排ガス不正は続くよどこまでも? ルノーとFCAにもチート疑惑
フィアット・クライスラー・オートモビル(FCA)に、フォルクスワーゲンと同様の嫌疑がかけられています。
排ガス規制逃れのためにディフィートデバイスを使用していると、米国環境保護局(EPA)に指摘されたのです。
フランスの検察当局も、ルノーの排ガス不正について捜査を開始しました。
基準試験とエンジン認証に関連する施設を家宅捜索したようです。
両社ともに疑惑を否定していますが、もし当局の指摘が事実ならば、巨額の罰金が課せられるのは確実です。
今回はFCAとルノーの疑惑について詳しく見ていきます。
画像の出典: netcarshow.com
FCAの排ガス不正疑惑
EPAが「大気浄化法違反」としたのは以下の車種です。
車種 | 年式 | 販売台数 |
---|---|---|
ラム1500 | 2014 | 14,083 |
2015 | 31,948 | |
2016 | 32,219 | |
グランドチェロキー | 2014 | 14,652 |
2015 | 8,421 | |
2016 | 2,469 |
以上、合計103,828台です。
FCAの不正の手口
FCAのディーゼルエンジンは、特定の条件で排ガス浄化システムが機能しなくなるようなソフトウェアを搭載していたようです。
具体的には以下のような操作を行っていました。
- 高速走行時のEGR(排気再循環)オフ
- 車速が上がるごとにEGRが減少する
- 排気側バルブのクリーニングのためにEGRがオフになる
- SCR触媒適応中のアンモニア無効化
- ウォームアップ時のSCR触媒無効化
- SCR触媒のアンモニア補充を遅らせるための負荷リミッター
FCAはこれらをエンジン保護のためだと主張。
今回のEPAの決定に失望しているとコメントしています。
しかし上で列挙したソフトウェアの機能について、FCAは未申告でした。
EPAは長らくFCAと協議を重ねてきたそうですが、未申告のソフトウェア機能に関する有効な説明は、ついに聞けなかったとか。
その結果EPAは、明確な大気浄化法違反であると見なしたようです。
EPAによれば、FCAの行為が違反として認められた場合の罰金額は、1台あたり最大で4.4万ドル、総額では46億ドル($1=¥115換算で、5290億円)に及ぶ可能性があります。
VWのときは当初、制裁金額が180億ドルになると言われていました。
しかしその後は減額され、最終的には43億ドル(民事15億ドル、刑事28億ドル)で当局と和解しています。
ちなみに修理やユーザーに対する保証などを含めたVWの排ガス不正問題に関する支出の総額は、最大167億ドル(同、1兆9205億円)となる見通しです。
ルノーの排ガス不正疑惑
ルノーに関しては、具体的な不正内容はまだ明らかになっていません。
しかしパリの検察当局が捜査を開始したのは事実です。
また、フランス経済省の不正捜査当局が、ルノーの排ガス基準試験とエンジン認証に関連する複数の施設を家宅捜索したようです。
VWのスキャンダルの後、フランス当局は市場で販売されている100車種の排ガスを再テストしました。
フランスの市場シェアに基き車種が選ばれたため、再テスト100車種中25車種がルノー車でした。
再テストの結果を受けたフランスのエネルギー大臣は、ルノーやその他のメーカーの車種のなかに、NOx排出量が法律の許容範囲を越えていたものがあったとコメントしています。
ルノーは当局の捜査に全面協力しているとのことですが、ディフィートデバイスは使用していないと、メディアの取材に反論しています。
先述の再テストでも、当局からディフィートデバイスの指摘はなかったとルノーはコメントしています。
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