WRC2017 ラリー・モンテカルロ 両雄激闘! トヨタ健闘!
2017年のラリー・モンテカルロは、フォードに移籍して最初のラリーとなるセバスチャン・オジェと、ヒュンダイのエースの座を取り戻したいティエリー・ヌービルが、手に汗握るバトルを展開してくれました。
初日・2日目
4日間に渡って争われた2017年のラリー・モンテカルロですが、最初のステージで悲劇が起こってしまいました。詳しくはリンク先をご覧ください。
SS(スペシャルステージ)1がキャンセルとなったため、実質的には最初の競技区間となったSS2では、ヌービルがベストタイムを記録。
オジェは7.8秒遅れの2位で初日を終えます。
このままヌービルとオジェのバトルが続くかに思われましたが、2日目最初のSS3でアクシデントが発生。溝にはまったオジェのフィエスタが脱出に手間取り、大きくタイムロスしてしまったのです。
このたった一回のミスにより、オジェはヌービルから49.4秒遅れとなってしまいました。
「すごく、すごく凍っていたんだ」とミステイクの場面を説明するオジェ。「ハンドブレーキを引いたけど、車は曲がってくれなかった。10km/hくらいしか出てなかったのにね。スーパートリッキーだ。この道を最初に走るのは災難だよ。もっと速く走れるとは思うけど、一日の始まりがこんなことになるなんて……。」
SS4〜6でヌービルが3連続ベスト。
ヌービルとオジェの差は、SS6終了時点で1分12秒にまで開いていました。
両者の間に割って入ったのがオットー・タナク(フォード)でしたが、スピードではヌービルに及びません。
SS7〜8ではオジェが連続ベストでやり返しますが、それでも差は45秒1までしか縮まらず。
SS3で失ったタイムを取り戻せないまま、オジェは3日目に臨むことになりました。
3日目
SS9の最速タイムはヌービル。
オジェは2.6秒遅れの2番手タイムでしたが、3番手に意外な伏兵エルフィン・エヴァンス(フォード)が飛び込んできました。
3台目のフォード・フィエスタWRC’17を駆るエヴァンスは、WRカーの中で唯一DMACKタイヤを履いています。
スノー・ステージではお話にならないDMACKタイヤでしたが、ほぼターマック(舗装路)となったSS9では目の覚めるような快走を見せ、エヴァンス自身も「サプライズだよ、でもオーケーだ」と驚いていたほどです。
エヴァンスはSS11こそタイヤをオーバーヒートさせ失速したものの、SS10・12・13でベストタイムを叩き出し、3日目だけでトップとの差を50秒近く縮める大健闘。総合6位でこの日を終えました。
ヌービルとオジェの総合トップ争いは、SS12を終えてもオジェの51秒遅れと、2日目終了時点とほぼ変わらず。
ヌービルは終始優勢にラリーを展開していました。
しかしSS13でヌービルが痛恨のミス。
「低速コーナーの出口だった。リアがワイドに膨らんで、何かにヒットしたんだ」
彼のヒュンダイi20クーペWRCは右のリアサスを破損し、デイリタイヤに追い込まれてしまいます。
これでオジェがトップに返り咲き。2番手はタナク、そして3番手には復帰初戦のトヨタ! 慎重にラリーを進めていたヤリ-マティ・ラトバラが、ヤリスWRCを表彰台圏内にまで押し上げてきたのです。
4日目
3日目終了時点のタイム差は、タナクがオジェから47.1秒遅れ、そしてラトバラがそのタナクから1分33秒5遅れ。
最終日に設置された4つのSSのタイムだけで逆転するには、いくらなんでもタイムギャップが大きすぎる状況です。
したがって、如何にミスをせずに順位をキープするかが重要になってきます。
しかしドライバーがミスをしなくても、マシントラブルが起きればどうしようもありません。
タナクのフィエスタWRCはエンジンが2気筒しか機能しなくなり、ロードセクションで立ち往生してしまいました。
タナクが修理を行いリタイアだけは避けられたものの、タイムコントロールに5分遅れで到着したため、50秒のペナルティを課せられてしまいます。
これでラトバラが2位に浮上。
SS16のキャンセル(観客が危険区域に進入したため)等もあって、その後の順位変動は起こらず。
1位オジェ、2位ラトバラ、3位タナクで表彰台が確定しました。
トヨタは復帰初戦で2位に入るという快挙を達成したのです。
「アメージング!」とラトバラ。「(移籍して)最初のラリーで2位になるなんて信じられない! チームには本当に感謝している。彼らは素晴らしい努力をしていて、この順位にふさわしい。それにメイド・イン・フィンランドのラリーカーだからね!」
最終結果
順位 | ドライバー | メーカー | トップとの差 |
---|---|---|---|
1 | S.オジェ | フォード | ── |
2 | J-M.ラトバラ | トヨタ | +2分15秒0 |
3 | O.タナク | フォード | +2分57秒8 |
4 | D.ソルド | ヒュンダイ | +3分35秒8 |
5 | C.ブリーン | シトロエン | +3分47秒8 |
6 | E.エバンス | フォード | +6分45秒0 |
7 | A.ミケルセン | シュコダ | +9分32秒7 |
8 | J.コペツキー | シュコダ | +12分58秒1 |
9 | S.ルフェーブル | シトロエン | +14分43秒8 |
10 | B.ブフィエ | フォード | +16分9秒4 |
15 | T.ヌービル | ヒュンダイ | +30分52秒5 |
16 | J.ハンニネン | トヨタ | +32分16秒8 |
次戦スウェーデンは2月9日にスタートが切られます。