“GT-R NISMO”と”レヴォーグ STI Sport”に見られる共通の傾向

テクノロジー・業界分析,批評


年次改良を受けた「GT-R NISMO」がニュルブルクリンクで発表されました。24時間レースが行われる週末に合わせての公開です。

また、「レヴォーグ STI Sport」の予約が開始されました。なぜSportがついたのかは後段にて。


目次

  1. 着実な進化を重ねるGT-R NISMO
  2. STI SportはBMW M Sportのスバル版
  3. 走りだけでは、もはや通用しない

着実な進化を重ねるGT-R NISMO

今回のGT-Rの改良は、微に入り細をうがつものばかりです。以下に列挙します。

進化したエアロダイナミクス


ベースモデルと同様に、フロント周りのデザインが変更されました。主な変更点は、日産のファミリーフェイスである「Vモーショングリル」や、超高速域に対応すべく剛性が強化されたボンネット、開口部の拡大したカーボンファイバー製のフロントバンパーなどです。

フロントバンパーの両サイドに装着されたカナードは、それ自体がダウンフォースを発生させるだけでなく、ホイールの外側に負圧を作り出すことで、ホイールハウス内の空気を引き抜き、ドラッグを低減する効果があります。

ボディとサスペンションの改良


ベースモデルよりも、ボディ各部のねじれ剛性が2〜6%向上しました。

また現行型にも採用されているビルシュタインのアダプティブショックアブソーバー「Damp Tronic」をリセッティング。強化スプリングおよびスタビライザーと組み合わせることで、スラロームテストのタイムが2%向上したといいます。

高級感を増したインテリア


リデザインされたダッシュボードのアッパーパネル、センターコンソールのアームレスト、そしてステアリングにアルカンターラが採用されました。レカロのカーボンバケットシートにも、センター部分に赤のアルカンターラが使われています。

より一層ドライビングに集中できるように、運転席周りのボタンは27個から11個にまで集約されました。タッチパネルモニタも8インチに大型化され、アイコンのサイズも拡大されるなど、操作性の向上が図られています。

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STI SportはBMW M Sportのスバル版

STI」の名称は、モータースポーツのベース車となるようなスポーツグレードだけに使われてきました。

しかし今回のレヴォーグは、走りだけでなく質感にもこだわった車種ですから、そのまま「レヴォーグSTI」とするわけにはいかなかったのでしょう。

そこで「STI」に「Sport」がついたわけです。BMWの「M sportパッケージ」と同じですね。

M sportパッケージとは

BMWのほぼすべての車種には、M2やM3などのスポーツイメージを背景に、そのルックスや雰囲気だけを抽出した、ライト仕様のM sportパッケージ(以下、Mスポ)が設定されています。

Mスポの構成は、専用のエアロパーツ、専用アロイホイール、強化サスペンション、専用ステアリング、スポーツシートなどです。

上記のカスタマイズによって、Mスポは標準モデルとの外観上の差別化がなされています。しかしエンジンに改良が施されることはまずありません

レヴォーグ STI Sportの内容

STI Sportも、Mスポとほぼ同じ構成です。

ハンドリングに関しては、ステアリングギアボックスの取り付け剛性を高め、足回りにビルシュタイン「Damp MaticⅡ」と専用スプリングを採用したことで、スポーツ性能と快適な乗り心地とを高次元で両立しています。

専用のフロントバンパーおよびフロントグリル、そしてLEDフォグランプが装着され、顔つきはグッと精悍になりました。もちろん18インチホイールも専用デザインです。マフラーカッターも装着されます。



内装色はボルドーに統一され、ステアリングやシフトレバーのステッチが赤に変更(標準グレードでは青)されました。



レヴォーグSTI Sportの装備内容は、内外装ともに「特別なレヴォーグ」であることを強くアピールするものです。とはいえ、やはりエンジンは手つかずです。

STI Sportは、Mスポと同様にお得なグレードとなるか?

Mスポを装着したBMWは、リセールバリューが高くなります。

その理由のひとつはエンジンにあります。ほとんどの人はサーキット走行なんてしませんし、市街地走行が主ですから、燃費が悪化するハイパワーエンジンは無用の長物です

でもMスポのエンジンは標準グレードと同じですから、燃費面でのデメリットがありません。それでいてカッコいいエアロパーツがついていますし、ワインディング等をハイペースで走行する分には十分な性能を備えています。Mスポは、大多数のユーザーを満足させるだけの性能・燃費・質感を兼ね備えているのです。

STI Sportも、Mスポと同様のことを狙っているのではないでしょうか。リセールバリュー次第では、STI Sportのプライスタグから受ける印象も変わってくると思います。

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走りだけでは、もはや通用しない

GT-R NISMOはニュルブルクリンクのレコードブレーカーとして開発された車両ですが、年次改良でインテリアの質感を大幅に引き上げてきました。

レヴォーグは乗り心地とスポーツ性能を両立させながら、やはりエクステリアやインテリアの質感向上を企図した変更を施しています。

NISMOやSTIの名を冠するモデルとはいえ、もはや走行性能だけでは市場競争に勝てないのです。

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