スーパーフォーミュラ第2戦岡山予選 上位の顔ぶれに変化あり!
今週末はF1モナコGP、インディ500、ニュルブルクリンク24時間レース、そしてスーパーフォーミュラと、モータースポーツが目白押しです。その中でもスーパーフォーミュラは一番マイナーですが、コンペティションの激しさではNo.1でしょう。
トップ画像の出典: superformula.net
目次
Q1 波乱その1
予選開始時の気温は22℃、路面温度は26℃とほぼ平年並のコンディション。灰色の雲がかかっており、雨が心配される中で予選が始まりました。雨が降りだす前にタイムを出そうと、各車一斉にコースインしていきます。
NASCARじゃないんだから……
しかし短く・狭く・ツイスティな岡山国際サーキットでは、各車が適切な車間を空けることができず、そこかしこで渋滞が発生。ストフェル・バンドーン(ダンデライアン)は関口雄飛(IMPUL)と接近、予選中なのにバトルしているような状態になってしまいます。
また、昨年の岡山ウィナーである石浦宏明(セルモ・インギング)も、クリアラップを取ろうとペースダウンしている車列に追いついてしまい、最初のアタックをムダにしてしまいました。
チャンスは1度きり
半分を過ぎたところで全車が一度ピットに戻り、残り7分で再び全車コースインとなりました。ヨコハマタイヤは温まるまでに5〜6周かかるため、タイムを出すチャンスはQ1終了直前の1周だけ。ワンミスが命取りとなります。
この難しい状況で1分14秒095のタイムを出したのは、ディフェンディング・チャンピオンの石浦でした。11番手から一挙にジャンプアップしただけでなく、2位に0.5秒もの大差をつけてのトップ通過です。
石浦に続いたのは伊沢拓也(REAL RACING)で、以下国本雄資(セルモ・インギング)、塚越広大(REAL RACING)、中嶋大祐(NAKAJIMA RACING)というトップ5となりました。
Q1敗退メンバーが豪華すぎる件
ところが昨年岡山で石浦とデットヒートを繰り広げた小林可夢偉(Team LeMans)は、18番手という屈辱的なタイムでQ1敗退を喫してしまいます。
また、注目のルーキー・バンドーンが17番手、フリー走行3番手タイムの小暮卓史(DRAGO CORSE)が16番手に終わるなど、大物ドライバーがあっさりと姿を消す波乱がありました。
REAL RACINGの躍進や、ビッグネームのQ1敗退など、パワーバランスの変化が目についたQ1でした。
Q2 波乱その2
7分間しかないQ2で、タイヤを温めることを考えると、アタックラップは実質2周しかありません。そのため残り2分30秒を切ったあたりから、各車が続々とアタックラップに入っていきます。
まずトップタイムを出したのは石浦。それに伊沢、国本、塚越が続き、Q1の上位陣を中心にトップ争いが展開されます。
直後にナレイン・カーティケヤン(Team LeMans)が1コーナーでオーバーランしたものの、すぐにコースへと復帰したため赤旗はなし。
すぐにベルトラン・バゲット(NAKAJIMA RACING)がトップに躍り出ますが、間髪をいれずにJ.P.デ・オリベイラ(IMPUL)がトップタイムを更新。中嶋大祐も2番手タイムを記録するなど、タイムボードが目まぐるしく変化していきます。
天国と地獄
しかし石浦が1分13秒897のタイムで再びトップを奪い返すと、伊沢、塚越、国本らがNAKAJIMA RACINGの2台を上回り、元のポジションに復帰。さらには山本尚貴(無限)や野尻智紀(ダンデライアン)、関口らが好タイムを叩き出し、バゲットと中嶋大祐はカットライン以下に落ちてしまいました。
セッション残り12秒の段階では、NAKAJIMA RACINGの2台は2-3位を占めていました。しかしその後の数十秒間で、あっという間に8位以下に落ちてしまったのです。天国と地獄とは、まさにこのことでしょう。
絶不調のトムス
バンテリン・トムスは、前戦の鈴鹿に続いてまたしてもQ3進出を逃してしまいました。フリー走行から調子が上がらなかった彼らは、ヨコハマタイヤにいまだ順応できていないのかもしれません。常勝チームが表彰台の中央に戻ってくるには、まだまだ時間がかかりそうです。
超接近戦
Q2トップの石浦からQ2最下位(14位)のカーティケヤンまで、わずか0.6秒差しかありませんでした。SF14の熟成が進み、一発のタイムでは大きな差がつかなくなっています。
Q3 波乱起こらず
Q3も7分間ですから、Q2と同様に残り2分30秒前後からアタックが始まりました。
まず山本が1分14秒027を記録しますが、ポールポジションを取るには物足りないタイム。山本はアタックラップを継続します。
すると伊沢が1分13秒917でトップタイムを更新。さらに野尻も1分13秒940で13秒台突入。2人のタイムは、Q2で石浦が記録した1分13秒897に限りなく近いものです。
流石に石浦といえどもギリギリの戦いを強いられるだろうと思った矢先、ディフェンディング・チャンピオンは1分13秒620のスーパーラップを決め、鮮やかにトップを奪取してしまいました。
そのあと塚越が1分13秒893、オリベイラが1分13秒842を記録するものの、石浦には届かず万事休す。予選セッションすべてでトップタイムを叩き出す圧巻の走りで、石浦が今年の岡山でもポールポジションを獲得しました。
決勝予想
狭く・ツイスティで、直線が短い岡山国際サーキットで、オーバーテイクするのは困難です。よって先頭スタートの石浦が絶対的に有利ですが、明日の天気予報は雨。タイヤチョイスに失敗すれば、勝利の女神は機嫌を損ねてしまうでしょう。
ただし今年のセルモ・インギングには、浜島裕英総監督がいます。ブリヂストン、そしてスクーデリア・フェラーリでF1を戦い抜いてきたタイヤのプロがいる以上、タイヤ戦略で失敗する確率はかなり低いと言わざるを得ません。
ドライでは石浦無双。だが雨なら……
しかし雨になると外国人ドライバーが速さを発揮しますから、予選2位のオリベイラが石浦に食らいつく展開は十分に考えられます。また、予選3位の塚越も雨を得意とするドライバーです。
とはいえオリベイラ(もしくは塚越)が石浦とのテール・トゥー・ノーズに持ち込んだとしても、オーバーテイクはほぼ不可能です。よってピット戦略で前に出るしかありません。明日は戦略面も含めたピットワーク勝負になるでしょう。
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