SUPER GT 2016 第5戦 富士予選 レクサスは本拠地で……

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夏休みということもあり、予選から多くの観客が詰めかけた今年2回めの富士ラウンド。富士スピードウェイといえばトヨタ=レクサスの本拠地ですが、2014年に車両規定が切り替わってからは、まだ一度も優勝していません

また、レクサスのマシンは来季からLCに切り替わるようですから、今回のレースで勝てなければ、RC Fは本拠地富士で未勝利のまま引退することになってしまいます。

よってレクサス勢にとっては特別な予選となるわけですが……彼らの前に立ちはだかったのは、GT-RやNSXではありませんでした。

トップ画像の出典: supergt.net


目次

1.灼熱の富士
1-1.GT300 Q1
1-2.GT500 Q1
2.なんでこんなに速いのか?
2-1.GT300 Q2
2-2.GT500 Q2

灼熱の富士

真夏の太陽が照りつける富士の気温は33℃、路面温度は48℃にまで上昇していました。タイヤには過酷なコンディションですから、予選とはいえタイヤ管理が重要になります。

GT300 Q1

高温下であることから、ポールポジション(以下、PP)は1分38秒台での争いになると思われていたGT300でしたが、フタを開けてみれば#55 ARTA BMW M6がいきなり37秒台を叩き出し、カットラインが38秒台後半というハイレベルな争いとなりました。


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セッション後半、#55をターゲットに各車が一斉にアタックを開始しますが、残り3分52秒のところで#108 DIRECTION 108 HURACANが300Rでストップ。赤旗が提示され、セッション中断となってしまいます。

これで割りを食ったのが#0 GAINER TANAX GT-R#3 B-MAX NDDP GT-R#7 Studie BMW M6#48 DIJON Racing GT-Rです。彼らはアタックラップを赤旗で台無しにされ、セッション再開後もベストタイムを更新できず、結局Q1敗退となりました。

陽炎が立ち上る状況下では、ワンアタックでタイヤがダメになってしまうのでしょう。#0などはセッション中断前からタイヤがタレていたらしく、セッション再開後のアタックを見合わせたほどでした。

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GT500 Q1

いきなり1分28秒398のタイムを叩き出したのは、#46 S Road CRAFTSPORTS GT-R千代勝正選手でした。第2戦富士の予選でコースレコードを記録したのがフロックではないことを、自らの走りで証明するトップタイムです。

それに続いたのは#12 CALSONIC IMPUL GT-Rでした。第2戦富士ではトップ走行中に残り4ラップのところでタイヤがバーストし、涙を呑んだ#12ですが、捲土重来を期しての激走です。

2台のGT-Rに続いたのは、2台のNSXでした。#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GT#15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GTが、復調の兆しを見せる走りでタイムボードの上位につけたのです。


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結局NSX勢は、#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTを含めた3台がQ1を突破しました。今年からノン・ハイブリッドとなったNSXですが、エンジンがアップデートされ、ストレートは昨年以上に速くなっています。そのため富士のロングストレートと相性が良いのです。

帝国の崩壊

GT500は、Q1で7台が脱落します。今回は7台中5台をレクサス RC Fが占めるという、波乱の展開となりました。RC Fのエントリーは6台ですから、全滅といってもよい有様です。ちなみにQ2に残ったのはレクサス勢で唯一ヨコハマタイヤを履く#19 WedsSport ADVAN RC Fでした。

#19以外のRC Fは、ブリヂストン(以下、BS)ユーザーです。JSPORTSの解説を務める光貞秀俊氏は「レクサスのBS勢は硬めのタイヤチョイスなのではないか」とコメントしていました。筆者もその可能性が高いと思います。

第2戦の富士では、BS勢にトラブルが相次ぎました。#100と#12がタイヤバーストでリタイアに追い込まれたのを傍目で見ていたレクサス勢は、真夏の富士ラウンドで同様のトラブルが起こるのを防ぐべく、硬めのタイヤを選んだのではないでしょうか?

それが裏目に出て5台がQ1敗退に追い込まれたのであれば、由々しき事態だといえるでしょう。レクサス勢はBSタイヤの信頼性を疑っているわけですから。

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なんでこんなに速いのか?

SUPER GTで飛び抜けた速さの車が出てくると「優遇されてる」「GTAがえこひいきしてる」などと、やっかみ半分で言われることが多いです。しかし今回の予選では、そんなやっかみすら黙らせるほどの好走が数多く見られました。

GT300 Q2

まずQ2 4位に入った#61 SUBARU BRZ R&D SPORTは賞賛されるべきでしょう。


画像の出典: supergt.net


ハッキリ言って、BRZのエンジン(EJ20)は非力です。FIA-GT3勢が500馬力弱ものパワーを有するのに対し、BRZのそれは400馬力強だと言われています。ストレートの長い富士での予選4位は、考えうる最高の結果ではないでしょうか。

Q2 3位の#51 JMS LM Corsa 488 GT3、同2位の#21 Hitotsuyama Audi R8 LMSは、順当な結果だと思います。しかしQ1・Q2の両方をトップ通過した#55 ARTA BMW M6 GT3は驚異的です。第2戦富士、そして今回と、同じマシンを使う#7 Studie BMW M6を圧倒しているのですから。

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GT500 Q2

Q2 5位の#15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT、Q2 4位の#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTは、ウェイトハンデが軽いので、決勝レースでのタイヤマネジメントも少しは楽なはずです。なので表彰台も十分狙えると思います。もちろんBSタイヤがもてばの話ですが……。

今回の予選で一番の驚きは、ウェイトハンデ84kg#1 MOTUL AUTECH GT-Rが、Q2で3位に食い込んできたことでしょう。


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ロニー・クインタレッリ選手はテクニカルなセクター3で好タイムを記録しているのですが、セクター3は車重の影響が大きい場所でもあるのです。一体どうやってやったんでしょうね?

Q2 2位は#46 S Road CRAFTSPORTS GT-R、そしてPPは#12 CALSONIC IMPUL GT-Rが獲得しました。


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決勝レースを引っ張るのも、おそらくはこの2台でしょう。タイヤ銘柄の違いが2台の戦略にどんな影響を与えるかにも注目です。

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