韓国・起亜(キア)ニーロが、SUVなのにプリウスに匹敵する燃費を叩き出す
燃費でプリウスを上回ったヒュンダイ・アイオニック・ハイブリッドに続き、ヒュンダイ傘下のキア(起亜自動車)が新たな刺客「ニーロ・ハイブリッド」を送り込んできました。
キア・ニーロはSUVなのでプリウスよりも大型ですし、空気抵抗も大きいはずなのですが、両車の燃費はかなり接近しています。
しかもキア・ニーロの方が安いですから、プリウスは厳しい戦いを強いられることでしょう。
今回はキア・ニーロとプリウスのスペックを比較してみます。
画像の出典: cnet.com
キア・ニーロと50プリウスのサイズ比較
主要諸元 | キア・ニーロ | 50プリウス |
---|---|---|
全長(mm) | 4356 | 4540 |
全幅(mm) | 1806 | 1760 |
全高(mm) | 1534 | 1470 |
ホイールベース(mm) | 2700 | 2700 |
車両重量(kg) | 1409〜1485 | 1310〜1390 |
ラゲッジ容量※1 | 538 | 502 |
Cd値 | 0.29 | 0.24 |
開始価格($) | 23,000 | 24,685 |
※1 5名乗車時のラゲッジスペース容量。
ご覧の通り、全長以外はキア・ニーロの方が大きいです。
また、プリウスは全長が長いと言っても、ホイールベースの長さはキア・ニーロと同じなので、全幅と全高がある分だけ、室内の広さでもキア・ニーロの方が上でしょう。
開始価格を$1=¥117換算すると、キア・ニーロは269.1万円、50プリウスは288.8万円となります。
差額は19.7万円ですね。
キア・ニーロと50プリウスの燃費比較
続いては燃費比較です。
実燃費に最も近いとされるアメリカEPA燃費の数値で比較したいと思います。
車種名 | グレード | 街乗り/高速/複合(km/L) |
---|---|---|
キア・ニーロ | FE | 22.1/20.8/21.3 |
LX, EX | 21.7/19.6/20.8 | |
Touring | 19.6/17.0/18.3 | |
50プリウス | Eco | 24.7/22.5/23.8 |
標準車 | 23.0/21.3/22.1 |
キア・ニーロの「FE」と、50プリウスの「Eco」は、装備を簡素化した所謂燃費スペシャルです。
また、キア・ニーロの「Touring」は、豪華装備で車重が76kgほど重く(FE比)、18インチタイヤを装着しているため、比較対象としては適切でないでしょう。
よってキア・ニーロの「LX, EX」グレードと、50プリウスの標準車を比較することにします。
街乗り/高速/複合のいずれにおいても、50プリウスがキア・ニーロに勝っていますが、その差はわずかです。
とくに街乗りと複合では、燃費の差が1.3km/Lしかありません(高速燃費の差は1.7km/L)。
価格差が19.7万円であること、そしてアメリカではガソリン価格が60円/L程度であることを考えると、この燃費差ではプリウスに優位性は無いと思います。
キア・ニーロと50プリウスのデザイン比較
それぞれのエクステリアとインテリアを比較していきます。
エクステリアの比較
インテリアの比較
トヨタは大丈夫なのか?
プリウスの優位性がほぼ失われたことで、トヨタの将来性に不安を覚える方も多いと思います。
しかし、今トヨタが最優先で取り組んでいるのは、特定の車種で燃費世界一となる「一点豪華主義」ではなく、全トヨタ車の燃費を「底上げ」することではないかと、筆者は考えています。
その理由は燃費規制です。
アメリカでもCAFE(企業平均燃費)規制と呼ばれるものがあり、自動車メーカーは販売した車の平均燃費を、2016年の基準だと15.1km/L以上に引き上げなければなりません。
これが2025年には23.2km/Lとなり、守れなければ罰金を課せられるのです。
PHVやEVだけでは、世界の自動車需要に対応できない。
富士経済の調査によると、2030年においても、新車販売される自動車の約89%が従来型のガソリンやディーゼル車であり、PHVやEVが新車販売に占める割合は11%程度だと予想されています。
また、デロイトトーマツコンサルティングの予想でも、2030年時点でのEV・PHV販売シェアは25%でしかありません。
先進国ではEVやPHVの価格がネックとなり販売ボリュームが稼げず、新興国ではEV向けのインフラ整備が課題となるようです。
つまりまだまだ内燃機関の時代が続くということになります。
となればガソリンエンジンやディーゼルエンジンの燃費と環境性能を高めていく必要があるわけです。
つい先日、トヨタはTNGAパワートレインを発表しました。
エンジンだけでなく、ギアボックスやハイブリッドシステムをも一挙に刷新し、全トヨタ車の燃費を一気に引き上げる作戦です。
先進国での燃費規制や新興国でのガソリン車・ディーゼル車需要に応えるには、特定車種の燃費世界一ではなく、メーカーごとの平均燃費で世界一になることを、トヨタは目標にしているのでしょう。
なのでトヨタの将来に関しては、心配無用だと思います。
むしろ走りやデザイン(C-HRや、レクサスLCが良い例)などにも力を入れ始めたトヨタが、大きく躍進する可能性の方が高いのではないでしょうか?
最後まで読んでいただきありがとうございます。以下の関連記事もぜひご覧ください。