デイリーF1ニュース(2018年4月22日) ハース代表「F1はインディカーのように低レベルなことをするな」

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最新のF1ニュースをコンパクトにまとめてお送りするデイリーF1ニュース
本日のヘッドラインは以下のとおりです。

  • ハース代表「F1はインディカーのように低レベルなことをするな」
  • ヒュルケンベルグ「スパでポルシェが出したタイムはF1が破る」
  • MotoGPライダー、COTAの路面状態を嘆く

それではご覧ください。


ハース代表「F1はインディカーのように低レベルなことをするな」

オーバーテイク不足に悩まされているF1とは対照的に、インディカーでは多くのオーバーテイクが生まれています。
開幕戦セントピーターズバーグでは、実に366回ものオーバーテイクが確認され、それまでのレコードを塗り替えました。

インディカーのオーバーテイクが増えたのは、エアロキットの標準化と合わせて、ダウンフォースが2割も減らされたからです。
ダウンフォースが減ったことで車体後方の乱気流も減り、接近戦に持ち込みやすくなりました。

F1でもコンポーネントの標準化は度々話題になっています。
コストを削減することが主な目的ですが、性能差が無くなることも無視できません。
インディカーの如くシャシーを標準化してしまえば、各チーム間の格差は大幅に縮小するでしょう。

しかしハースを率いるギュンター・シュタイナーは、F1にはワンメイクシャシー(原文ではspec chassis)を導入すべきではないと考えているようです。

「F1がワンメイクカーに向かうと、それはF1の終わりだと思う」とシュタイナー。「F1はモータースポーツの頂点であり、技術は依然として重要だ」

「F1が低レベルなことをしないよう、われわれは注意する必要がある。われわれが思っている以上に多くの人々が、レースだけでなく技術にも興味を持っているのだ。そしてF1は、優れた技術のショーケースだと私は思う」

「少なくともわれわれが何をしているのかを、人々が知りやすくするために、われわれはより多くのことに取り組む必要があると思う」

「インディカーは偉大だ」と語るシュタイナーですが、F1は違う道を行くべきだと強く主張しています。

インディカーも技術競争が無いわけではありません。
しかし、自動車メーカーからすると、市販車に活かせない技術分野(例えばフォーミュラカーの空力など)には、お金を出しづらいという事情があります。

そこで市販車に活かせる分野は競争可能にして、それ以外はワンメイクにするというのが、インディカーやフォーミュラEのやり方です。
フォーミュラEは電気自動車、インディカーはダウンサイジングターボと、自動車メーカーにとって現在主流となっている開発分野ではレースを通じた技術競争を促し、逆にシャシーはワンメイクにして競争を止め、コストを削減しています。

F1の技術競争を主に支えているのは、自動車メーカーが投資する巨額のマネー(研究開発費)と、テレビ局からの放映権料、パートナーからのスポンサーフィー、そしてサーキットが支払う開催権料です。
それらを失えば、たとえF1だろうと技術開発はできなくなります。

そして自動車メーカー以外は、F1の人気にあやかろうとしてお金を支払っているのですから、つまらないレースを繰り返してファンを失えば、「技術のショーケース」も維持できなくなるのです。

結局ロス・ブラウン(F1のモータースポーツ・ディレクター)が言うように、レースの面白さと技術開発とのバランスを取るしか無いのだと思います。

Formula 1 mustn’t 'dumb down like IndyCar’ – Haas boss Steiner | autosport.com

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ヒュルケンベルグ「スパでポルシェが出したタイムはF1が破る」

ル・マン24時間レースWEC(世界耐久選手権)から撤退したポルシェは、919ハイブリッドに博物館行きを命じるのではなく、新たにタイムアタックカーとしての使命を与えました。

919ハイブリッドEvoは、ヘッドライトを取り除いただけでなく、燃料流量規制を解除し、フロントディフューザーやリアウイングも大型化されるなど、WECを走っていたマシンとは全くの別物です。

そしてタイムアタック専用マシンとなった919ハイブリッドEvoは、それまでルイス・ハミルトンが持っていたスパ・フランコルシャン・サーキットのコースレコードを、何と0.783秒も更新して見せました。

「今年スパ戦が巡ってきたら、われわれがそのレコードを破るだろう」と語るのは、ルノーニコ・ヒュルケンベルグです。「もしくは誰かが、ね」

ヒュルケンベルグは919ハイブリッドを駆りル・マンウィナーとなったことがありますが、事前に計画を聞かされることなどはなかったそうです。

レギュレーションを無視すればいくらでも速い車を作れると思うので、919ハイブリッドのタイムにはあまり意味は無いと思いますが、プロモーションとしては良いのかもしれません。
そのうち「タイムアタック用のF1マシン」が登場するかもしれませんね。
レッドブルに期待です。

F1 will “smash” Porsche’s Spa record – Hulkenberg | racefans.net

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MotoGPライダー、COTAの路面状態を嘆く

今週末はMotoGPのアメリカGPが行われていますが、開催地のサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)は、ライダーたちからの批判にさらされています。
路面が荒れ果てているからです。

F1マシンの強烈なダウンフォースによって、COTAのアスファルトは凸凹になってしまいました。
バンピーな路面には、あのバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)ですら手を焼いています。

「もはや災害だよ」とロッシ。「シーズン全てで最悪の状況だ。とても大きなバンプが3、4ヶ所もある」

「昨年、僕たちは改善をお願いしたんだ。彼らは何かをしてくれた。でも望みどおりとはいかなかったね」

COTA側はダイヤモンド・グラインダーでアスファルトを削り取ることで、路面の表面を平らにならそうとしたらしいのですが、これは逆効果だったようです。
前戦アルゼンチンで優勝したカル・クラッチロー(ホンダ)も、COTAの仕事ぶりを嘆いています。

「彼らは酷い仕事をしたと思う……」とクラッチロー。「彼らは路面を良くしようとしたのだろうが、悪化させた。昨年も悪かったけど、今年はさらに悪化している」

「このサーキットは大好きだが、でも路面が悪い。正直に言うと、GPに来たのにサーキットがこんな状態なのは最悪だよ」

コース上の埃も酷いらしく、ジャック・ミラー(ドゥカティ)に至っては、コース上にあった小石のせいでウィンドスクリーンが割れるという被害に遭っています。
カタールよりも埃が酷いのだそうです。

ダウンフォースが強すぎることが、思わぬところで問題を引き起こしていますね。
F1が来る度に路面を再舗装するなんてことは、開催権料が無料なモナコくらいしかできないでしょう。
路面を維持するサーキット側の負担を軽減しないと、モータースポーツの重要なインフラが失われるだけで、誰も得しません。

Source: COTA track surface criticised by MotoGP riders | en.f1i.com

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