新型プリウスPHVは高い?プリウスとの価格や燃費の違いを比較する

トヨタ車の比較,比較

新型プリウスPHVが発売となりましたが、Twitterなどでは「高い」という声が多いようです。
新型プリウスPHVで一番高いグレードを選択した場合には、オプション込みだと500万円オーバー
確実なので、高いという意見はもっともだと言えます。

しかし比較的安い「A」や「S ナビパッケージ」ならば、ランニングコスト込みだと普通のプリウスよりも得かもしれません。
そこで今回は新型プリウスPHVと、普通のハイブリッド(HV)である50プリウスを、比較してみることにしました。


エクステリアの比較

ちょっとホンダ風味なフロントマスク。
なんでこんなデザインにしちゃったんだろう……。
ダブルバブルが特徴的。
なんでこんなデザインにしちゃったんだろう……(2度め)

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インテリアの比較

新型PHVのインテリア。11.6インチのナビが存在感抜群。
50プリウスのインテリア。センターコンソールの白いトレーは、便◯だと揶揄されている。
新型PHVのファブリック内装。
50プリウス「A」のファブリック内装。

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価格・燃費の比較

新型プリウスPHVと50プリウスの価格を、高い順に並べてみました。
燃費はJC08の数値です。

車種 グレード 燃費(km/L) 価格(万円)
プリウスPHV Aプレミアム 37.2(30.8) 422.3
A レザーPKG 406.6
A 380.7
S ナビPKG 37.2 366.7
S 326.1
プリウス AプレミアムTS 319.9
Aプレミアム 310.7
A TS 292.7
A 277.8
S TS 262.8
S 40.8 247.9

( )内は17インチホイール装着車の数値。

新型プリウスPHVは、全グレードでHVプリウスよりも高い設定です。
しかし燃費の差はまったくないどころか、17インチホイールを履くとHVプリウス以下の燃費になってしまいます。

しかしPHVが本領を発揮するのは、EV走行です。
新型プリウスPHVでは、EV走行距離が68.2kmまで伸びていますから、これを上手く使えば、HVプリウスとの価格差を埋められるかもしれません。
次の項目では、一般的なユーザーがプリウスPHVを使用した場合に、どの程度燃費を節約できるのかを検証します。

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EV走行でどの程度燃費を節約できるか?

アンケート結果に基づく日走行距離分布とPHEVのCO2削減効果」という調査結果によると、EV走行距離が20kmの場合年間走行距離区分ごとのEV走行比率は、以下の表のようになったそうです。

年走行距離(km) EV走行比率(%)
〜5000 78.3
〜10000 62.3
〜15000 45.2
〜20000 35.9
20000〜 27.0
全体平均 57.3

年間走行距離が多い人ほど、EV走行率(上の表の場合、1日の走行距離が20km以下となる比率)が少なくなります。当然の結果ですね。

しかし新型プリウスPHVのEV走行距離は68.2km(17インチホイール装着車は55.2km)ですから、上の表のEV走行率よりも、かなり高くなるはずです。

新型プリウスPHVはガソリン代不要!?

実走行ではエアコンなどを使用するため、68.2km走れるわけではありませんが、6割だとしても約40kmは走行できることになります。

年間走行距離が多めでも、通勤や送迎・買い物などの近距離の移動にしか使わないなら、新型プリウスPHVはガソリン代がかからないかもしれません。

普通のプリウスとのガソリン代の差

通勤や買い物、子供の送り迎えなどで1日40km走るとします。
365日から、土日(104日)・祝日(今年は16日)と盆正月(計10日とする)を引くと、おおよその平日数は235日です。
よって平日の走行距離は、235日*40km=9400kmとなります。

上記の仮定だと休日は130日ありますが、その半分で100kmのドライブをするとしましょう。
なので休日の走行距離は、65日*100km=6500kmですね。

したがって9400km+6500km=15900kmが、年間の総走行距離となります。

HVプリウスのJC08燃費は37.2km/Lですが、e燃費のデータを見ると、実燃費は23km/L(達成率64%)程度です。
15900km/23km=691リッターのガソリンが必要となります。

直近のレギュラーガソリンの全国平均価格は125円。よって691L*125円=86375円が、上記の仮定におけるHVプリウスの年間ガソリン代です。

一方、新型プリウスPHVの場合には、上記の設定ならば平日の走行でガソリン代がかかりません
休日に関しても、(100km-40km)*65日=3900km分のガソリン代がかかるだけです。
したがってEV走行比率は約75.5%と、表中の20000km以下のEV走行比率の2倍強となっています。EV走行距離を2倍とした設定ですから、まあ妥当な線でしょう。

新型プリウスPHV(15インチ仕様)のJC08燃費は37.2km/Lですから、実燃費もHVプリウスと変わらないでしょう。
3900km/23km*125円=21196円が、PHVの年間ガソリン代となります。

まとめると、上記の設定の場合には、年間のガソリン代が86375円-21196円=65179円分、新型プリウスPHVの方がお得です
10年間で651790円浮きますね。

しかし上記シミュレーションの設定以上にEV走行距離を増やすのは至難の業ですし、総走行距離を減らせばHVプリウスとの差額が小さくなってしまいます。
新型プリウスPHVとHVプリウスを比較した場合、10年間のガソリン代で60〜70万円以上の差はつけるのは難しいと言えるでしょう。

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装備の比較

話題のソーラールーフはオプション。280,800円。

新型プリウスPHVはHVプリウスよりも、10年間でガソリン代が60〜70万円程度浮くとすれば、PHVの高額な新車価格を正当化できます。

HVプリウスでもっとも高価なモデルは「Aプレミアム ツーリングセレクション」で、価格は319.9万円です。

これに+60〜70万円ほどのグレードをPHVの中から探すと、380.7万円の「A」というグレードが該当します。
両者の装備を比較してみましょう。

装備内容 PHV「A」 HV「AプレミアムTS」
ホイール 15インチ 17インチ
ステアリングヒーター あり 無し
シート ファブリック 本革
パワーシート 6way/4way 8way/4way
カラーHUD 無し あり
ナビ あり ディーラーOP

同価格帯(10年間のガソリン代を含む)のグレード同士で比較すると、装備にはほぼ差がありません
PHV「A」には、ステアリングヒーターとナビが付いているのに対し、HV「Aプレミアム・ツーリングセレクション」には本革8wayパワーシートが装備されています。

やはり同価格帯となる新型プリウスPHVの「S ナビパッケージ」と、HVプリウスの「S ツーリングセレクション」で比較した場合も、PHVには11.6インチのT-Connect SDナビが装着される分だけお得です。

ただしPHVもHVも、Sと付くグレードにはブラインドスポットモニターが装着されないので、安全性の面で不安があります。

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新型プリウスPHVを買うべき人とは?

短距離の走行が多く、それでいて年間走行距離は多め(少なくとも10000km以上)という人に限られると思います。
それ以外の条件ならば、HVプリウスを購入した方がいいでしょう。

よって「生活の足として車が必須で、毎日の通勤や買い物・送迎と、休日のロングドライブを1台で済ませたい人」には、新型プリウスPHVは適していると思います。

新型プリウスPHVのおすすめグレード

A」か「S ナビパッケージ」でしょうね。A以上のグレードだとペイできませんから、HVプリウスを買ったほうがマシです。

PHVの「S」は安くて良さそうに見えますが、ナビが付いてません。
11.6インチのナビは新型プリウスPHVならではの装備ですから、あえて「S」を選ぶメリットは、コスト的にも機能的にも無いでしょう。

リセールバリューに期待

ランドクルーザーほどではなくても、新型プリウスPHVのリセールバリューがHVよりも高ければ、高額な新車価格をカバーできます。

しかし先代プリウスPHVのリセールバリューは、30プリウスと大して変わらないようです。
新型がどの程度市場で評価されるか、要注目ですね。

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