2016 WRC 第2戦スウェーデン終了! また1つ偉大な記録が誕生!

WRC,モータースポーツ


暖冬による開催危機を乗り越えて勝ったのは……

雪上ラリーはマシンのドリフト角が大きく、派手なカーアクションが楽しめます。

雪上で大迫力のドリフトが可能なのは、スパイクタイヤのおかげです。


トレッド表面のトゲトゲには、マッドマックス的な雰囲気すら漂う

画像の出典: 日本ミシュランタイヤ


スパイクタイヤは横方向のグリップ力が高いので、ドリフトアングルをつけて走らせた方がタイムが良くなるのだそうです。

ところが雪が無いと、スパイクが機能しなくなるだけでなく、タイヤのトレッドからスパイクが脱落する問題が発生します

今年のスウェーデンは暖冬で雪が少なかったので、セバスチャン・オジェなどは開催中止を求めていたほどです。幸いにもいくつかのステージをキャンセルするだけで済みましたが、温暖化が進めばラリーの開催地が変更になるかもしれません。

ヘイデン・パッドンが大健闘!

ラリーそのものはいつもと変わらず、セバスチャン・オジェ(VW)の勝利で幕を閉じました。


ですが今回は、ディフェンディング・チャンピオンの圧勝とはいきませんでした。2位につけていたニュージランド人ドライバーのヘイデン・パッドン(ヒュンダイ)が、オジェと同等かそれ以上のタイムで食らいついていったからです。


一時はオジェに8.8秒差まで迫ったパッドンでしたが、敵もさるもの、最終ステージまでに両者のタイム差は17.1秒に開いていました。勝ち目が無くなり集中力が途切れたのか、パッドンはステージフィニッシュ後に木のポストにぶつかってしまいます。

ラジエターを痛め、パワステフルードが漏れている状態で85kmのリエゾン(スペシャルステージやサービスパークを結ぶ移動区間)を走らなければなりませんでしたが、なんとか完走し、ヨーロッパ外のドライバーとして初めてスウェディッシュ・ラリーの表彰台に上る栄誉を得ました

オジェが優勝するときは、2位以下に1分以上の大差をつけて勝つことがざらです。パッドンの健闘は、オジェ1強時代の終わりが近いことを示しているのかもしれません。

パッドンが快走したヒュンダイですが、チームメイトのティエリー・ヌービルは14位に終わりました。シーズン開始前はヒュンダイのエース座を争って2人が揉めていましたが、今回のラリーでパッドンが頭一つ抜けだした格好です。

名物ジャンプの飛距離が更新された

スウェディッシュ・ラリーには、「コリンズ・クレスト」と呼ばれる有名なジャンピング・スポットがあります。名前の由来はもちろん、1995年チャンピオンのコリン・マクレーです。

コリンズ・クレストにおけるこれまでの飛距離レコードは、2015年にティエリー・ヌービルが記録した44メートルでした。


しかし今回のラリーで、ノルウェー人のアイヴァンド・ブリニルドセンが45メートルを記録し、レコードを更新しました。


ブリニルドセンの駆る「フィエスタ R5」は、165km/hでジャンプ台から飛び立ったそうです。「ジャンプ台の手前のコーナーが完璧だったので、十分すぎるほどのスピードを得られた。 すべてが計画通りに運んだならレコードに挑もうと、ステージをスタートする前に決めていたんだ。あとはペダルの上に置いた右足を床まで踏みつけていただけさ」と彼は語っています。

ブリニルドセンは最終順位こそWRC2クラス5位に終わりましたが、スポンサー対策的には最高のラリーだっといえるでしょう。

逆にヌービルにとっては、チームメイトに差をつけられた上に自身の記録まで破られて、散々なラリーとなってしまいました。

最後まで読んでいただきありがとうございます。以下の記事もぜひご覧ください。