シビックタイプR(FK8)が欧州各地でコースレコードを次々と更新! ポルシェ911に匹敵するタイムも【8/7更新】
ホンダのシビックタイプR(FK8型)が、ヨーロッパにある5つのサーキットにおいて、FF車のコースレコードを更新しました。
実はそれまでのFFレコードタイムも先代シビックタイプR(FK2型)が持っていたのですが、ホンダ自らそれを更新した格好です。
ちなみその中には、フランスのマニクール・サーキットも含まれています。
そのときのレコードタイムは、ポルシェ・911カレラSに匹敵するタイムだったようです。
今回はFK8・シビックタイプRのタイムアタック・チャレンジについてお伝えします。
更新情報
シルバーストーン、エストリル、ハンガロリンクの項目を追加しました。(2018/08/07)
スパ・フランコルシャン・サーキットの項目を追加しました。(2018/06/20)
ホンダ・シビックタイプR・チャレンジ 2018
マニクール・サーキット(フランス)
今回マニクールで記録した2分01秒5というラップタイムは、以前のレコードである先代FK2型のタイム(2分06秒4)を、実に5秒近くも短縮するものです。
ちなみにプジョー・308GTIは2分07秒4、フォード・フォーカスRSが2分07秒7、そしてポルシェ・911カレラSでも2分01秒1ということですから、いかにFK8・シビックタイプRが速いかわかりますね。
FK8の速さの秘密
レコードラップのものではありませんが、FK8とFK2でマニクールを走った際のオンボード映像を比較した動画です。
FK8の方が、明らかにステアリングを切っている時間が短くなっています。
アジャイルハンドリングアシストによる回頭性の向上が、タイムアップに大きく影響しているようです。
もちろん10psパワーアップして320psとなったエンジンも、タイム向上に一役買っていることでしょう。
先代FK2のコースレコード更新を狙う
今回のタイムアタックは、FK2型のラップタイムレコード更新を目指す「ホンダ・シビックタイプR・チャレンジ 2018」の一環として行われました。
先代FK2型は、マニクールの他にもスペイン・エストリルサーキット、ハンガリー・ハンガロリンク、イギリス・シルバーストーン、そしてベルギー・スパ・フランコルシャンでFF車のコースレコードを叩き出しているため、FK8型も同じサーキットを転戦し、タイムの更新を狙っていくそうです。
マニクールのアタックでステアリングを握ったのは、WTCRに参戦中のエステバン・グエリエリでしたが、今後はティアゴ・モンテイロ(WTCR)、ベルトラン・バゲット(スーパーGT)、マット・ニール(3度のBTCCチャンピオン)、そしてジェンソン・バトン(元F1ワールドチャンピオン!)が、FK8で記録更新に挑戦します。
グエリエリはシビックタイプRの美点について「トラックでは+Rモードを使って、家に帰るときにはコンフォートモードにできること」だと語っています。
週末にサーキット走行を楽しむユーザーには、まさに打ってつけの車と言えるでしょう。
スパ・フランコルシャン・サーキット(ベルギー)
FK8シビックタイプRがマニクールに続いてFF最速タイム更新に挑んだのは、ベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットです。
約7kmという非常に長いサーキットであるスパは、オー・ルージュのような難しい中高速コーナーを数多く攻略しなければならないだけでなく、長いストレートを素早く駆け抜けるためのエンジンパワーも必要とされます。
まさに車の総合性能が試されるコースです。
スパでシビックタイプRをドライブしたのは、スーパーGTでEpson Modulo NSX-GTを駆るベルトラン・バゲットです。
2013年にはWEC・LMP2クラスでチャンピオンに輝いたこともあるベルギー人の彼は、このチャレンジにうってつけでしょう。
先代FK2がスパで記録したタイムは2分56秒91でしたが、FK8は今回のアタックで2分53秒72を記録しました。
3秒以上ものラップタイム短縮に成功したのです。
「通常、前輪駆動車ではアンダーステアとなるのが常ですが、この車はバランスが取れています」とバゲットはFK8の印象を語ります。
「特に+Rモードでは、ステアリングホイールから多くのフィードバックを得ることができます。シャシーは非常に高剛性で、リアは非常に安定していて、フロントは多くのグリップを与えてくれるために、本当にがっちりと食いつきます。エアロパッケージは車が高速域で安定するのを本当に助けてくれますし、トラクションのレベルは素晴らしいです」
「レースカーのドライバーとしては、タイプRがトラック用に生まれたことは明らかですが、毎日の街乗りでもそのように感じることがあります。私が車に乗っているとき、それは非常に快適で、全周の視界がとても良いです」
シルバーストーン・サーキット(イギリス)
FK8が次に挑戦したのは、伝統のイギリス・シルバーストーンサーキットでのFFラップレコード更新です。
3度BTCCチャンピオンに輝いたFF車の名手マット・ニールにより記録されたタイムは、2分31秒32でした。
先代FK2のタイムが2分31秒85でしたから、わずか0.5秒ほどしかタイムアップしていません。
しかしアタックラップの動画を比較すると、FK8の方が圧倒的にスムーズで、運転しやすそうです。
特に高速S字のべケッツ-マゴッツ-チャペルでは、新旧タイプRの違いが如実に現れています。
FK2はアンダーステアと格闘しながらコーナリングしているのに対し、FK8はヒラリヒラリと軽やかに高速S字をクリアしているのです。
「タイプRの本当の利点が、高速コーナーにあることがわかった」と、ニールもFK8のポテンシャルを認めています。「このスタビリティは空力と、新しい先進的なサスペンションによるものだ」
エストリル・サーキット(ポルトガル)
第4の挑戦の舞台となったのは、ポルトガルにあるエストリル・サーキットです。
ドライバーは元F1ドライバーのティアゴ・モンテイロ。
現在はWTCRでFK8を走らせています。
モンテイロがFK8と共に叩き出したタイムは、2分1秒84というものでした。
先代FK2のタイムは2分4秒08でしたから、2秒以上も記録を更新したことになります。
エストリルは奥に行くにしたがって曲率がきつくなるようなコーナーが多いのですが、先代FK2の動画と比較すると、FK8のアンダーステアの少なさは顕著です。
クルマの向きが変わるのが速いため、アクセルの踏み始めも早く、結果的に大幅なタイムアップとなったのでしょう。
エストリルはコース幅が狭いので、旋回性能の差がタイムに大きく影響するのだと思います。
「我々は以前のクルマのラップレコードを打ち負かすためにここに来たが、当たり前のことは何一つとして無い」とモンテイロ。「レコードラップが意味することは、簡単な業績ではないということだ」
「エストリルを攻略するためには、最高の自信を持っていなければならない。新しいタイプRはパワフルで、スムーズで、自信に満ちあふれている。我々は過去の記録に挑み、実際にレコードを破った」
ハンガロリンク(ハンガリー)
タイプRチャレンジの最後を飾るのは、ハンガリーのハンガロリンクです。
ドライバーは元F1ワールドチャンピオンであるジェンソン・バトンが担当しました。
FK8が記録したタイムは2分10秒19で、先代FK2のタイム(2分10秒85)からの向上幅はわずかですが、動画を比較すると、やはり圧倒的にFK8の方が乗りやすそうですね。
ハンガロリンクはターン1~4まで下り坂のコーナーが続くのですが、FK2は常にアンダーステア傾向なのに対し、FK8を操るバトンは同じコーナーを苦もなくクリアしています。
高速のブラインドコーナーであるターン6でも、FK8の安定性は段違いです。
「私を最も驚かせたことは、この車がどれほど遅くブレーキングできるかということです」とバトン。「マニュアルギアボックスも本当にうまく機能します。最近のほとんどの車にはマニュアルが付いていないので、自分で操作する感じはいいですね。いつもより多く車につながっている感じがします」
5つのサーキットで行われたタイプRチャレンジ車両は、もちろん全てノーマルです。
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