走りに妥協はない BMW320dツーリングの評価・口コミまとめ
見た目はワゴン、エンジンはディーゼル、けれど走りはBMW
2.0Lディーゼルを搭載する320dツーリングは、大トルクによる怒涛の加速で評価されていますが、官能的なフィーリングには乏しいエンジンです。この点はBMWらしさに欠けます。
しかしハンドリングバランスは、BMWそのものです。ディーゼル特有の音やガサツなフィーリングさえ問題視しなければ、優れた動力性能を備えたスポーティなワゴンとして、唯一無二の価値を持つ車といえます。
ところがBMWの悪いところもしっかり受け継いでいるのがこの車です。それに関してはまとめをご覧ください。
トップ画像の出典: bmw.co.jp
目次
インテリア
シート
若干クッションが薄めですが、シートの座り心地は良好です。シートヒーターも快適ですし、運転席のメモリー機能付きパワーシートも便利です。
M-Sportシートはホールド感があって疲れにくいと言われています。また、本革シートは別にいらないとの声もありました。本革の質感はとても良いみたいですけどね。
インテリアの質感と使い勝手
BMWなので内装に高級感はありません。良く言えば質実剛健、悪く言えば安っぽい内装です。
小物収納は少ないです。サングラスホルダーすらありません。センターコンソールの肘掛け内も容量が小さく、シートバックポケットなどは廃止されてしまいました。
数少ない収納の質感もショボく、とくに前席のドリンクホルダーは非難の的となっています。
ラゲッジスペース
5名乗車時495L、最大1500Lと容量は十分ですが、ラゲッジの左右がえぐれていないので、大きめのゴルフバッグだと横置きできません。
リアシートは4:2:4の分割可倒式です。
リアシートを倒しても荷室長は1600mmほどなので、車中泊にはあまり向いていないと思います。
ナビ・電装系
インフォテイメント
3シリーズツーリングでもっとも評価が低いのがナビを含むインフォテイメントシステムです。使いづらいだけでなく、性能も低いのが問題視されています。以下に問題点を列挙します。
- タッチパネルではなく操作しづらい。(画面の大きさを活かしきれていない)
- ナビの指示するルートがおかしい。
- ランドマークまでの距離は表示されるが、時間は出ない。
- 時刻を自動設定できず、しかも時間がズレる。
- 常時時計が表示されない。
その他電装系
コンフォートアクセス(電動パワーリアゲート)のレスポンスが悪いです。
エクステリア
購入理由にデザインを上げる人がとても多い車です。
初期型はハロゲンヘッドライトでしたが、2015年9月のM/Cでヘッドライトとフォグランプが全車LED化されました。
リアハッチのガラス部分だけが開くのは、ライバルには無い強みです。
M/C後のモデルは、ブレーキダストが少なくなったようです。多少なりともホイール掃除が楽になったのは嬉しいですね。
エンジン・燃費・パワートレーン
抜群の経済性
実燃費は街乗り12〜16km/L、郊外・高速道路16〜24km/Lと良好です。しかも軽油なので経済的ですね。
けれどエコプロモードを選ばないと、1割程度燃費が悪化するとの指摘がありました。
クラス最高レベルのトルク
320dのトルクは380Nm(38.75kgf・m)なので、328i(350Nm)よりも大きく、トップグレードの340i(450Nm)に次ぐレベルです。
340iが約800万円であること考えると、528万円〜で買える320dのコストパフォーマンスの良さが際立っています。
マツダのSKYACTIV-Dは高回転型なので、街中での常用域では320dの方が加速感を味わいやすいです。
320dのアクセルを踏み込めば、車重が1.6tオーバーだなんてすぐに忘れてしまうでしょう。とくにsportモードでの加速は、その名に恥じぬ凄まじさです。でも吹け上がりの良さはガソリン車に劣るので、駆け抜ける喜びはイマイチかもしれません。
スムーズさを欠くアイスト
アイドリングストップはスタート・ストップ時のショックが大きく、洗練されていません。
8ATは優等生だが……
レブリミットが5500rpmと低いのですが、8ATは次々と変速して滑らかな加速を生み出してくれます。しかしコンフォートモードだとシフトダウンのタイミングが遅く、減速後に再加速するともたつきます。
ハンドリング・取り回し・視界
コーナリング・ブレーキング
直進・コーナリングともに安定感が高く、路面をしっかりと捉えているのがわかるハンドリングです。ドイツ車らしく、とくに高速域での安定性が高いです。
ブレーキは良く効くのですが、カックンブレーキになりやすいという、BMW車に共通する悪癖があります。
取り回し
このクラスのステーションワゴンとしては全幅1800mmと小さめなので、立体駐車場で困ることはありません。
M-Sportのフロントバンパーは段差で擦りやすいので注意しましょう。
視界
ドライビングポジションが低いので、合わない人もいるかもしれません。
バックミラーから見える範囲が広くないことと、Bピラーが太いことが相まって、斜め後ろの視界はあまり良くありません。
乗り心地・静粛性
乗り心地
ランフラットタイヤの硬さが気になるという人と、気にならないという人がいます。BMWユーザーは比較的硬めの足を好む人が多いので、気にならないという評価はやや割り引いて聞く必要があるでしょう。
M-Sportはけっこうな突き上げ感があります。特に後部座席は酷いです。M-Sport以外の乗り心地は良好とのことですが、柔らかすぎてBMWらしくないとの批判もあります。
静粛性
ディーゼルだとはっきりわかる音がします。それがイヤだからガソリンエンジンのグレードを買ったという人もいました。車内は遮音性が高いですし、停止時にはエンジンが止まるのでカリカリ音は気にならないとの声もありました。
安全性
◯=標準装備 △=メーカーオプション −=設定なし
装備 | 標準車 | Sport | Luxury | M Sport |
---|---|---|---|---|
横滑り防止装置 | ◯ | |||
プリクラッシュブレーキ(低速) | − | |||
プリクラッシュブレーキ(高速) | − | |||
クルーズコントロール | ◯ | |||
レーダークルーズコントロール | ◯ | |||
車線逸脱警報 | ◯ | |||
レーンキープアシスト | − | |||
アダプティブヘッドライト | − | |||
ブラインドスポットアシスト | △ | |||
ヒルスタートアシスト | ◯ | |||
運転席・助手席エアバッグ | ◯ | |||
サイド・カーテンエアバッグ | ◯ |
値引き額・中古車動向
新車購入時の平均値引き額
対象 | 平均値引き額(万円) |
---|---|
M Sport以外 車両本体 | 18.3 |
M Sport以外 オプション | 7.5 |
M Sport 車両本体 | 27.9 |
M Sport オプション | 9.3 |
人気のあるM Sportの値引き額が大きいのが意外でした。
中古車動向
M Sportの方がやや割高な価格で取引されていますが、割安な他グレードで十分でしょう。走行距離2万km以下の個体が400万円以下で見つけられます。
BMWは認定中古車ならば「BMW プレミアムセレクション延長保証」を受けられます。24時間のサポート付きなので、中古で買うなら認定中古車を選んだ方が良いでしょう。ただし車両登録から3ヶ月間しか申し込めないので注意してください。
ライバルとの比較
- BMW……320dツーリング(F31)
- M-Benz……C220dステーションワゴン(W205)
- Mazda……アテンザワゴンXD
比較項目 | BMW | M-Benz | Mazda |
---|---|---|---|
全長(mm) | 4645 | 4705 | 4865 |
全幅(mm) | 1800 | 1810 | 1840 |
全高(mm) | 1460 | 1450 | 1450 |
ホイールベース(mm) | 2810 | 2840 | 2830 |
最小回転半径(m) | 5.4 | 5.1 | 5.6 |
5名乗車時ラゲッジ(L) | 495 | 470 | 506 |
最大ラゲッジ容量(L) | 1500 | 1490 | 1648 |
JC08燃費(km/L) | 19.4 | 19.6 | 20.0 |
価格(万円) | 528〜 | 595〜 | 317〜 |
ディーゼル搭載のステーションワゴン同士で比較してみました。アテンザワゴンはコストパフォーマンスが高いですが、全長が長すぎる上に最小回転半径も大きいですね。320dツーリングが一番コンパクトなので、使い勝手が良さそうです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。以下の記事もぜひご覧ください。
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