フォルクスワーゲン up! GTI 名車・初代ゴルフGTIをリバイバル!【5/22更新】
フォルクスワーゲン up!は、ポロよりも安価なハッチバック車として企画された車です。
そのup!に、GTIグレードが追加されます。しかし高性能化すれば、価格も確実に高くなるはずです。
当初のコンセプトからは外れてしまいますが、フォルクスワーゲン(VW)の狙いはどこにあるのでしょうか?
今回はup! GTIの概要と、それを投入するVWの勝算についてです。
更新情報
最新の画像と情報にページ内容を更新しました。(2017/5/22)
up!GTIの概要
エクステリア
ボディカラーは「トルネード・レッド」「ピュア・ホワイト」「ダーク・シルバー」「ブラック・パール」「コスタ・アズール」の5色が用意されます。
インテリア
インテリアはレザーステアリングやGTI専用シフトレバー、そしてGTIならではの「クラーク柄」タータン・チェック・シートなどが追加されています。
小さいけれどきちんとGTIしていて、なんだか微笑ましくなってきますね。
パフォーマンス
up!GTIのエンジンは、1.0リッター直列3気筒・直噴ターボのみです。
パワーは115psと控えめですが、トルクは230Nmもあります。
にも関わらず0-100km/h加速は8.8秒と、初代ゴルフGTIとほぼ等しいタイムです。
車重が880kgと極端に軽いうえ、低回転からトルクのあるエンジンが、十分な加速性能を生み出しました。
最高速は197km/hです。
トランスミッションは6速マニュアル。標準車からギアが1段増えています。
初代ゴルフGTIと、up!GTIの性能を比較する
主要諸元 | Mk1ゴルフGTI | up! GTI |
---|---|---|
全長(mm) | 3725 | 3610 |
全幅(mm) | 1610 | 1650 |
全高(mm) | 1410 | 1495 |
ホイールベース(mm) | 2400 | 2420 |
出力(ps) | 110 | 115 |
トルク(Nm) | 140 | 230 |
車重(kg) | 810 | 997 |
0-100km/h(秒) | 9.0 | 8.8 |
最高速(km/h) | 182 | 197 |
車重はup!GTIの方が187kgも重いものの、トルクでは90Nmも上回るため、0-100km/h加速のタイムでは、わずかながらup!GTIが勝っています。
また、up!GTIの方が全長が115mmも短いのに、ホイールベースは逆に20mm長くなっています。
つまりup!GTIはホイールがボディの4隅に近く、走行安定性や居住性に優れているのです。
このようなパッケージングの進歩は、40年の歳月が育んだ技術力の賜物でしょう。
なぜup!にGTIが追加されるのか?
最近のホットハッチは高価になりすぎて、もはや若者に買える値段ではありません。
フォード・フォーカスRS Mk3なんて4WD化して、もはやフォード版のランエボですからね。
ホンダ・シビックタイプRもかつては「入門編」として存在していた車ですが、いまや「ニュル最速」を掲げる高価なスポーツカーになってしまいました。
筆者はホットハッチを「大衆車のボディを利用し、安価に走りの楽しさを味わえる車」のことだと思っていたので、「ホットハッチの高級化路線」には、正直うんざりしていました。
安価なホットハッチの復権
でもup!GTIは、古き良き時代のホットハッチに近いコンセプトの車です。
フォード・フォーカスRS Mk3のような超高性能車ではありませんが、パーツ流用などでコストを抑えつつ、車体各部に的確なチューニングをすることで、走りを楽しむ必要最低限のポテンシャルは、きっちり確保されています。
VWの狙いは、ホットハッチをできる限り安く提供し、ホットハッチの価格高騰で取り残されていた若い顧客層を取り戻すことにあるのだと思います。
しかしup!はスポーツイメージに乏しいですから、Mk1ゴルフGTIのヘリテージを担ぎ出したのでしょう。
新型スイフトスポーツとup!GTIは競合する?
現在販売されている安価なホットハッチというと、スイフトスポーツが思い浮かびます。
ところがup!GTIの価格は2万ユーロ(€1=¥123換算で、246万円)程度と予想されており、新型スイフトスポーツ(おそらく200万円以下)と同価格帯になる可能性はほぼありません。
燃費はup!GTIの方が良さそうですが、チープ・ホットハッチとしてはスイフトスポーツの貫禄勝ちですね。
でもup!GTIの登場は、自動車メーカー各社のホットハッチ戦略に一石を投じると思います。
ネコも杓子もニュルブルクリンク最速にこだわるのは、もう止めにしてもらいたいものです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。以下の関連記事もぜひご覧ください。なぜホットハッチの4WD化が増えているかについて書いた記事です。