F1 2017年の新型マシンとドライバー+新レギュレーション解説【2/27更新】
F1も新型マシンの発表が始まり、新シーズンの到来が感じられる時期となりました。
開幕は3月24ですが、2月27日からはバルセロナテストがあるため、開幕戦まで話題が尽きることはないでしょう。
さて、2017年からはレギュレーションが大幅に変わり、マシンの高速化が図られます。
また、マノーが消滅するなど、チームやドライバーの陣容も大きく変わりました。
そこで今回は、レギュレーションの変更点や、新型マシンとドライバーラインナップをまとめてみました。
各レースのフリー走行・予選・決勝のダイジェストと結果については、以下のリンク先をご覧ください。
F1 2017 オーストラリアGP フリー走行・予選・決勝の結果 ホンダは無事完走できるか? | 車知楽
更新情報
トロ・ロッソ・STR12の画像を追加しました。(2017/02/27)
レッドブル・RB13の画像と、ハース・VF-17の画像を追加しました。(2017/02/26)
フェラーリ・SF70-Hの画像と、マクラーレン・MCL32の画像を追加しました。(2017/02/27)
メルセデスAMG・W08の画像を追加しました。(2017/02/27)
レギュレーションの変更点
主な変更点を以下の表にまとめました。
車体の変更点
適用範囲 | 2016年 | 2017年 | 差 |
---|---|---|---|
全幅(mm) | 1800 | 2000 | +200 |
Fウイング幅(mm) | 1650 | 1800 | +150 |
F車軸からFw前端までの距離(mm) | 1000以下 | 1200以下 | +200 |
Rウイング高(mm) | 950 | 800 | -150 |
Rウイング幅(mm) | 750 | 950 | +200 |
ディフューザー高(mm) | 125 | 175 | +50 |
アップスイープのR車軸からの距離(mm) | 0 | 前方175 | +175 |
Fタイヤ幅(mm) | 245 | 305 | +60 |
Rタイヤ幅(mm) | 325 | 405 | +80 |
最低重量(kg) | 702 | 722 | +20 |
燃料使用量(kg) | 100 | 105 | +5 |
車幅とタイヤがワイドになったことが最大の変更点です。
それ以外の変更点も、ほとんどはワイド化に対応するためのものとなっています。
また、ディフューザー高やアップスイープ(車体後部下の傾斜のこと)の始点が変更された他にも、バージボードの大型化や、フロア面積の拡大(車体のワイド化に伴うもの)により、ダウンフォースも大幅に増大するはずです。
ワイド化・ハイダウンフォース化によって、2017年のF1マシンはコーナリングスピードが飛躍的に向上するでしょう。
パワーユニット(PU)の変更点
開発制限のためのトークンが撤廃されました。
開発初期につまづいたホンダやルノーにとって、開発の自由化は朗報ですが、今年は年間のPU使用基数が4基(昨年は5基)に減らされたため、新PUを投入できるのは3回だけとなります。
ICE(PUのエンジン部分のこと)に関しては、コンポーネントの重量に制限が加えられたり、プレナムチャンバー(サージタンク)内の温度が外気温+10℃に制限されたり、幾何学的圧縮比が18.0:1以下と決められるなどの変更がありました。
しかし現在のF1で最も熾烈な技術競争が繰り広げられている「HCCI(またはセミHCCI)※1」に関しては、レギュレーション変更の影響はなさそうです。
よって今年のF1も、どれだけ熱効率を高められるかが焦点となるでしょう。
※1 予混合圧縮着火のこと。通常のガソリンエンジンはプラグから発せられた火花によって混合気に点火するが、HCCIではディーゼルエンジンのように圧縮のみで着火する。
NOxがほとんど発生せず、熱効率も高い(=CO2が少ない)ため、未来のエンジン技術として期待されている。
2017年のF1マシン&ドライバーラインナップ
2016年のコンストラクターズランキング順に紹介します。
メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ
No. | ドライバー | 通算勝利数 |
44 | ルイス・ハミルトン | 53 |
77 | バルテリ・ボッタス | 0 |
昨年のチャンピオンであるニコ・ロズベルグが突如引退したため、急遽ウィリアムズからボッタスを迎え入れたメルセデス。
ボッタスがハミルトンにプレッシャーをかけられるかどうかが注目です。
F1 W08 Hybrid
レッドブル・レーシング
No. | ドライバー | 通算勝利数 |
3 | ダニエル・リカルド | 4 |
33 | マックス・フェルスタッペン | 1 |
経験を積んだリカルドと若いフェルスタッペンのコンビは、どちらもポテンシャルは十分。
レッドブルはエアロダイナミクスの開発能力もピカイチですし、ルノー製PU(バッジネームはタグ・ホイヤー)さえまともならば、メルセデスの独走を止めるのは彼らでしょう。
RB13
スクーデリア・フェラーリ
No. | ドライバー | 通算勝利数 |
5 | セバスチャン・ベッテル | 42 |
7 | キミ・ライコネン | 20 |
昨年は未勝利に終わってしまったフェラーリ。
最大の問題点はドライバーでもエンジニアでもなく、何かにつけて口を挟んでくる会長のセルジオ・マルキオンネ氏であるため、クビにできないというジレンマに悩まされています。
昨年途中でテクニカルディレクターだったジェームズ・アリソンが離脱してしまったため、今年も厳しいシーズンになりそうです。
SF70-H
サハラ・フォース・インディアF1チーム
No. | ドライバー | 通算勝利数 |
11 | セルジオ・ペレス | 0 |
31 | エステバン・オコン | 0 |
ベテランの域に入ったペレスは、持ち前の速さに加えて安定感も身につけており、今季もエースとして活躍してくれるはず。
オコンの実力が未知数なのが懸念材料かも。
もう一つの懸念材料が、チーム代表のビジェイ・マリヤ氏。
彼は母国インドでビジネス上のトラブルを抱えており、チームの行く末が心配されています。
VJN10
ウィリアムズ・マルティニ・レーシング
No. | ドライバー | 通算勝利数 |
19 | フェリペ・マッサ | 11 |
18 | ランス・ストロール | 0 |
ボッタスがメルセデスに移籍してしまったため、引退したマッサを復帰させたウィリアムズ。
さすがに衰えが隠せなくなってきているマッサと、大金持ちのボンボンであるストロールのコンビで、どれだけやれるかに注目です。
FW40
マクラーレン・ホンダ・フォーミュラ1・チーム
No. | ドライバー | 通算勝利数 |
14 | フェルナンド・アロンソ | 32 |
2 | ストフェル・バンドーン | 0 |
F1界を代表するドライバーのアロンソと、昨年はスーパーフォーミュラで活躍したバンドーンのコンビで、ドライバーラインナップに不安はありません。
ホンダエンジンの信頼性も増してきた、と言いたいところですが、今年は「サイズゼロ」コンセプトを止めてメルセデス方式に変えるため、上手くいくかどうかは不透明です。
また「GP2エンジン!」と言われなければよいのですが。
MCL32
スクーデリア・トロ・ロッソ
No. | ドライバー | 通算勝利数 |
55 | カルロス・サインツ | 0 |
26 | ダニール・クビアト | 0 |
着実に成長し続けているサインツは、今季エースとしてチームを引っ張る存在になれるかどうかで、今後のキャリアが変わってくるでしょう。
昨年シーズン途中にレッドブルから「降格」させられたクビアトは、今季結果を出さなければシートを失うかもしれません。
STR12
ハースF1チーム
No. | ドライバー | 通算勝利数 |
8 | ロマン・グロージャン | 0 |
20 | ケビン・マグヌッセン | 0 |
以前は「ミサイル」として恐れられたグロージャンも、昨年は新参チームのエースとして獅子奮闘。
昨年は貴重なポイントをもたらしました。
一方、マグヌッセンはマクラーレンとルノーで結果を出せず、ハースに流れ着いた流浪のドライバー。
2年目のチームが彼を起用するのはギャンブルだと思うのですが……。
VF-17
ルノー・スポーツ・フォーミュラワン・チーム
No. | ドライバー | 通算勝利数 |
27 | ニコ・ヒュルケンベルグ | 0 |
30 | ジョリオン・パーマー | 0 |
ワークスチームなのにランキング9位に終わった昨年の雪辱を果たすべく、エースにベテランのヒュルケンベルグを迎えたルノーチーム。
意外と速いパーマーとのコンビは、比較的堅実にポイントを稼いでくれそうです。
R.S.17
ザウバーF1チーム
No. | ドライバー | 通算勝利数 |
9 | マーカス・エリクソン | 0 |
94 | パスカル・ウェーレイン | 0 |
小林可夢偉が所属していた頃の輝きはどこへやら。
グリッド最後列にマノーが居てくれたからよいものの、昨年のザウバーのパフォーマンスは酷いものでした。
今季はメルセデスのドライバーであるウェーレインを迎え入れたものの、そのウェーレインが「レース・オブ・チャンピオンズ」で大クラッシュ!
ドクターストップがかかり、バルセロナテストには出れなくなってしまいました。
メインスポンサーは相変わらず空白のままですし、消滅候補チームの筆頭といえるでしょう。
C36
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