カルソニックインパルGT-Rは、鬼門のオートポリスを攻略できるか? スーパーGT第7戦プレビュー
最終戦の1つ前には、伏兵が潜んでいる
2015年のスーパーGTもいよいよ佳境に差し掛かってきました。ハンデウェイトが半分になる第7戦は、速さを取り戻した上位チームと、軽さを活かして表彰台を狙う下位チームとの間のスピード差があまりなく、思わぬチームが表彰台に立つことが多いです。
タイで行われた昨年の第7戦では、D 'station ADVAN GT-Rが2位に入りましたし、2012年の第7戦オートポリスでは、ウェッズスポーツADVAN SC430が3位を獲得しました。
秋のオートポリスと相性の悪いインパル
一方、毎年のようにチャンピオン争いを展開しながらも、最終戦の1つ手前で必ずと言っていいほどつまづくチームがインパルです。インパルを転ばせる小石は、秋開催のオートポリス戦です。
驚くべきことに、インパルはスーパーGTのオートポリス戦で優勝したことがありません。秋のオートポリス戦に限れば、表彰台未経験です。オートポリスにおける直近5回の秋開催で、インパルが獲得したポイントはわずか2ポイント。これではタイトルを取れません。
インパルが秋のオートポリスで活躍できない理由
前段で「秋のオートポリス戦に限れば」と書いたように、春開催だった2014年には、インパルはオートポリスで表彰台に上っています。そのときのハンデは62kg。なのでインパルチームと2名ドライバーが、オートポリスを苦手としているわけではありません。
マシンのせいでもない
この稿の最初に書いたように、最終戦の1つ手前では伏兵の活躍が目立ちます。下位チームのマシンでも条件が合えば活躍できるわけですから、インパルが日産から供給されているマシンの戦闘力が、ニスモに比べて大きく劣っているとは考えづらいです。
マモノのせい?
非科学的です。
タイヤのせい?
タイヤ自体に問題はありません。オートポリスにおけるブリヂストンとミシュランの戦績は拮抗しており、ブリヂストンユーザーのインパルが特別不利だったわけではありません。
問題は、路面とタイヤのマッチングにあります。ここ数年のインパルチームは、秋のオートポリスの路面にタイヤを合わせこむことが出来ずにいたのです。
カルソニックカンセイのレースリポートを読むと、インパルチームがこの問題で苦しんでいたことがわかります。
2012 SUPER GT 第7戦 カルソニックカンセイレースレポート
2011 SUPER GT 第7戦 カルソニックカンセイレースレポート
オートポリスに合わない「星野イズム」
オートポリスはタイヤに厳しいコースです。しかも春開催の場合は路面温度が高くなりがちですから、タイヤチョイスはハードタイヤ一択となります。
しかし秋開催の場合、路面温度が低くなることが多いです。そのような状況ではソフトタイヤの方がタイムが出るので、タイヤに厳しいコースだからと言ってハードタイヤを選べません。だからといって柔らかすぎるタイヤを履けば、あっという間に摩耗してペースダウンしてしまいます。
秋のオートポリスでインパルが苦戦する原因は、タイヤチョイスの難しさにあったのです。こればかりは、データを豊富に持つワークス・チームに分があります。
タイヤチョイスの面でも、タイヤマネジメントの面でも厳しいオートポリスには、激しい走りが信条の星野イズムは合わないのかもしれません。筆者は大好きですけど。
でも今年はチャンス
秋のオートポリスで煮え湯を飲まされ続けてきたインパルにも、ようやくチャンスが巡ってきました。インパルの重量ハンデはたったの1kgです。燃料リストリクターのハンデはありますが、オートポリスでの影響はそれほど深刻ではなさそうです。
ニスモ、S Road、レイブリック、ZENT、ペトロナスなどは、40kg以上の重量ハンデを背負ってのスタートとなります。タイヤに厳しいサーキットでは、この重量ハンデがボディーブローのように効いてきます。自分は軽く、タイトルを争うライバルたちだけが重いというのは、インパルにとって理想的な状況です。
それでもインパルがダメだったら
マモノのせいでしょう。