ホンダS660のエンジンでF1超え! 421.595km/hの世界最高速記録を樹立

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アメリカ・ユタ州ソルトレイクシティのボンネビルといえば、アクセル全開でだだっ広い塩湖を突っ走る最高速チャレンジです。そのボンネビルで、ホンダの社内有志チームが記録を打ち立てました。でもS660のエンジンで421.595km/hも出せるなんて、ちょっと信じられないですよね?

画像の出典: autoblog.com


なぜ最高速チャレンジに参加したのか?

ホンダのプレスリリースから引用します。

今回のチャレンジは、将来に向けた技術開発と若手技術者の育成を目的として、公募により結成された社内有志チームが車両開発を進め、より過酷な条件下でのデータ収集と技術の到達度を把握するために参戦したものです。

公募で集まった四輪R&Dセンターの入社3~5年目の若手技術者が、情報収集から設計、マシン製作、テストまでを担当し、今回のチャレンジのための車両を専用設計開発しました。

最近の自動車メーカーには「Car Guy」が少なくなった、クルマ好きがいなくなったと言われるようになって久しいですが、ホンダには熱い技術者がまだまだいるようです。

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ホンダが打ち立てた最高速記録

ホンダが参加したのは「Mike Cook’s Bonneville Shootoutb」と呼ばれる大会です。

参加車両は、FIAが規定する4つのカテゴリー(自動車/量産車/ジェットやロケット推進の車/ドラッグレーサー)に分けられ、さらにエンジン形式・排気量・過給の有無・電池形式・ソーラーの種別で計13に分類。各クラスごとに最高速を競います。

音速超え1227km/hの記録を持つ「スラストSSC」は、地上最速の自動車だ。

マシン

画像の出典: autoblog.com

今回ホンダが用意したマシンは、「Honda S-Dream Streamliner」です。

ストリームライナーとは、空気抵抗(ドラッグ)を減らすために極端に細長い車体を持つ最高速チャレンジ専用の車両のことです。「S-Dream」という名前は、チューニングしたS660のエンジンを搭載しているからですね。

空気抵抗(ドラッグ)は速度の2乗で増加していくので、高速域になるとエンジンのパワーアップよりも、ドラッグ低減の方が効果的です。前面投影面積の小さいストリームライナーでなければ、今回の記録樹立には至らなかったでしょう。

S660用エンジン「S07Aターボ」は、192.6psまでチューニングされています。ノーマルは64psですから、ちょうど3倍です。

最高速仕様なので低速トルクはスッカスカだと思いますが、リッターあたりだと291.8psも出ています。スーパーGTやスーパーフォーミュラで使われているNREが2リッターで600ps弱と言われているので、S-DreamのS07Aターボは、最高峰のレーシングエンジンと同等の性能だといえます。

ドライバー

ドライバーはなんとあの宮城光氏です。日テレG+のMotoGP中継の解説でおなじみですね。

宮城氏の解説はヒートアップしすぎて話が長くなる傾向があるので、一部の視聴者からは不評みたいですが……筆者はけっこう好きです(ボソ)

参加したクラス

ストリームライナーにはジェットエンジンを積んだクラスもありますが、ホンダが参加したのはCategory A, Group 1, Class 4.(自動車・レシプロ過給エンジン・排気量500cc~750cc)です。

最高速記録の内容

レコードとなった記録は以下の2つです。

  • スタートから5~6マイル地点に設置された長さ1マイル(約1.6km)の計測区間を、1時間以内に往復した速度の平均が421.446km/h
  • スタートから5.5マイル地点に設置された前後500m(つまり1km)の計測区間を、1時間以内に往復した速度の平均が421.595km/h

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S660のエンジンでF1超え! モータースポーツの奥深さ

ちなみに2006年にホンダがF1マシン(BAR006・ホンダ)で樹立した最高速記録は、397.360km/hでした。

サーキットを周回するレーシングカーはドラッグの塊みたいなものなので、ストリームライナーと比べるのは酷ですが、軽自動車のエンジンでもF1マシンより速く走れるというところに、モータースポーツの奥深さを感じます

結局モータースポーツにおける速さとは、レギュレーションにどれだけ適応できているかを量る指標のひとつでしかないのでしょう。

数多くあるモータースポーツのカテゴリーでは、それぞれで生存競争が行われており、環境=レギュレーションに適応したものが勝者となる。F1もその1つでしかないのだと思います。

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