515 |
Rトレッド(mm) | 1,590 | 1,540 |
GRスープラはフロントにエンジンがあるので、コーナリング性能の面ではミッドシップの718ケイマンSに比べて不利です。
その不利を補うためにワイドトレッドになっているのだと思いますが、ホイールベースが短いので、前荷重になったときにリアが安定しないのでしょう。
GRスープラは旋回性能が高く、上りの長いコーナーでもアンダーステア知らずでコーナーリングしていますし、立ち上がりでテールスライドするシーンも無いので、トラクション性能も高そうです。
しかしコーナーへの進入で不安定になるため、タイムが伸びなかったのだと思います。
車重の重さ
718ケイマンSの車重は、1,460kg(EU基準、PDK車)です。
対するGRスープラの車重は、1,520kg(社内測定値)もあります。
タイムアタックにおいて60kgの差は小さくありません。
なお、BMW M2コンペティションの車重は1,575kg(EU基準, DCT車)です。
そのかわりGRスープラよりも70psパワフルなエンジンを搭載しています。
テストを行った時期
718ケイマンSのタイムは、2016年9月(何日かは不明)に記録されたものです。
一方GRスープラのテスト日は、2019年8月22日となっています。
基本的にタイムアタックは気温が低いほど良いタイムが出るので、GRスープラの方が不利な条件だったといえるでしょう。
最後まで読んでいただきありがとうございます。以下の関連記事もぜひご覧ください。