2015年 SUPER GT最終戦レビュー

SUPER GT,モータースポーツ

奇跡の大逆転! #1 MOTULがSGT連覇!

スーパーGTは最終戦を終え、予選12番手からスタートした#1 MOTUL AUTECH GT-Rが2番手に入り、逆転でタイトルを獲得、チャンピオン防衛に成功しました。

一方、ランキングトップで最終戦に望んだ#12 CALSONIC IMPUL GT-Rは4位に終わり、20年ぶりのタイトル獲得はなりませんでした。

ウェットスタートがもたらした、#1の躍進

雨こそ止んでいたものの、全車レインタイヤでのスタートとなった決勝。しかしスタート直後の波乱は無く、11周目に#36 PETRONAS TOM’S RC Fがトラブルで早々にリタイアした以外は、ほぼ予選順位通りで周回が進んでいきました。


10周目前後から路面が乾き始め、#1クインタレッリは徐々にペースアップ。逆に#12と#38 ZENT RC Fはペースが上がらず、#1に1周1秒のペースで差を縮められてしまいます。

レース距離の3分の1となる18周目を終えるころには、路面に乾いたラインができはじめていました。ブリヂストン(以下、BS)勢の#6 ENEOS SUSTINA RC Fが最初にスリックタイヤに交換したのを皮切りに、後方集団の車が続々とピットに入り始めます。

ミシュランタイヤの底力

乾いていく路面にBS勢は軒並み苦戦する中、ミシュランタイヤ(以下、MI)を履く#1は快調なペースを維持。このとき#12と#1の差は、すでに10秒を切っていました。予選ではタイヤ選択を外したMIでしたが、決勝にはピタリと合わせ込んできました。

こらえきれなくなったBS勢の#38は、23周終わりでスリックタイヤに交換します。しかしピットアウトした#38石浦は、130Rでコースアウト。タイトル争いからの後退を余儀なくされます。

ピット作業とアウトラップで前に出た#1

#12は#38の2周後、25周終わりにピットイン。安田にドライバー交代してピットアウトしますが、アウトラップで#100 RAYBRIG NSXの伊沢に先行を許してしまいます。

#1は26周終わりにピットイン。33秒という見事なタイムで作業を終えた#1がピットアウトすると、すぐ背後には#100が。しかし#1松田は冷えたタイヤで巧みなブロックを見せ、#100のアタックをしのぎ切りました。

平川にあって安田になかったもの

#46 S Road MOLA GT-Rが#9 PACIFIC マクラーレン with μ’sと接触し、コース上にデブリが散乱したため、27周目にセーフティーカーが導入されました。

この時点でのトップはポールポジションからスタートした#37 KeePer TOM’S RC Fでしたが、32周目のリスタート直後の1コーナーで#37は姿勢を乱し、#1に抜かれてしまいます。

鬼気迫る平川の走り

抜かれた#37平川も引き下がりません。38周目のV字コーナーでサイドバイサイドに持ち込み、ヘアピンでオーバーテイクを敢行します。しかし敵もさるもの、#1に上手く防がれてしまいました。

その後#37は最終コーナーでラインを外し、#12と#100抜かれてしまいますが、すぐまた抜き返し、さらには周回遅れに詰まった#1までをも抜き去り、ついにはトップに復帰します。濡れているイン側のラインだろうと構わず突っ込んでいく平川の走りは、観客を大いに沸かせました。

保守的すぎた安田の走り

対照的だったのが#12安田です。#1に先行を許してしまった以上、彼には#1をコース上で抜く以外に選択肢は無かったはず。しかし#1を抜くどころか、#100に仕掛けることすらできず、4位のままでレースを終えました。

たしかに#12は、ランキング1位でもてぎに乗り込んできました。しかしピットアウト後#1に先行された時点で、#12はチャレンジャーとしての戦い方に切り替えなければならなかったはずです。

しかし#12は、最後まで保守的な走りに終始しました。#1の前に出れずとも、せめて#100を抜いて直接対決に持ち込んでくれれば、ファンもいくらか溜飲を下げることができたのですが……。

ホシノイズムはどこに消えた?

昨年の最終戦で#36と絡んだ反省から、今年は「クリーン走って確実にポイントを取る」という方針でシーズンを戦ってきた#12でしたが、少し大人しくなりすぎたのかもしれません。

今日の平川の走りは、現役時代の星野一義を彷彿とさせるアグレッシブなものでした。来季のインパルには、アグレッシブさを取り戻してほしいものです。