アストンマーチン・V8シグネット ヴァンテージSのV8エンジンを超小型車に搭載!
アストンマーチン歴史上最も奇妙な車といえば、なんと言ってもシグネットでしょう。
企業平均燃費(CAFE)規制に対応すべく、超小型車の「トヨタ・IQ」をベースに開発された車ですが、アストンマーチンらしさはほとんどありませんでした。
そのシグネットに、アストンマーチンのパーソナライゼーションサービス部門である「Q by Aston Martin」が、ヴァンテージSのV型8気筒を搭載してしまいました。
直列4気筒が載っていたエンジンルームを拡張して、V8を押し込んだのです。
今回は、よりアストンマーチンらしさを増したV8シグネットの概要をご覧ください。
V8シグネットの概要
どうやってV8エンジンを搭載したのか?
ノーマルのシグネットは直4エンジンを横置きに搭載する前輪駆動車でしたが、V8シグネットはV8エンジンを縦置きに搭載する後輪駆動車です。
V8は長さが4気筒分しかないとはいえ、シグネットの小さなエンジンルームには収めるスペースがありませんから、バルクヘッドは後退させられ、それに伴いトランスミッショントンネルも新設されています。
触媒を含む排気システムも、まったく新しいものになりました。
ギアボックスは先代ヴァンテージの7速スポーツシフトⅡ(7速AT)です。
駆動力はヴァンテージのドライブシャフトを短くしたものを用いて、後輪に伝達しています。
パフォーマンスは本物
4.7リッター・V型8気筒ガソリン自然吸気エンジンは、436ps・490Nmを発生します。
V8シグネットの0-100km/hは4.2秒、最高速は274km/hです。
ちなみに同じエンジンを搭載するV8ヴァンテージSは、0-100km/hに4.8秒を要します。
V8ヴァンテージSは車重1629kgなのに対し、V8シグネットは1375kgしかありませんから、加速性能では後者が勝っているわけです。
ノーマルのシグネットは、0-100km/hが11.8秒、最高速は171km/hというものでした。
V8シグネットはもはや別物で、環境性能もへったくれもありませんが、アストンマーチンらしさではこちらの方が上です。
足回りも完璧
ノーマルのシグネットのサスペンションは、フロントにマクファーソンストラット、リアはトーションビームという形式でした。
しかしV8シグネットでは、V8ヴァンテージSのサブフレームを流用することで、前後ともダブルウィッシュボーンサスペンションに変更されています。
ブレーキはフロントに380mmのディスクと6potキャリパー、リアに330mmのディスクと4potキャリパーを装備。
それらを収めるホイールは、19インチと大径ながらも軽量な鍛造品です。
そしてそのホイールは、カーボン製のオーバーフェンダーに収まっています。
タイヤはフロント235/40、リアは275/35のブリジストンです。
ちなみに前後重量配分は、完璧な50:50を実現しています。
全長3708mm、全幅1920mm、全高1500mm、ホイールベース2020mmということなので、上から見るとほぼ正方形です。
Ready to Race
FIAに準拠した消火器システムやロールケージを備えるなど、V8シグネットの装備は、本格的なレースに出られるレベルです。
例えばレカロ・ポールポジション・バケットシートには、4点式のシートベルトが装着されていますし、アルカンターラ仕上げのステアリングホイールは、簡単に脱着できるようになっています。
インストゥルメント・クラスターはヴァンテージのものが流用されていますが、ダッシュボードはカーボン製の特注品です。
ととはいえエアコンやUSBポートは装着されています。
燃料タンクはレース用のいわゆる安全タンク(ATL社製)です。
容量は30Lで、トランク内に設置されています。
V8シグネットの走行動画
This V8 Cygnet is like nothing you've ever seen from Aston Martin. #FOS pic.twitter.com/laG629dp68
— Goodwood Road&Racing (@GoodwoodRRC) 2018年7月12日
V8シグネットが、グッドウッドを走る様子です。
V8のエンジンサウンドが小さなシグネットから聞こえてくるのが面白いですし、その走りっぷりは痛快そのものです。
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