マツダ次期アクセラにHCCI = SKYACTIV-X搭載で超低燃費を実現!
マツダが10月の東京モーターショーにおいて、新型アクセラ(第4世代)のコンセプトカーを発表します。
その新型アクセラには、SKYACTIV-Xが搭載されるそうです。
そしてSKYACTIV-Xの正体は、HCCI(予混合圧縮着火)だと言われています。
マツダは9月のフランクフルト・モーターショーにおいて、HCCIの技術的な詳細を発表する予定です。
今回はHCCIの基本的な説明と、マツダのHCCI戦略について考えてみます。
更新情報
第2世代SKYACTIVエンジンの呼称を「SKYACTIV Ⅱ」と記述していましたが、正式名称が「SKYACTIV-X」だと判明したため、ページ内の記述を修正しました。また、SKYACTIV-Xに関する情報も追加しました。(2017/08/09)
HCCIとは?
通常のガソリンエンジンには、混合気(空気と霧状になったガソリンの混ざり合ったもの)に着火するためのスパークプラグが存在しますが、HCCIにはスパークプラグがありません。
ディーゼルエンジンのように高圧縮をかけて、圧縮着火するからです。
基本的にはエンジンの圧縮比が高いほど熱効率も良くなるので、燃費も良くなります。
しかし高圧縮比のエンジンで起こる「ノッキング」が、HCCIの実用化を阻んできました。
シリンダー内でノッキングが起こると、最悪エンジンを壊してしまうため、放置することはできません。
圧縮比を下げたり、点火タイミングを遅らせたりすれば、ノッキングは防げますが、燃費も悪化してしまいます。
ちなみにディーゼルエンジンでもノッキングは起こりますが、軽油はそもそも着火しづらい燃料なので、高圧縮比のガソリンエンジンのような問題とはなりません。
逆にディーゼルのノッキングは、燃焼しづらいことが原因で起こります。
マツダのHCCI
マツダのHCCIは、低回転ではスパークプラグを使用する、SPCCI(Spark Controlled Compression Ignition, 火花点火制御圧縮着火)と呼ばれるものです。
これにより従来のガソリンエンジンで課題となっていた、圧縮着火の成立条件を拡大し、火花点火と圧縮着火のシームレスな切り替えを実現しました。
高回転では完全な圧縮着火を実現しており、圧縮率は18.0:1という超高圧縮比になりそうです。
圧縮着火によってエンジンレスポンスが向上しただけでなく、現行の「SKYACTIV-G」と比較して、全域で10%以上、最大30%もの大幅なトルクアップを実現しています。
また、圧縮着火によるスーパーリーン燃焼によって、燃費は現行の「SKYACTIV-G」から最大で20~30%程度も改善しました。
さらには有害物質の排出も抑制(特にNOx)されています。
SKYACTIV-Xを搭載する次期アクセラの燃費は、28.6km/Lという、ハイブリッド並の超低燃費になりそうです。
マツダのHCCIエンジンをプラグインハイブリッドに使ったら、電気とガソリンの総合的な実燃費で、60.0km/L超えは確実でしょう。
トヨタがマツダと資本提携したのも、もしかしたらHCCIが狙いなのかもしれません。
ガソリンエンジンはまだまだ使われますから、トヨタはEVや燃料電池に注力し、マツダはHCCIに全力投球というような、役割分担を考えているのではないでしょうか。
マツダのHCCI戦略
マツダはまず新型アクセラにSKYACTIV-Xエンジン(つまりHCCI)を搭載しますが、この第4世代アクセラのプラットフォームには、旧型と同じものが使われます。
つまり新型アクセラは、完全な第2世代のSKYACTIVとはなりません。
ではシャシーも第2世代SKYACTIVとなった車がいつ出るのかというと、それは次期アテンザからになりそうです。
その後デミオ、CX-3、ロードスター、CX-9、そしてCX-5という順番で、「第2世代SKYACTIV(HCCIエンジン+新プラットフォーム)」が波及していくと考えられます。
しかしHCCIエンジンだけは、先行してCX-5やCX-8にも搭載されます。
CX-8は東京モーターショーでワールドプレミアされる予定です。
そして第3世代のSKYACTIVへ……
マツダは第3世代SKYACTIVEのパワートレインが、EUの定める2025年のCO2規制である65g/km = 35.7km/Lに対応するものになるとしています。
SKYACTIV-Xエンジンは、EUの2020年のCO2規制(95g/km = 24.4km/L)に対応するものです。
1世代で燃費を10km/L以上も良くするのは流石に無理がありますから、2025年に欧州で販売される車は、全てハイブリッドカーとなるでしょう。
マツダがトヨタと資本提携する理由も、十分にあるわけですね。
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