アストンマーチン・ヴァルキリー レッドブルF1が翼を授けたV12搭載のハイパーカー
アストンマーチンがレッドブルF1チームとともに開発したハイパーカーの名前が、アストンマーチン・ヴァルキリーだと発表されました。
更新情報
名称発表に伴い車名表記を書き換えるとともに、新情報を追加し、ページの構成を見直しました。(2017/03/07)
トップ画像の出典: autoexpress.co.uk
アストンマーチン・ヴァルキリーの概要
アストンマーチンの車名は、必ず「V」で始まります。
ヴァルキリーもその伝統に則っているわけです。また、車体のバッジはDB2の頃に使われていた意匠に変更されています。
今後はヘリテージを強く打ち出していくつもりなのでしょう。
ヴァルキリーは、ロードゴーイング仕様とサーキット専用車の2種類が生産されるそうです。
後者に関してはアンディ・パーマーCEOが「シルバーストーンサーキットにおいて、F1もしくはLMP1マシンよりも速い」とコメントしていますが、この人はあの「GT-R LMニスモ」のプロジェクトで「2年以内にル・マンで勝つ」と豪語しておいて、さっさとアストンマーチンに転職した人なので、話半分で聞いておいた方が良いと思います。
ちなみにロードゴーイング仕様は、150台のみの限定生産となります。
ヴァルキリーのエンジン
エンジンなんと自然吸気で、コスワース製の6.5リッター・V12が搭載されます。
このエンジンにF1でおなじみの運動エネルギー回生システム「KERS」と、ハイブリッド用の軽量なバッテリーが組み合わされるそうです。
最高出力は900psになる予定ですが、エンジンのみで900psなのか、それともKERSの出力込みなのかはわかりません。
ただしエンジンのみで900psを出そうとすると、10000回転以上は回す必要があるはずなので、多分KERS込みでしょう。
なぜなら超高回転型エンジンにしてしまうと低速トルクがスカスカになり、ロードカーとして使えなくなってしまうからです。
トランスミッションはリカルド社が新設計した7速で、パドルシフト付きとなります。
ただしシングルクラッチなのかデュアルクラッチなのかは不明です。
F1はシングルクラッチのセミATなので、それに倣う可能性もあります。
ヴァルキリーのシャシー
マシンの重量は900kg程度になるのだとか。
つまりパワーウエイトレシオ(PWR)は1です。
しかしこの数値を達成できるのは、サーキット専用車だけでしょう。
というのも、大排気量のV12エンジンは重量がかさむからです。
例えばランボルギーニ・アヴェンタドールの6.5L V12(700ps/8250rpm)は、単体重量が234kgもあります。
それよりもさらにパワーを上げつつ軽量化するのは、容易ではありません。
ヴァルキリーは0-100km/hを2秒でこなし、最高速は320km/hに達する予定です。
PWR=1ならば達成可能な数値ですが、果たしてどうなるでしょうか。
ブレーキはアルコン社とサーフェース・トランスフォーム社の協力により、ヴァルキリー用に軽量かつ強力なブレーキシステムが新設計されます。
電装系はボッシュ社が担当し、エンジン・コントロール・ユニット(ECU)だけでなく、トラクションコントロールや横滑り防止装置などのドライバーズエイドも供給する予定です。
ヴァルキリーのエアロダイナミクス
レッドブルF1チームとのジョイントということで、ヴァルキリーには最高レベルの空力性能が与えられます。
そこで白羽の矢が立ったのが、レーシングカー・デザイナーのエイドリアン・ニューウェイ氏です。
F1で何台ものチャンピオンマシンを生み出したニューウェイ氏のデザインで、ヴァルキリーは驚異的なダウンフォースを得ることになるでしょう。
ニューウェイ氏も乗り気です。
彼は6歳のころからロードカーのデザインをしたかったそうで、「アイデアを開発し現実化する機会をアストンマーチンから得たのは、途方も無くエキサイティングなことだ。私たちがF1で開発した技術を、別の場所で活かすことができるわけだからね」と語っています。
ヴァルキリーの価格・発売時期
お値段は200万ポンド(£1=¥140換算で、2億8千万円)となります。
F1チームが開発したロードカーとしては、ゴードン・マーレーが手がけた「マクラーレン・F1」がありましたが、価格は日本に入ってきた1994年当時のレート(£1=¥155円前後)で、およそ1億円でした。
新車価格で史上最高額の車は、現在のところ「ランボルギーニ・ヴェネーノ」のようです。
たった3台だけ販売されたこの車には、なんと300万ユーロ(€1=¥120換算で、3億6千万円)というプライスタグが付けられていました。
価格ではヴェネーノに及ばなかったヴァルキリーですが、速さではどうでしょうか。
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