遺恨勃発か? 後味の悪いニスモの勝利 スーパーGT第7戦決勝レビュー
雨に翻弄されたオートポリス
オートポリスで行われた第7戦決勝は#1モチュールオーテックGT-Rが勝利し、ポイントを64まで伸ばし、ランキング2位に躍進しました。
2位に入った#12カルソニックインパルGT-Rは、ポイントを66としランキング首位を守りましたが、2ポイント差で最終戦を迎える事態になってしまいました。
日産としては最高の展開です。しかし#1と#12に接触があったために、後味の悪い結果となってしまいました。表彰式でのJ-P.オリベイラや安田裕信の表情を見るかぎり、最終戦では日産勢同士が骨肉の争いを繰り広げるかもしれません。
ピットタイミングが遅すぎたインパル
レース序盤に#12オリベイラを追走していたのは、#38ZENT セルモ RC Fでした。しかし#38立川が第2ヘアピンでコースオフした後は、#12がトップを独走、2位に上った#23クインタレッリとのギャップを広げていきました。
雨が#12のピットスケジュールを狂わせた
15周目あたりから、タイヤ摩耗でペースを落とす車がチラホラと出てきました。雨も降り出しましたが、レインタイヤに変更するほどではありませんでした。
少しして雨脚は弱まってきましたが、完全に止んだわけではなく、いつ本降りになってもおかしくない状況でした。天候を見極めたい各チームは揃ってピットスケジュールを遅らせ、レース距離の半分を過ぎても周回を続けます。
アンダーカットした#1
#1は35周目にピットイン。一方#12はピットの混雑を避けるために、ピットスケジュールを遅らせ39周終わりにようやくピットへ。この4周の差が運命を分けました。
34周目の段階で、#12と#1との間にはおよそ3秒の差がありました。しかしアウトラップで#12はあっという間にそのマージンを失い、41周目のホームストレートで#1に抜かれてしまいました。
守りに入ってしまった#12
#12はレースでもランキングでもトップに立っていたがゆえに、保守的になりすぎました。雨を待ち、他チームのピット作業の終了を待ち、結局#1が追いつくのを待ってしまったのです。
運命の47周目
バンザイ・アタック
#1松田を抜くしかない#12安田は、47周目の第2ヘアピンでオーバーテイクを仕掛けます。しかしブレーキングを遅らせすぎた#12は、#1のインサイドをかすめてオーバーシュート。GT-Rを何とかコース内に留めたものの、大回りを強いられます。
事故か、仕返しか
すんでのところで衝突を回避した#1でしたが、慌てたのかインカットするようなラインを取ったためにマシンが跳ね、コントロールを失ってアウト側にいた#12に接触してしまいます。
筆者の目にはかなりの勢いで接触したように見えましたが、低速コーナーだったことも幸いしたのか、2台ともその後の走行に支障はありませんでした。
雨に打ち勝った#1
その後雨脚が強まると、#1のペースが落ち始めます。松田によると、雨とピックアップ(タイヤカスを拾うこと)に悩まされ、難しい状況だったようです。ファイナルラップには#12がテールトゥノーズに持ち込みましたが抜くには至らず、結局そのままの順位でチェッカー。松田はGT500で16回目の勝利を上げ、本山哲、立川祐路らと並び、歴代トップタイとなりました。
歓喜と憮然
表彰式には歓喜と憮然が並んで立っていました。オリベイラは怒りをこらえるのが精一杯といった感じで、シャンパンファイトもろくに行いませんでした。
タイトル争いは俄然面白くなりました。けれど今回のことは日産陣営内部で、後々まで尾を引くでしょう。最終戦だけでなく、来季のドライバーラインナップにも影響が出そうです。