EV仕様のNSXがパイクスピークに登場する
6月26日に開催されるパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムに、完全な電気自動車(EV)に改造されたNSXが出場することがわかりました。市販のNSXを改造したハイブリッド仕様の2台に続く3台目のNSXとして、100周年記念大会に出場します。
トップ画像の出典: diariomotor.com
目次
ホンダ勢の参戦体制
ホンダからは3台のNSXが出場します。
NSX EV CONCEPT
4つのモーターが搭載されたEV仕様のNSXは、SH-AWDがフィーチャーされたプロトタイプです。山野哲也がドライブし、Electric Modified Classに出場します。
スーパーGT・GT300クラスで3回、そして全日本ジムカーナでは16回もチャンピオンになった彼は、昨年のパイクスピークにもEV仕様のCR-Zで参戦、10分23秒829のタイムを記録しています。
昨年のCR-Z EVは、後輪制御を主とするSH-AWDを前輪にも応用し、4輪を独立制御してトルクベクタリングを行うものでした。
このCR-Zのパワートレインを進化させ、出力を3倍に高めたものが、今年のNSX EVに搭載されます。
NSX TA1
Time Attack 1 Classに出場するNSXは、市販車と同じハイブリッド・パワートレインを搭載していますが、軽量化が施され、排気系はハイフロー・エギゾーストの交換されているそうです。
ドライブするのは、北米ホンダのパワートレイン開発部に所属するジェームズ・ロビンソンです。といってもズブの素人ではありません。彼は2012〜2015年のパイクスピークに、初代NSXで出場した経験があります。
NSX TA2
Time Attack 2 Classに出場するNSXは、モータースポーツ用の安全装備を追加しただけの車両です。もっとも市販車に近いマシンでのチャレンジとなります。
ドライバーはニック・ロビンソン。前出のジェームズ・ロビンソンの兄であり、新型NSXの開発者でもあります。2015年のPP250クラスウィナーですから、実力は十分です。
NSX EVのライバルたち
NSX EVがエントリーするElectric Modified Classは、昨年の覇者リース・ミレンや、「モンスター」の異名をとる田嶋伸博が参戦するクラスです。昨年に引き続きUnlimited Class(改造無制限)にワークスエントリーはないので、おそらく総合優勝を争うクラスとなるでしょう。
Tajima Rimac E-Runner Concept_One
モンスター田嶋が100回記念大会のパイクスピークに持ち込むのは、昨年のE-Runnerをさらに進化させたモデルです。
出力は1.1MW(約1500ps)で、4輪トルクベクタリングの制御を最適化。シンガポールGiti Tireによるパイクスピーク専用タイヤは、サイドウォール剛性をさらに高めてあるそうです。空力バランスの向上でより一層の磨きがかかったコーナリングで、大幅なタイムアップ=優勝を狙います。
eO Drive PP100
ラトビアのeO社製マシンです。ドライブするのはリース・ミレン。グローバル・ラリークロスではレッドブルのドライバーを務めています。ちなみにリースの父親であるロッド・ミレンも、パイクスピークでモンスター田嶋と熾烈な争いを繰り広げた名ドライバーです。
モンスター田嶋によるとeO社製のマシンは軽さに特徴があり、E-Runnerと比べると実に830kgも軽いとか。
昨年は9分7秒222を記録したリース・ミレンは、「今年は9分を切りたい」と意気込んでいます。ウィロースプリングス・レースウェイでのテスト結果も良好だったようです。今年も優勝候補の最右翼でしょう。
NSXタイプRはどうなった?
今年のパイクスピークに、ノンハイブリッドのNSXが参戦するという噂がありました。そのNSXはリア2輪駆動に変更され、電動ターボを組み合わせたツインチャージャー仕様であり、タイプRのプロトタイプであるとされていたのです。
噂の出処は開発者のニック・ロビンソン自身でしたから、かなり信憑性が高い情報だと見られていました。しかしフタを開けてみれば、市販車をライトチューンした2台に加え、EV化されたNSXが追加エントリーされただけです。タイプRのプロトタイプなんて、影も形もありません。
新型NSXタイプRは、ホンダ内部でかなり強力にプッシュされていたといいます。しかし八郷隆弘社長の体制になって、事情が変わったのかもしれません。
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