今週末はスーパーフォーミュラ第6戦SUGO

SUPER FORMULA,モータースポーツ

マモノの正体とは?


画像の出典: ms.toyota.co.jp


スポーツランドSUGOの特殊性は、①コース幅の狭さ、②大きな高低差、③ピットおよびピットレーンの狭さ、④エスケープゾーンが狭く未舗装、などが挙げられます。

国内にある他の国際サーキットと、スポーツランドSUGOを比較してみました。

サーキット名 コース幅(m) 最大高低差(m) 最大直線長(m)
SUGO 10〜12.5 69.83 704.5
鈴鹿 10〜16 52 1200
富士 15〜25 35 1475
岡山 12〜15 29 700
オートポリス 12〜15 52 902

表を見ると、SUGOは他のコースと比べて最大幅が最も狭く、最大高低差が最も大きく、それでいて最大直線長は最も短い岡山とほぼ同じであることがわかります。

コースレイアウトに潜むマモノ

これらの特徴を併せ持つSUGOでは、オーバーテイクが極めて難しいことが容易に推測できます。コース幅が狭ければサイド・バイ・サイドに持ち込みにくいですし、高低差が大きいとブレーキングの難易度が高くなります。そしてストレートが短いため、スリップストリームを使ってのオーバーテイクも困難です。

コース上での追い抜きが難しいならば、ピット作戦でライバルの前に出るしかありません。ピット作業の成否が順位を決定づけてしまうような状況では、ピットクルーには過度のプレッシャーがかかります。当然、ミスも多くなります。

ピット作戦が上手く行かなかったドライバーは、困難なコース上での追い抜きを実行するしかありません。しかしコース幅が狭いですから、ほんの少し無理しただけでも他車と接触してしまいます。そしてエスケープゾーンが狭く舗装されていないSUGOでは、わずかなコースアウトがリタイアに繋がることが多いのです。

SUGOのマモノの正体は、ミスに手厳しいコースレイアウトであると言えるでしょう。

スーパーフォーミュラ第6戦SUGOの順位予想

マモノに呪われたJ-P.デ・オリベイラ

全日本F3時代にまで遡っても、JPにはSUGOでの優勝経験がありません。それどころか、トップフォーミュラとGTではSUGOで表彰台に登ったことがありません。GTでは2010年に記録した5位が、トップフォーミュラでは2012年に記録した6位が、JPのSUGOでの最上位です。


マモノに愛されている石浦

SUGOでの平均順位比較※1

ドライバー 予選平均順位 決勝平均順位
J-P.デ・オリベイラ 7.57 15
石浦宏明 6.4 4.8
アンドレ・ロッテラー 4.375 9.375
中嶋一貴 5.5 5.75

※1 表を作成する便宜上、リタイアもしくは失格であっても、リザルト表の記載順に従って順位づけし、平均順位を計算した。


ここが正念場のJP

JPは予選の平均順位でも他のドライバーに遅れを取っていることがわかります。現在ランキング3位のJPですが、苦手とするSUGOでなんとか表彰台に登らなければ、最終戦を待たずしてタイトル獲得の可能性が消えてしまうことも考えられます。

表彰台orノーポイントのアンドレ

アンドレ・ロッテラーはSUGOでの予選平均順位が最も良いドライバーですが、決勝はトラブルに巻き込まれることが多いです。ただトラブルフリーで走ったときには全て表彰台に登っていますから、SUGOは得意なサーキットといえるでしょう。

実力的にはナンバーワンかもしれない中嶋一貴

中嶋一貴はSUGOで常に好成績を残しています。決勝の平均順位は、2013年のピット作業でのミスがあったために石浦に劣っていますが、それを除いて考えると、実力的にSUGOマイスターといえるのは一貴かもしれません。

なぜかトラブルに巻き込まれない石浦

石浦宏明もSUGOで速いドライバーです。しかし特筆すべきは彼の速さではなく、国内トップフォーミュラのSUGO戦において、トラブルに遭遇したことがただの一度もないということです。そのため石浦だけは、決勝平均順位が予選平均順位を上回っています。

小林可夢偉は伏兵となり得るか?

予想される展開

ポールポジションを誰が獲得するにせよ、決勝は石浦vsトムスの2台を中心に展開するものと思われます。アンドレが一貴をサポートできれば、選手権争いで一貴が石浦を逆転することも可能でしょう。

しかし今季は小林可夢偉がいます。いまだ未勝利ですが、初年度にも関わらず当たり前のように優勝争いを繰り広げている彼ですから、SUGOでも予選上位に食い込んでくるでしょう。可夢偉がスタート直後の1コーナーで石浦や一貴の前に出た場合は、熾烈なバトルになるかもしれません。

タイトルの可能性がない可夢偉は1勝を手にするべくポジションを頑として譲らないでしょうし、タイトル争いをする2人は1つでも順位を上げたい。もし石浦か一貴のどちらかだけが可夢偉に先行した場合は、面白いことになるでしょう。

ただ心配なのは、マモノの存在です。SUGOのマモノは、ドライバーの些細なミスにも牙を剥きます。積極果敢な可夢偉の走りが、裏目に出なければ良いのですが。