シボレーBOLT EVと日産リーフ、テスラモデルSを比較する
リーフやモデルSを越えた?
デトロイトモーターショー2016で、「シボレー・BOLT EV」が発表されました。
「VOLT」という名前のレンジエクステンダーEVも同社のラインナップに存在しますが、今回発表された「BOLT EV」は完全なEVで、内燃機関は搭載されていません。つまりは日産リーフのライバルです。
そこで先ごろマイナーチェンジされた日産リーフとシボレー・BOLT EV、そしてテスラ・モデルSの、性能差や価格などを比較してみました。
航続距離の比較
まずはEVの泣き所、航続距離を比較してみましょう。
メーカー名 | 車名 | バッテリー容量(kWh) | 車重(kg) | 航続距離(km) |
---|---|---|---|---|
日産 | リーフ(30kWh) | 30 | 1460 | 280(JC08) |
シボレー | BOLT EV | 60 | 1625 | 320(EPA) |
テスラ | モデルS P85 | 85 | 2108 | 426(EPA) |
厄介なのが、航続距離の計測方法がそれぞれ異なることです。計測方法がもっとも厳しいのは米国EPA燃費で、航続距離はJC08の60%程度となります。
モデルS P85のkWhあたり航続距離は5.01km/kWh、BOLT EVの場合は5.33km/kWhです。モデルSはBOLT EVよりも30%重い車ですが、kWhあたりの航続距離はおよそ6%悪化しただけです。EVの場合、車重が航続距離に与える影響が小さいようです。
以上のことを踏まえた上で、日産リーフのEPA航続距離を推測してみましょう。リーフの車重はBOLT EVより10%軽いため、リーフのkWhあたりの航続距離はBOLT EVのそれよりも2%ほど良好であると考えられます。5.44kWh/kmですね。
よってリーフのEPA航続距離は163kmと推定されます。JC08モードの約58%という航続距離は、50プリウスのEPA/JC08とほぼ同じ比率なので、当たらずといえども遠からずだと思います。
2016年11月18日追記
リーフ・30kWhモデルの米国EPA燃費は172kmでした。
EVは重量増を気にせず電池をたくさん積むべきか?
上述のとおり、EVは車重増に対し航続距離の減少幅が小さいです。モーターはゼロ発進時のトルクが大きいためでしょう。つまり電池をたくさん積むテスラやシボレーのやり方は、基本的には正しいのです。
しかし電池をたくさん積むことで、コスト増という新たな問題が発生します。日産リーフのバッテリー容量が小さいのは、安価に供給することを最優先にした結果でしょう。
動力性能の比較
メーカー名 | 車名 | 馬力(ps) | トルク(kg-m) | 0-96km/h(秒) |
---|---|---|---|---|
日産 | リーフ(24kWh) | 109 | 25.9 | 10.9 |
シボレー | BOLT EV | 200 | 36.7 | 7.0以下 |
テスラ | モデルS P85 | 421 | 44.8 | 4.4 |
3台の中で最も重いモデルSが最速です。大容量のバッテリーを積めば強力なモーターを使えるので、加速性能でも有利なのでしょう。
価格の比較
メーカー名 | 車名 | 価格(万円) | kWh/価格(万円) | 1馬力/価格(万円) |
---|---|---|---|---|
日産 | リーフ(30kWh) | 319.7~401.8 | 10.65~13.39 | 2.93~3.68 |
シボレー | BOLT EV | 442.5 | 7.37 | 2.21 |
テスラ | モデルS P85 | 1018 | 11.97 | 2.41 |
1ドル=118円で計算
リーフとモデルSはコンセプトからして対極にあるような車ですが、kWhあたりの価格はほぼ同じです。
BOLT EVは性能もそこそこ良く、kWhあたりの価格が飛び抜けて安いので、かなりの競争力があると思われます。LG製の電池がかなり安価なのかもしれません。
BOLT EVは電気自動車の新たなベンチマークだ
航続距離と性能に比して、BOLT EVは安価です。かといって車体を切り詰めて軽量化したりしているわけでもなく、室内は50プリウスと同等の広さを確保しています。
室内箇所 | BOLT EV | 50プリウス |
---|---|---|
前席ヘッドルーム | 1009mm | 1000mm |
前席レッグルーム | 1056mm | 1097mm |
後席ヘッドルーム | 962mm | 950mm |
後席レッグルーム | 927mm | 848mm |
荷室容量 | 478L | 502L |
BOLT EVは、電気自動車のコストパフォーマンスをワンランク上のレベルに引き上げたといえます。今後発売されるEVは、BOLT EVをベンチマークにせざるを得ないでしょう。
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