不正・不祥事 批評

フィアット・クライスラーが販売台数を水増し?

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フィアット・クライスラー・オートモビルズ(以下、FCA)がディーラーに報酬を提供し、毎月の販売台数を水増しするように命令していた疑惑について、米国司法省が捜査を開始しました。連邦証券関連法違反の容疑で、FBI(連邦捜査局)およびSEC(証券取引委員会)が、FCA USのオフィスを訪れたようです。

トップ画像の出典: fcagroup.jp

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目次
1.販売台数水増しの手法
1-1.月末契約、翌月解約
1-2.ネープルトン氏の場合
1-3.がんじがらめのディーラー
2.FCA本社は知っていたのか?

販売台数水増しの手法

FCAは破産から回復した後、69ヶ月連続で前年同月比の売上を上回ってきました。しかしその裏では特定のディーラーと共謀し、新車が売れたように見せかけていたのです。


月末契約、翌月解約

販売台数の水増しは、決まって月末に行われました。月末に新車が売れたように報告しておいて、月をまたいだ翌月の初めに契約を取り消すのです。

このスキームによって、月末の販売報告だけは「正式な売上」として記録に残し、しかし実態としては販売されていないという状態を作り出すことができます。

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ネープルトン氏の場合

ネープルトン・ディーラー

画像の出典: ednapletonblog.com

エドワード・ネープルトン氏は、クライスラー、ジープ、ダッジ、ラムの4ブランドを取り扱うカーディーラーを経営しています。彼の会社はイリノイ州、フロリダ州、ペンシルベニア州、ミズーリ州などで50店舗を経営し、さらには32のフランチャイズも展開する大手のディーラーです。

そのネープルトン氏も、FCYの地域マネージャーから販売台数の水増しを持ちかけられました。「2万ドルの報酬を支払うから、40台の新車販売があったように見せかけてくれ」というのです。

ネープルトン氏はこの申し出を拒否し、逆にFCA USをシカゴ地裁に提訴しました。彼の民事訴訟によって、この問題が発覚したのです。

ネープルトン氏のディーラー以外でも、85台の新車販売の水増しがこれまでにわかっています。この水増しに対しては、FCAから数万ドルの報酬が支払われていたそうです。しかも報酬は「共同広告キャンペーンの支援金」という名目で、各ディーラーの口座に振り込まれていました。監査をすり抜けるためだと見られています。

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がんじがらめのディーラー

数万ドルの報酬だけを目当てに、各ディーラーが販売台数の水増しに手を染めていたわけではありません。FCAは各ディーラーが逆らえないような巧妙なやり方で、虚偽の販売台数を報告させていたのです。


2段階価格

ディーラーは月間販売目標に到達すると、それ以降は新車を販売するたびに、FCAから特別報酬を得ることができました。つまり「目標達成以前」と「目標達成後」で、実質的に販売原価が異なるわけです。FCAはこのスキームを「ボリューム・グロース・プログラム(以下、VGP)」と呼んでいました。

しかしVGPは、目標未達だと一切報酬を得ることができません。しかも目標未達の場合は、翌月から目標台数が増やされ、さらに厳しくなるという仕組みでした。

VGPによって目標達成へのプレッシャーが強まる中で、販売台数の水増しを持ちかけられたら……模範的な市民であっても、思わず悪事に手を染めてしまうかもしれません。民事訴訟では、VGPが販売台数水増しの動機になったと言われています。


最低限の販売台数を義務付け

Minimum Sales Responsibility(以下、MSR)は、ディーラーに対し最低限の販売台数を定めた、FCAの内部基準です。

しかし訴訟ではFCAが「MSRはディーラーを評価する基準として使われていない。むしろ2段階価格の慣習を隠蔽するために使われている」と断言されました。

というのも、MSRの基準を破ると「ディーラー契約の不履行」と見なされ、FCAから販売店契約を打ち切られる恐れがあったからです。しかもFCAはMSRをいじるだけで、契約不履行を意図的に作り出せてしまいます。

FCAはVGPの目標未達のディーラーに対し、MSRの基準変更でプレッシャーをかけていたのでしょう。FCAから販売店契約の打ち切りをちらつかされたら、VGPの2段階価格に不満があっても、ディーラー側は口をつぐむしかありません。

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FCA本社は知っていたのか?

民事訴訟では、地域マネージャーによる販売台数の水増しをFCAが認識していたと主張しています。販売台数の水増しによって、FCAは業績を実態よりも良く見せることができ、利益を得ていたというのです。

実際、FCAのセルジオ・マルキオンネCEOは、69ヶ月連続で前年同月比売上増を達成しているとデトロイト・オート・ショーで語っています。この問題が発覚して大きく下落しましたが、それ以前は株価も好調でした。

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最後まで読んでいただきありがとうございます。以下の記事もぜひご覧ください。

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