F1 2017 オーストラリアGP フリー走行・予選・決勝の結果 ホンダは無事完走できるか?【3/26夕方更新】

F1,モータースポーツ

2017年のF1がついに開幕しました。
テストでトラブル続きだったホンダですが、開幕までのわずかな期間に問題を修正できたのでしょうか。
マクラーレンとの関係を修復するためにも、まずはきっちりと完走してデータを集めたいところです。

このページでは2017年のF1オーストラリアGPのフリー走行・予選・決勝の結果を、ダイジェストと合わせてお伝えします。

各チームの新型マシンやドライバーラインナップ、2017年からの新レギュレーションについては、以下のリンク先をご覧ください。

F1 2017年の新型マシンとドライバー+新レギュレーション解説 | 車知楽

トップ画像の出典: XPB via media.f1i.com


フリー・プラクティス1

バルセロナテストでもっとも走行距離の少なかったマクラーレン・ホンダ陣営は、フリー・プラクティス(FP)1が開始された時点でもエアロのチェックを行っており、開発の遅れを感じさせるシーズンスタートとなってしまいました。

一方、チャンピオンのメルセデスは、2段式Tウィングの上にフラップを追加したものを持ち込むなど、バルセロナテストのときよりも更なる進化を見せています。

マクラーレン・ホンダは厳しい船出

序盤のインスタレーション・ラップが済むと、各チームはロングランを開始しましたが、45分(つまりFP1の半分)を経過した時点で、マクラーレンのルーキー・バンドーンはたった2周しか走れておらず、テストで発覚したホンダPUの問題が未解決であることを、早くも露呈してしまいました

アロンソもFP1の途中からピットに篭りきりに。
「マシンの調整」とのことでしたが、それを素直に受け取る人はいないでしょう。

しかしトラブルが起きたのは、マクラーレンだけではありません。
ルノーもFP1の最中に大掛かりな修理を始めるざるを得ませんでしたし、レッドブルのフェルスタッペンも、ギア抜けのトラブルに悩まされていたようです。

結局バンドーンは13周しか走れず、最下位でFP1を終了しました。
アロンソも14位と振るわず。予想どおり厳しい船出となりました。

フェラーリは本当に速いのか?

バルセロナテストでは「三味線を弾いている」とまで言われていたフェラーリですが、フタを開けてみればメルセデスどころかレッドブルにすら及ばないタイムしか出せませんでした。

メルセデスはウルトラソフト、フェラーリはスーパーソフトというタイヤの違いはあるものの、バルセロナテストの印象からすると、スーパーソフトからウルトラソフトに履き替えたところで1秒もタイムアップしないはずです。
今年のフェラーリは本当に速いのか、雲行きが怪しくなってきました。

FP1の結果
順位ドライバーチームベストタイム
1L.ハミルトンメルセデス1:24.220
2V.ボッタスメルセデス1:24.803
3D.リカルドレッドブル1:24.886
4M.フェルスタッペンレッドブル1:25.246
5K.ライコネンフェラーリ1:25.372
6S.ベッテルフェラーリ1:25.464
7F.マッサウィリアムズ1:26.142
8R.グロージャンハース1:26.168
9N.ヒュルケンベルグルノー1:26.183
10S.ペレスF.インディア1:26.276
11C.サインツトロロッソ1:26.450
12D.クビアトトロロッソ1:26.514
13L.ストロールウィリアムズ1:26.734
14F.アロンソマクラーレン1:27.116
15M.エリクソンザウバー1:27.348
16E.オコンF.インディア1:27.656
17K.マグヌッセンハース1:27.667
18P.ウェーレインザウバー1:28.539
19J.パーマールノー1:28.585
20S.バンドーンマクラーレン1:28.695

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フリー・プラクティス2

セッション開始直後からアロンソはまたもやトラブルに見舞われ、ピットでの待機を余儀なくされてしまいます。

このFP2ではフェラーリが好調で、メルセデス勢を切り崩すほどのペースを見せてくれました。

FP1では冴えなかったトロロッソ勢も、サインツクビアトが共にトップ10に食い込んでいます。

FP2ではクラッシュやコースオフ、トラブルなどが続発しました。
セッション序盤にルノージョリオン・パーマーがクラッシュ。赤旗の原因を作ってしまいます。

最終コーナーの側壁に激突したパーマーのマシン。

ウィリアムズフェリペ・マッサも、トラブルでマシンをコース脇に停めてしまいました。

ステアリング外すフェリペ・マッサ。

終盤にはザウバーマーカス・エリクソンもターン6でスピンアウトし、赤旗のままセッションは終了。貴重な走行時間が削られてしまったのです。

グラベルに捕まったエリクソンのザウバー。

コースアウトする車も多い印象でした。今年のピレリタイヤは急激にグリップが抜けてスナップ(オーバーステアに転じること)するというドライバーのコメントもあるので、タイヤが原因かもしれません。

高速の切り返しとなるターン12で飛び出したフェルスタッペン。
ボッタスもテールスライドからコースアウトする場面が何度か見られた。

マクラーレン・ホンダのアロンソは序盤こそ躓いたものの、その後は比較的順調に周回を重ねていました。
しかしパフォーマンスは圧倒的に不足しており、ベストタイムはトップから3秒遅れです。

バンドーンもタイムが伸びていません。予選までに復調できればよいのですが。

FP2の結果
順位ドライバーチームベストタイム
1L.ハミルトンメルセデス1:23.620
2S.ベッテルフェラーリ1:24.167
3V.ボッタスメルセデス1:24.176
4K.ライコネンフェラーリ1:24.525
5D.リカルドレッドブル1:24.650
6M.フェルスタッペンレッドブル1:25.013
7C.サインツトロロッソ1:25.084
8R.グロージャンハース1:25.436
9N.ヒュルケンベルグルノー1:25.478
10D.クビアトトロロッソ1:25.493
11S.ペレスF.インディア1:25.591
12F.アロンソマクラーレン1:26.000
13E.オコンF.インディア1:26.145
14F.マッサウィリアムズ1:26.331
15M.エリクソンザウバー1:26.498
16L.ストロールウィリアムズ1:26.525
17S.バンドーンマクラーレン1:26.608
18P.ウェーレインザウバー1:26.919
19K.マグヌッセンハース1:27.279
Ret.J.パーマールノー1:27.549

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フリー・プラクティス3

ザウバーのパスカル・ウェーレインは、体調不良のため出場をキャンセル。
アントニオ・ジョビナッツィが代役を務めることになりました。

FP3の序盤は特に何事もなく、各チームが順調にメニューをこなしていきます。
マクラーレン・ホンダにもトラブルは起こらず、精力的に周回を重ねていました。

マクラーレンに起こった問題といえば、バンドーンがコースから少しはみ出したことくらいだった。

しかしエステバン・オコン(フォース・インディア)ジョリオン・パーマー(ルノー)などはリアが滑りやすいと訴え、逆にカルロス・サインツ(トロロッソ)はアンダーステアに悩まされるなど、ハンドリングの不調を訴えるドライバーが多かった印象です。

途中、ライコネンの左リアタイヤがスローパンクチャーしましたが、自力でピットに戻ったため赤旗は出ませんでした。

残り時間が少なくなり、各チームが予選シミュレーションに向けて動き出すなか、ランス・ストロール(ウィリアムズ)がウォールにクラッシュ! 赤旗の原因を作ってしまいました。

またもやらかしたストロール。チェザリス2世襲名の日も近い!?

結局FP3は赤旗のまま終了したため、各チームはシミュレーション無しで予選に臨むハメになってしまいました。

ストロールはバルセロナテストでも、マシンを1台オシャカにしています。
今年のウィリアムズは修理費がかさみそうですね。

フェラーリとメルセデスのパフォーマンスは拮抗している様子ですから、予選では熾烈なポール・ポジション争いが見られるでしょう。

FP3の結果
順位ドライバーチームベストタイム
1S.ベッテルフェラーリ1:23.380
2V.ボッタスメルセデス1:23.859
3L.ハミルトンメルセデス1:23.870
4K.ライコネンフェラーリ1:23.988
5N.ヒュルケンベルグルノー1:25.063
6D.リカルドレッドブル1:25.092
7R.グロージャンハース1:25.581
8C.サインツトロロッソ1:25.948
9D.クビアトトロロッソ1:26.049
10K.マグヌッセンハース1:26.138
11F.マッサウィリアムズ1:26.237
12M.フェルスタッペンレッドブル1:26.269
13S.ペレスF.インディア1:26.457
14F.アロンソマクラーレン1:26.556
15S.バンドーンマクラーレン1:26.699
16E.オコンF.インディア1:27.103
17L.ストロールウィリアムズ1:27.327
18M.エリクソンザウバー1:27.402
19J.パーマールノー1:28.320
20A.ジョビナッツィザウバー1:28.583

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予選

Q1

5台のマシンがノックアウトされるQ1では、ストフェル・バンドーン(マクラーレン)のマシンにトラブルが発生してしまいます。
ホンダPUの燃圧が上がらず、パワーを失ってしまったようです。
バンドーンは18番手でした。

ケビン・マグヌッセン(ハース)も、アタックラップ中のターン12でコースオフ。
絶好調のチームメイトとは対照的に、17番手スタートとなってしまいました。

ジョリオン・パーマー(ルノー)も、チームメイトに大きな差をつけられQ1敗退(20番手)。
FP3におけるクラッシュの影響か、ランス・ストロール(ウィリアムズ)もQ1で敗退しています。

Q2

頭上にかかる雨雲が気になる中でのスタートとなったQ2では、フェルナンド・アロンソ(マクラーレン)が苦戦。
縁石に乗り上げるたびにパワーを失うという、バルセロナテストと同じ症状に悩まされ、渾身のアタックも12番手タイムとカットラインにとどかず、Q2敗退となりました。

昨年は好調だったフォースインディアも、今年はトロロッソの後塵を拝する結果となりQ2敗退。

アタックラップをなぜかマッサに邪魔されたペレス。

ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)マーカス・エリクソン(ザウバー)も、奮闘むなしくノックアウトされてしまいました。

Q3

セッション開始直後にダニエル・リカルド(レッドブル)がスピン! 回転しながらグラベルに突っ込んだ彼のマシンは、リアからタイヤバリアにぶつかってしまい、ウイングを破損してしまいました。

地元GPでの好結果を期待されていたリカルドだったが……。

Q3ではメルセデスとフェラーリのアタック合戦が行われましたが、頭一つ抜け出たのはルイス・ハミルトン(メルセデス)でした。

セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)も激走を見せたものの、ハミルトンの叩き出したスーパーベストには及ばず。

往時の輝きを取り戻しつつあるベッテル。

3番手はバルテリ・ボッタス(メルセデス)、4番手はキミ・ライコネン(フェラーリ)と、メルセデスとフェラーリが交互に並ぶ形になりましたが、タイム的にはハミルトンがずば抜けています。
決勝ではスタートでベッテルが前に出れないと、ハミルトンの独走になってしまうかもしれません。

予選の結果
順位ドライバーチームベストタイム
1L.ハミルトンメルセデス1:22.188(Q3)
2S.ベッテルフェラーリ1:22.456(Q3)
3V.ボッタスメルセデス1:22.481(Q3)
4K.ライコネンフェラーリ1:23.033(Q3)
5M.フェルスタッペンレッドブル1:23.488(Q3)
6R.グロージャンハース1:24.074(Q3)
7F.マッサウィリアムズ1:24.442(Q3)
8C.サインツトロロッソ1:24.487(Q3)
9D.クビアトトロロッソ1:24.512(Q3)
10D.リカルドレッドブル1:23.989(Q2)
11S.ペレスF.インディア1:24.997(Q2)
12N.ヒュルケンベルグルノー1:25.091(Q2)
13F.アロンソマクラーレン1:25.425(Q2)
14E.オコンF.インディア1:25.568(Q2)
15M.エリクソンザウバー1:26.465(Q2)
16A.ジョビナッツィザウバー1:26.419(Q1)
17K.マグヌッセンハース1:26.847(Q1)
18S.バンドーンマクラーレン1:26.880(Q1)
19L.ストロールウィリアムズ1:27.143(Q1)
20J.パーマールノー1:28.244(Q1)

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決勝

心配されていた雨は降らず、ドライコンディションでのスタート。
なお、ダニエル・リカルド(レッドブル)はギアボックス交換で5グリッド降格のペナルティを受けましたが修復が間に合わず、母国GPをピットからスタートすることになってしまいました。

スタートではセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)がやや出遅れ、メルセデス勢が好スタートを切りましたが、ベッテルは1コーナーでなんとか順位を死守。
ホールショットを決めたルイス・ハミルトン(メルセデス)を追いかける展開となります。

スタート直後

1周目のターン3でマーカス・エリクソン(ザウバー)ケビン・マグヌッセン(ハース)の2台が接触するアクシデントがありましたが、それ以外にはさしたる波乱はありませんでした。

レーシングアクシデントとして処理されたようだ。

3周目、マクラーレン勢はバンドーンのダッシュボードが消えてしまうトラブルが出ますが、走行に支障は無かったようです。
フェルナンド・アロンソは12番手。

10周目、それまでタイヤの温まりが悪いことを訴えていた首位ハミルトンでしたが、ここで2番手ベッテルを引き離しにかかります。
昨年までのフェラーリならば、メルセデスのペースアップについていけなかったはずです。しかしベッテルはファステストラップで応戦し、逆にハミルトンにプレッシャーをかけ始めます
ベースアップしたハミルトンのタイヤはオーバーヒートしていたようです。

10周目を過ぎたあたりから、問題を抱えた車が目立ち始めました。
ジョリオン・パーマー(ルノー)は、ブレーキに問題を抱えたらしくスロー走行を強いられ、ロマン・グロージャン(ハース)のマシンは白煙を吹きながら緊急ピットインし、そのままリタイアに追い込まれてしまいます。
とくにグロージャンは6番グリッドスタートだっただけに悔しいリタイアです。

17周目、ハミルトンとベッテルの差が1秒を切り始めると、形勢不利を悟ったのかハミルトンが先にピットイン。ソフトタイヤに交換してコースインしました。
その後ハミルトンはアンダーステアに苦しめられながらもファステストラップを叩き出しますが、同一周回のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に引っかかってしまい、多くのタイムを失ってしまいます。

一方ベッテルは23周目までウルトラソフトタイヤを引っ張ってピットイン。素早くソフトタイヤに交換してピットアウトすると、ハミルトンの前に出ることに成功!ついに首位が入れ替わりました。

リードチェンジの瞬間。

その後ベッテルはハミルトンを引き離し、最後は10秒もの大差をつけて、フェラーリに2年ぶりの優勝をもたらしました

ファイナルラップの最終コーナーにさしかかるベッテル。
ゴール後の歓喜。

マクラーレン・ホンダはアロンソが一時10番手まで順位を上げるものの、53周目に3ワイドからエステバン・オコン(フォースインディア)ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)の2台に抜かれてしまいます。
しかもその直後に足回りにトラブルが発生し、リタイアとなってしまいました。

ロングランでタイヤがズルズルだったアロンソ。オコンの接近を許してしまう。
アロンソのスリップから飛び出したオコンに張りつくヒュルケンベルグ。
NASCARなら実況と解説が「スリーワイド!」と揃って叫ぶであろうシーン。

バンドーンは完走したものの最下位フィニッシュ。
マクラーレン・ホンダは2台ともに、残念ながら戦前の予想通りの結果となってしまいました。
新スペックのPUが投入されるというモナコまでは耐えるしかありませんね。

決勝結果
順位ドライバーチームベストタイム
1S.ベッテルフェラーリ1:24:11.456
2L.ハミルトンメルセデス+9.975
3V.ボッタスメルセデス+11.250
4K.ライコネンフェラーリ+22.393
5M.フェルスタッペンレッドブル+28.827
6F.マッサウィリアムズ+1:23.386
7S.ペレスF.インディア+1Lap
8C.サインツトロロッソ+1Lap
9D.クビアトトロロッソ+1Lap
10E.オコンF.インディア+1Lap
11N.ヒュルケンベルグルノー+1Lap
12A.ジョビナッツィザウバー+2Lap
13S.バンドーンマクラーレン+2Lap
Ret.F.アロンソマクラーレンRetired
Ret.K.マグヌッセンハースDNF
Ret.L.ストロールウィリアムズBrakes
Ret.D.リカルドレッドブルRetired
Ret.M.エリクソンザウバーRetired
Ret.J.パーマールノーBrakes
Ret.R.グロージャンハースEngine

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