ホンダ シビックタイプRがニュルFF車最速の座を奪還! しかしノーマルではない!?

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Honda Civic Type-R FL5 Nurburgring FF Lap Record

ホンダ シビックタイプR(FL5)が、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェにおいて、FF車の最速ラップタイムを更新しました。
これまでのレコードホルダーはルノー メガーヌ R.S. トロフィーRの持つ7分45秒389(コース設定20.832kmのタイム。20.600kmの旧コース設定だと7分40秒100)でしたが、FL5は7分44秒881を記録し、FF車最速の座を奪還したのです。


タイムアタックの映像を見ると、空力の進化が感じられます。低速コーナーでオーバーステアが出るほどのハンドリングなのに、高速コーナーではピタリと安定しているからです。

旧王者となったメガーヌ R.S. トロフィーRは、限定車として販売されたモデルでした。リアシートが除去されていただけでなく、フロントシートもリクライニング機構を持たないフルバケットシートであり、ロールケージまで組まれているなど、半ばレーシングカーのような車だったのです。
そのメガーヌが持つ記録を更新したFL5はというと、こちらもかなり手が入った車だったようで、現在日本で販売されている市販バージョンそのままというわけではありません。今回はFL5のタイムアタック車両がどのような仕様だったか解説します。


FL5のニュルタイムアタック車両の仕様について

Honda Civic Type-R FL5 Nurburgring FF Lap Record

FL5によるニュルラップタイムレコードは、ヨーロッパの左ハンドル車にのみ設定される軽量バージョン「タイプR S」によって記録されました。
この軽量バージョンにはタッチスクリーンこそ付いているものの、ナビが除去され、エアコンも取り除かれています。また、ルームミラーの自動防眩機能、ドアミラーの電動調整、サンバイザーの照明、リアトノカバー、カーゴネットフック、パーキングセンサーなども除去されています。
これらを取り除くことによってどの程度軽くなっているのかは不明ですが、数十kg単位で軽くなっているのは間違いないでしょう。ちなみにFK8にも「LE」と呼ばれる軽量バージョンが設定されていたそうで、そちらは標準車に対して47kg軽かったとのことです。

Honda Civic Type-R FL5 Nurburgring FF Lap Record

もう一つの大きな変更点はタイヤです。市販バージョンのFL5はミシュラン パイロットスポーツ4Sを履いていますが、アタック車両はミシュラン パイロットスポーツ カップ2 コネクトというタイヤを履いていました。
パイロットスポーツ カップ2はサーキット向けのレーシングタイヤですが、公道走行可能です。コネクトと付いているのは、ミシュランのトラックコネクトセンサーが装備されているためで、スマートフォンを利用してタイヤのデータをリアルタイムに監視することができます。
パイロットスポーツ カップ2 コネクトは一応ディーラーから注文できるらしく、それゆえホンダは「市販車に装備されているタイヤ」であると主張できるのだそうです。
ちなみにルノー メガーヌ R.S. トロフィーRは、ブリヂストンのS007を履いていました。S007もスポーツタイヤですが、パイロットスポーツ カップ2ほどのハイグリップタイヤではありません。

Honda Civic Type-R FL5 Nurburgring FF Lap Record

エンジンやサスペンションはノーマルだったそうですが、FL5のニュルタイムアタック車両は、市販バージョンと全く同じというわけではありませんでした。その点に関してはルノー メガーヌ R.S. トロフィーRと何ら変わりません。
ニュルブルクリンクを市販車でタイムアタックして性能をアピールするというプロモーション手法は、日産がR35 GT-Rでポルシェ911ターボのタイムを打ち破って以来火がつき、メーカー各社がこぞって行ってきた手法ですが、そろそろその意義を考え直す時期に来ているのかもしれません。レーシングカーのような市販バージョンを用意すれば、いくらでもタイムを更新できてしまうのですから。

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