F1参戦の自動車メーカー、エンジンの開発規制緩和で合意。
ホンダ救済? いや、今までが異常だっただけだ。
ようやくエンジンの開発凍結が解除されるようです。
ホンダらの救済に合意達成。来季PU規則改正へ - AUTOSPORT web
記事の見出しに「救済」と書かれていますけど、開発できなかったこれまでの状況がホンダやルノーを追い詰めていたわけですから、救済という表現は適切でないと思います。F1は、もっと自由であるべきです。
本来のF1を取り戻そう。
かつてF1は、全てのレースシリーズの中でもっとも規制の緩い選手権でした。しかし安全性の懸念やコストダウンの名目で、マシンの細部に至るまで厳しい規制が課せられるようになりました。
シャシーの有償供給は、最良のコストダウン方法。
コストダウンしたいならば、有力コンストラクターが他チームに対し、シャシーそのものを有償で供給するのが最も効果的と思われます。有力コンストラクターは開発費用をある程度ペイできますし、競争力のあるシャシーを開発する能力の無いチームは風洞などの開発設備を持つ必要が無くなり、固定費を大幅に削減できるからです。
しかも競争力のあるシャシーのみが参戦するとなれば、予算規模の小さなチームでも表彰台に登るチャンスが出てきます。それは取りも直さず、中堅・下位チームがスポンサーを獲得しやすくなることを意味します。
遅くすれば安全?
グルーブドタイヤなどの規制が導入されたのは、遅くすれば安全という思い込みにあります。ジュール・ビアンキは、1.6リッターターボが導入され近年に類を見ないほど遅くなったF1マシンで事故に遭い、帰らぬ人となりました。
安全性の追求は、マシンやサーキットの設備といったハードウェア面だけでなく、ソフトウェアの面でもなされなければなりません。
現在のルールでは、例えば雨が降ってきたときにセーフティカーを出すかどうかの判断がスチュワードに一任されています。しかしサーキットは広く、コントロールタワー付近の天候に基づいた判断が、バックストレートにおいても有効である保証はありません。
現在ではドライバーとの間で通信が可能なのですから、「過半数のドライバーがセーフティカーを出すべきと判断したら出す」などの、より効果的なやり方を考えるべきでしょう。
F1のNASCAR化に未来はない。
来季からF1に参入するハースF1チームのオーナー、ジーン・ハース氏によると、初年度の予算はおよそ1億ドルで、NASCARチームの年間予算とほぼ同じだそうです。
NASCARというと低コストで参戦できるようなイメージが浸透していますが、レース数の多さや競争の激しさから、かなりの高額予算が必要になるようです。
そのNASCARは最近、視聴率の面で苦戦をしいられています。空力開発が先鋭化し、接近戦が行われなくなってしまったためです。来季はレギュレーションでダウンフォースを減らすとのことですが、一時しのぎにすぎません。これまでもレギュレーションは、いつもエンジニアたちの情熱に敗北してきたのですから。
モータースポーツの世界に今必要なのは開発コストや運営コストを引き下げるイノベーションや、エンターテイメント性を高めるイノベーションであって、開発そのものを凍結することではありません。より広範な分野の知恵が、今のモータースポーツには必要です。