CR-Zが欲しいなら買う前に知っておくべき5つのこと 価格、評価や口コミ、ライバルとの比較、中古車を買う際の注意点など
CR-Zはスポーツカーとしてもエコカーとしてもいまいちで、中途半端な車です。
でも走るのが楽しくてフロントシートも広いので、パーソナルクーペとしては理想的な車だったりします。ユーザー満足度が高いのもそのためでしょう。
サーキットを走るなら86/BRZがベターだと思いますが、流して楽しむだけならCR-Zでも十分です。燃費もそこそこ良いので、普段使いにも適しています。
ハイブリッドカーですが人気車ではないので、中古価格が比較的手頃なのもうれしいですね。安く手に入れることができれば、かなり楽しめる車だと思います。これからが狙い目の車です。
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グレードごとの価格と主な装備
β
ベータは装備を簡略化した廉価グレードです。主な標準装備は、
- ABS(EBD付き)
- 横滑り防止装置
- クルーズコントロール(ZF2のみ)
- フルオートエアコン
- ウレタン製ステアリング
- 16インチスチールホイール
などでした。ベータは2015年8月のマイナーチェンジ(M/C)で廃止されています。
価格は「ZF1 β」が226.8万円。「ZF2 β」は236.5万円、消費税率引き上げ後は243.2万円で販売されていました。
α
アルファは充実装備の上級グレードです。主な標準装備は、
- ABS(EBD付き)
- 横滑り防止装置
- クルーズコントロール
- フルオートエアコン
- 本革巻きシフトノブ(6MT車)
- 本革巻きステアリング
- 高輝度メタルインテリアガーニッシュ
- スマートキー
- ディスチャージヘッドライト
- ハーフシェイド・フロントウィンドウ
- リアワイパー
- 親水ヒーテッドドアミラー
- 16インチ軽量アルミホイール
などとなります。
2015年8月のM/Cでは、「LEDヘッドライト」
「プッシュエンジンスタート/ストップ」「電子制御パーキングブレーキ」「コンソールボックス内蔵アームレスト」が追加されています。
また、エンジン音をスピーカーから出力する「アクティブサウンドコントロール」や、ノイズを逆位相の音で打ち消す「アクティブノイズ」など、音に着目した装備が加わったのも特徴です。
新車価格は「ZF1 α」が249.8万円。「ZF2 α」は257.5万円でしたが、消費税率引き上げ後は264.8万円に変更されています。
α Black label
アルファ・ブラックレーベルには、専用色インテリア(フロントシート、ドアライニング、メーターバイザー、6速MTのシフトブーツ)、専用色アルミホイール、金属製ペダルが採用されています。
価格は251万円でした。
α Master label
ZF2から設定されたグレードです。シートは合皮とファブリックを組み合わせたコンビシートに変更されるだけでなく、シートのサイドサポート部分やドアライニングの色が変更されています。ホイールは17インチです。
2013年10月の一部改良以降は、このグレードにツートーンボディカラーが設定されました。価格は263万円。消費税率引き上げ後は270.5万円です。
α Dressed label
内装を充実させた特別仕様車です。Ⅰ〜Ⅳまであり、それぞれで内容が異なっています。
Ⅰ
ボルドー色のシート、ドアライニング、ステアリングステッチ、シフトノブ&ブーツステッチ(MT車のみ)が特徴です。ペダルはメタル製になっています。
ボディカラーにも専用色のプレミアム・モカ・パールが設定されました。新車時の価格は251万円です。
Ⅱ
ブルーを基調としたインテリアに改められています。ステアリング、シフトノブ&ブーツ(MT車のみ)にブルーステッチを施し、専用色のコンビシートにはブルーステッチ&CR-Zの刺繍ロゴ入り。メタル製ペダルと17インチホイールも装備されています。
ボディカラーにも専用色の「プレミアムブルームーン・パール」が設定されていました。新車時の価格は263万円です。
Ⅲ
ステアリング、シフトノブ&ブーツ(MT車のみ)にブルーステッチを施し、専用色のコンビシートにはブルーステッチ&CR-Zの刺繍ロゴが入っています。
また、ラバー突起付きメタル製ペダルや、UV&IRカット機能付きフロントウィンドウガラスや、さらに軽量化された17インチホイールなども装着されています。
専用ボディカラーの「ブリリアントスポーティブルー・メタリック」が設定され、価格は274.1万円でした。
Ⅳ
Ⅲの装備を一部変更し、フロントシートはCR-Zロゴ刺繍入りタンレザーシート(運転席&助手席シートヒーター付)、インテリアにもタンレザーが採用されました。
専用カラーのステッチが施されたシート、ステアリング、シフトノブ&ブーツ(MT車のみ)に加え、前席用サイドエアバッグ+前席/後席用カーテンエアバッグも追加されています。
ボディカラーは「クリスタルブラック・パール」と、専用色「プレミアムディープロッソ・パール」の2色。また、Ⅲ同様にツートーンカラースタイルも選択可能です。ただしツートーンカラースタイル選択時には、ボディカラーはプレミアムホワイト・パールのみとなります。新車時の価格は287万円でした。
α Final label
αをベースに、CR-Z Final labelロゴ刺繍入り前席専用ブラックコンビシート、アルミ製コンソールプレート、プライムスムース・ドアアームレスト(黒)、マット塗装の17インチ軽量アルミホイール、ピアノブラック調ステアリングガーニッシュ、ナビ装着用スペシャルパッケージ、プレミアムペダル、トノカバーを特別装備したモデルです。
ボディカラーは専用色の「ブリリアントスポーティブルー・メタリック」を含む3色を設定。2トーンカラーも2色設定されました。価格は280万円です。
CR-Zの評価・口コミ
ネット上のユーザーレビューをまとめたものです。CR-Zの長所・短所をつかむ手助けになれば幸いです。
インテリア(内装)
ここがイイ!
- フロントシートの出来が良い
- インパネやドア内張りの質感は高い
- パドルシフトが使いやすい位置にある
- スイッチ類が操作しやすいので、運転中の視線移動が少なくて済む。
- 小物入れやドリンクホルダーもきちんと作られている
- リアシートを倒せば382Lのラゲッジスペースとなる
ここがダメ!
- リアシートは荷物置き場
- オプションの革シートは縫製が雑
- フロントシートは倒れるが、仮眠できるほどではない。
- メーターデザインがおもちゃっぽい
- 灰皿を置くスペースがない
エクステリア(外装)
ここがイイ!
- ワイド&ローなスタイルがかっこいい
- あまり見かけない
ここがダメ!
- リアフェンダーの膨らみに対しリアトレッドが狭いので、タイヤが奥に引っ込んで見える。
- ドアバイザーを付けていても、窓を開けると室内に雨が吹き込んでくる。
- 雨のときに乗り降りしようとドアを開けると、ルーフの雨水が室内にポトポト落ちてくる。
エンジン・燃費
ここがイイ!
- 1500ccクラスでは直線番長
- 街中ではトルクフルで乗りやすい
- PLUS SPORTボタン(ZF2のみ)は結構効く
- モーターアシストのおかげでMTでもエンストしにくい
- レギュラーガソリン仕様
- 街乗りの実燃費: 12-20km/L
- 郊外・高速道路の実燃費: 16-23km/L
ここがダメ!
- エンジン自体にはトルクがないので、モーターアシストが無いと加速が辛い。
- 峠や高速道路などの上り坂では、バッテリーがすぐ空になってしまう。
- モードによって加速力が激変する。エコだとかったるい。
- MT車は、フル加速時にクラッチを切るとエンジン回転数が跳ね上がる。モーターアシストのせいかも。
ハンドリング・取り回し
ここがイイ!
- 気持ちよく減速できるし、気持ちよく曲がれる。
- 17インチにするとさらに曲がるようになる。
- 街中でも取り回ししやすいサイズ。
ここがダメ!
- 左右後方の視界が悪い。バックカメラがあれば車庫入れは問題ないが、レーンチェンジで気をつかう。
- リアトレッドが狭いからといってスペーサーを入れると、最小回転半径が大きくなってしまう。
快適性
ここがイイ!
- 音が静か
ここがダメ!
- ややゴツゴツ感がある。
CR-Zと86/BRZを比較
まずはボディサイズや室内の広さを比較します。
ディメンションの比較
主要諸元 | CR-Z(ZF1) | CR-Z(ZF2) | 86/BRZ |
---|---|---|---|
全長(mm) | 4080 | 4105 | 4240 |
全幅(mm) | 1740 | 1775 | |
全高(mm) | 1395 | 1320 | |
ホイールベース(mm) | 2435 | 2570 | |
トレッドF/R(mm) | 1515/1500 | 1515/1510 | 1520/1540 |
W/T比 | 1.61 | 1.68 | |
最小回転半径(m) | 5.0 | 5.4 | |
室内長(mm) | 1605 | 1615 | |
室内幅(mm) | 1430 | 1490 | |
室内高(mm) | 1080 | 1060 |
いずれもMT車の数値。
86/BRZはホイールベースが145mm長いにもかかわらず、室内長はCR-Zより10mm長いだけです。縦置きエンジンにスペースを取られてしまっているのでしょう。
W/T比は、ホイールベース/トレッド比のことです。ホイールベースを前後トレッドの平均値で割った数値となります。CR-Zはポルシェ911や新型NSXとほぼ同じ1.61です。86/BRZの1.68は、メガーヌRSのようなホットハッチ系に近い数値ですね。次はエンジンや燃費の比較します。
動力性能の比較
主要諸元 | CR-Z(ZF1) | CR-Z(ZF2) | 86/BRZ |
---|---|---|---|
最高出力(ps) | 114+14 | 120+20 | 207 |
最大トルク(kgf・m) | 14.8+8.0 | 21.6 | |
車重(kg) | 1130 | 1150 | 1240 |
0-100km/h(秒) | 9.8 | 9.1 | 6.8 |
JC08燃費(km/L) | 20.6 | 12.4 | |
実燃費(km/L) | 17.3 | 16.6 | 11.6 |
+はモーター出力/トルク
パワーでは2.0Lの86/BRZに負けていますが、モーターアシスト時のトルクはCR-Zの方が上回っています。街乗りで快適なのも頷けますね。
CR-Zの車重が意外と軽いのにも驚きです。もうちょっとバッテリー積んだ方が面白い車になっていたかもしれません。
実燃費はe燃費やみんカラのデータをベースにした数値なのですが、86/BRZはJC08を上回る数値を報告しているユーザーが多いです。おそらく遠出するときくらいしか使わないのでしょう。街乗り主体だと10km/L以下だと思います。どちらにせよ、CR-Zには及びません。
CR-Zの中古車動向
弾数は結構多く、価格もこなれています。ZF1なら、修復歴なし・走行距離2万km以下の個体が、120〜130程度から見つけられるでしょう。
同じ条件でもZF2になると、150万円以下ではまず見つかりません。どうしてもPLUS SPORTSボタンが付いてないとイヤ! という人以外は、ZF1を安く買って、浮いたお金で色々イジった方が楽しめると思います。
装備内容を重視するなら2015年8月以降のモデルを購入すべきですが、価格がまだ高止まりしているのでお得感はありません。
中古ハイブリッドカー特有のバッテリー問題
中古のハイブリッドカーで心配になるのは電池ですが、ZF1のニッケル水素バッテリーは12.9万円、ZF2のリチウムイオンバッテリーは34.1万円とのことです※1。
ZF2はともかく、ZF1は十分に安い個体を購入できれば、バッテリー交換を恐れる必要はなさそうですね。ちなみに保証期間は新車登録時から5年もしく10万kmなので、その程度なら壊れないと考えてよいでしょう。
継続は力なり「リチウムイオン電池搭載の車を買ってはいけない ※ただしMT車好きは除く」より
走らせていないハイブリッドカーは避けよう
過走行の車を避けるのは当たり前ですが、ハイブリッドカーの場合は低走行距離であっても、長期間放置されている車を買うのは考えものです。
ホンダは3ヶ月に1度は30分ほど走らせてバッテリーを充電するよう推奨しているので、中古車屋に長々と放置されている車は避けましょう。良さげな個体を見つけたら、早めに詳細を問い合わせてみてください。