アルピーヌ・ヴィジョン・コンセプトの絶妙な立ち位置
あらゆるバランスが取れているスポーツカー
アルピーヌ・ヴィジョン・コンセプト(以下、AVC)の試乗レポートが、海外サイトに掲載され始めました。AVCは、復活したアルピーヌブランドの第1弾モデル(第2弾はSUVと言われている)となります。
AVCのライバルと目されるのは、アルファロメオ4Cやポルシェ718ケイマンです。そしてAVCのパッケージングは、ライバルたちと被らない絶妙なものとなっています。
トップ画像の出典: autoexpress.co.uk
目次
アルピーヌA110の歴史
レーシングドライバーのジャン・レデレが設立したアルピーヌ社が、ルノー・8(ユイット)をベースにして製作した車がA110です。ベースとなったルノー・8は、リアエンジン・リアドライブ(RR)のセダンだったので、A110の駆動方式もRRとなっています。
元祖A110は全長3850mm・全幅1450mmしかない小型のスポーツカーで、しかも外装はFRPでしたから、車重は730〜850kg程度しかありませんでした。
エンジンは発売初期こそ1100ccのものが搭載されていましたが、最終的には1600ccにスープアップ。モータースポーツではパワフルな1800ccが使われました。
軽量・小型・ハイパワーの3拍子が揃ったA110は、WRCで大活躍します。ジャン・トッド(現FIA会長)やジャン=ピエール・ニコラ(元プジョー・スポール代表)、故オベ・アンダーソン(元トヨタF1代表)なども、このころのアルピーヌで活躍したドライバー/コ・ドライバーたちです。
新しいA110=AVCの概要
AVCは元祖A110の意匠を受け継いでいます。特徴的な丸4灯ヘッドライトや、湾曲してサイドまで回り込んでいるリアウィンドウもそのままです。
とはいえサイズまで元祖のままではあまりにも小さすぎますから、AVCの全幅は拡大され、車内も広くなっています。インテリアも未来的です。
エンジンは排気量こそ1800ccのままですが、AVCにはターボが追加されました。この直4ターボは274psを発生します。このリッターあたり152馬力を誇るハイチューン・ユニットをデュアル・クラッチ・トランスミッション(DCT)と組み合わせることで、0-96km/hタイム4.5秒を実現しています。
元祖A110の特徴だった軽量ボディは、AVCにも受け継がれています。しかしAVCの車重は1200kg程度になると見られており、かつてのような超軽量スポーツカーとはいかないようです。
AVC、4C、718の比較
AVCの価格は£50,000(£1=¥155換算で775万円)になると言われています。価格や車のキャラクター、パフォーマンス等からライバルをピックアップするなら、アルファロメオ・4C、ポルシェ・718ケイマン/ケイマンSが適当です。
AVC | アルファ4C | 718ケイマン | 718ケイマンS | |
---|---|---|---|---|
出力(ps) | 274 | 240 | 300 | 350 |
車重(kg) | 1200 | 1050 | 1440 | 1460 |
PWR(kg/ps) | 4.38 | 4.38 | 4.8 | 4.17 |
0-100km/h(秒) | 4.5※1 | 4.5 | 4.9※2 | 4.4※3 |
最高速(km/h) | 248 | 258 | 275 | 285 |
価格(万円) | 775※4 | 807 | 671 | 865 |
※1 0-96km/h(0-60mph)のタイム。
※2 スポーツクロノパッケージ装着車は4.7秒
※3 スポーツクロノパッケージ装着車は4.2秒
※4 英国の予想価格を£1=¥155で円換算したもの。
ギア比の違いからか最高速だけはAVCの方が若干低いですが、AVCと4Cのパフォーマンスはほぼ互角です。
しかし4Cは室内が狭く、トランクが無いに等しいなど、実用面での問題を抱えています。AVCも狭いですが4Cほどではありませんし、なにより内装の質感で圧倒的に上回っています。(まあ、アルピーヌがコンセプトカー詐欺をやらかす可能性もあるので、市販バージョンの内装はプラスチッキーになってしまうかもしれませんが。)
ポルシェ・ケイマン/ケイマンSは実用性にも配慮された素晴らしいスポーツカーですが、モデルチェンジでライトウェイトスポーツとは言い難い車重になってしまいました。
AVCは軽量なケイマンSのようなモデルなので、ライトウェイトで快適なスポーツカーを探している人にはうってつけのモデルになるでしょう。
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