デイリーF1ニュース(2017年5月29日号) モナコGP決勝を振り返る

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今日はモナコGPを振り返ります。

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第75回 F1モナコGP決勝

決勝当日のモンテカルロは快晴。
気温25度、路面温度49度というコンディションでのスタートとなりました。

スタート直後にマシンが殺到する、1周目のサン・デボーテ(1コーナー)が一番危険なのですが、大きな混乱は起こらず。
順位も、ルイス・ハミルトン(メルセデス)が12位に上った以外は、予選順位そのままに隊列が組まれました。

後方スタートのパスカル・ウェーレイン(ザウバー)と、ピットレーン・スタートだったジェンソン・バトン(マクラーレン)は、1周目終わりにピットインしてタイヤ交換義務を済ませる賭けに出ましたが、ウェーレインはピットボックスから出る際にバトンと交錯しかけたことから、アンセーフ・リリースと見なされ、5秒加算ペナルティが課されました。

ポール・ポジションからスタートしたキミ・ライコネン(フェラーリ)と、2番手スタートのセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)は、スタート直後からハイペースで周回を重ね、みるみるうちに3番手スタートのバルテリ・ボッタス(メルセデス)とのギャップを拡げていきます。

2周目には2位ベッテルと3位ボッタスの差がここまで開いていた。

16周目、ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)のマシンが、白煙を吹きスローダウン。
結局ポルティエの退避路にマシンを止めてしまいました。
ギアボックストラブルだったようです。

また、カルロス・サインツ(トロロッソ)と接触してフロントウイングを壊していたセルジオ・ペレス(フォース・インディア)は、ピットインしてウイング交換を行いました。

ドライバーズタイトルのためにも、ベッテルにポイント差をつけられたくないハミルトンでしたが、メルセデスのエースは前を行くダニール・クビアト(トロロッソ)にすら追いつけず、中段グループから抜け出すことができません。

クビアトになかなか接近できないハミルトン。

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故意か、偶然か。

25周目前後から、ライコネンのペースが目に見えて落ち始めました。
ベッテルがライコネンにひっかかっていたため、ボッタスはフェラーリ2台との差を一気に取り戻すことに成功します。

ボッタスの背後には、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がぴったりと張り付いていたのですが、そのフェルスタッペンが32周目終わりにピットインしました。
アンダーカットして、ボッタスの前に出る作戦です。

これに反応してボッタスはペースアップを敢行。
フェラーリ2台とのギャップをさらに削り取ってから、33周終わりにピットイン。
見事にフェルスタッペンの前でピットアウトすることができました。

34周終わりにライコネンもピットインしましたが、ベッテルと、フェルスタッペンの背後にいたダニエル・リカルド(レッドブル)は、ともにステイアウトを選択。
ピットアウト時にポジションを上げるべく、両者ともプッシュを開始します。

リカルドは35周目に全体ベストを叩き出すと、37周終わりにピットインし、ボッタスとフェルスタッペンの前でコースに復帰、してやったりとばかりに3位のポジションを奪取しました。

ピット戦略で表彰台圏内へと浮上したリカルド。

無線でそれを知ったフェルスタッペンは、「大失敗だ!」と嘆くほど、リカルドのとった戦術は見事でした。

ベッテルもリカルドと同様で、ファステストラップを連発した後、38周終わりにピットインし、ライコネンの前でピットアウトすることに成功します。このレースで初めてリードチェンジが起こったのです。

第1スティント(スタートからピットインまでの周回)の終盤で、ライコネンはペースが上がらずに苦労していましたから、先にピットインさせたのは妥当な戦略だと思われますが、それでもライコネンからすると納得がいかないでしょう。
ピット戦略に擬装したチームオーダーではないかと疑われても、仕方がないと思います。

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混乱のるつぼ

ハミルトンは46周終わりまでステイアウトし続け、一気に7位までジャンプアップ。
ついにポイント圏内へと浮上します。

一方トップ争いは、ベッテルがライコネンを突き放し、56周目の時点で両者の差は12秒まで開いてしまいました。

このままフィニッシュまで動きは無いかと思われましたが、60周目にポルティエでバトンとウェーレインが接触! ウェーレインのマシンは宙を舞い、横転しかけたところで側壁にぶつかってしまいました。

イン側にノーズをねじ込んだバトンのフロントタイヤと、ウェーレインのリアタイヤが接触した。
横向きになりながらも、ノーズから側壁にぶつかったので、ウェーレインは頭をぶつけずに済んだ。

ウェーレインに怪我はありませんでしたが、彼のモナコGPはここで終了。
ぶつけたバトンの方もサスペンションを折ってしまい、やはりリタイアに追い込まれてしまいました。

彼の最後のレースがリタイアに終わったのは本当に残念。

ウェーレインのマシンを排除するためにセーフティ・カー(SC)が導入され、周回遅れのマシンはウェーブアラウンド(周回遅れはSCを抜いていいというもの)が許可されたのですが、なんとマーカス・エリクソン(ザウバー)が、SCを抜こうとしてサン・デボーテでクラッシュ! SCランがさらに延長される事態となってしまいました。

なぜこんなことに……。

結局67周目にリスタートとなりましたが、今度は10位を走行していたストフェル・バンドーン(マクラーレン)が、セルジオ・ペレス(フォース・インディア)とサイド・バイ・サイドのままサン・デボーテに進入したために曲がりきれずにクラッシュ! ポイント獲得のチャンスをふいにしてしまいました。

そして72周目には、ラスカスでクビアトのペレスが接触! クビアトはリタイア、ペレスもピットインを余儀なくされ、ポイント圏外まで後退してしまいました。

いくらなんでもこれで抜くのは無理。

73周目にはランス・ストロール(ウィリアムズ)もガレージに戻りリタイアするなど、終盤に来て一気にリタイア台数が増える波乱となりましたが、トップのベッテルは順風満帆。
ライコネンに付け入る隙を与えず、フェラーリに16年ぶりのモナコGP勝利をもたらしました。

これでベッテルとハミルトンのポイント差は25まで拡大。コンストラクターズでもフェラーリがメルセデスを逆転しています。

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