WRC 2017 第7戦ラリー・イタリア・サルデーニャ 砂とジャンプに苦戦必至のグラベルラリー【6/12更新】

WRC,モータースポーツ

2017年のWRC(世界ラリー選手権)第7戦はラリー・イタリア・サルデーニャです。
かつてイタリアでのWRCはサンレモのターマックで行われていましたが、2004年からサルデーニャ島のグラベルに変更されました。

高速ステージが多かったアルゼンチンやポルトガルとは異なり、サルデーニャはナロー&ツイスティなコース主体です。
名物の「ミッキージャンプ」周辺など、熱狂的な観客が数多く詰めかけるラリーでもあります。

このページではラリー・イタリア・サルデーニャの模様を、ダイジェストでお送りします。


初日

SS1 Ittiri Arena Show , 2.00 km

木曜日はスーパー・スペシャル・ステージのみ。イッティリ市に設置された2kmのアリーナコースでベストタイムを記録したのは、ティエリー・ヌービルでした。

第14回ラリー・イタリア・サルデーニャ 初日結果
順位 ドライバー/No./メーカー 総合タイム/トップとの差
1 ティエリー・ヌービル 2:01.8
#5 ヒュンダイ ──
2 オットー・タナク 2:02.0
#2 フォード +0.2
3 ダニ・ソルド 2:02.2
#6 ヒュンダイ +0.4
4 エルフィン・エバンス 2:02.3
#3 フォード +0.5
5 セバスチャン・オジェ 2:02.7
#1 フォード +0.9
5 ヘイデン・パッドン 2:36.7
#4 ヒュンダイ +0.9
7 マッズ・オストベルグ 2:02.8
#14 フォード +1.0
8 アンドレアス・ミケルセン 2:02.9
#9 シトロエン +1.1
9 クリス・ミーク 2:02.9
#7 シトロエン +1.1
11 ヤリ-マティ・ラトバラ 2:03.6
#10 トヨタ +1.8
12 エサペッカ・ラッピ 2:03.8
#12 トヨタ +2.0
13 ユホ・ハンニネン 2:05.5
#11 トヨタ +3.7

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2日目

SS2 Terranova 1 , 14.54 km

このステージは、スタート直後こそ舗装されているものの、すぐに砂っぽいグラベルに変わります。
コース幅に関しても、最初はワイドで走りやすいのですが、その後は狭くツイスティで、そのうえラフです。
コース後半は森の中を抜けていく、高速でテクニカルなセクションとなっています。

ここでのトップタイムは、シトロエンのクリス・ミークでした。
0.5秒遅れの2番手タイムで、トヨタのユホ・ハンニネンが続きます。

SS3 Monte Olia 1 , 19.05 km

このステージは、サービスパークをサルデーニャ島北西部のアルゲーロに移してから、初めて使われるステージです。
前半はトリッキーなダウンヒルで、後半はコーナーの途中にクレスト(丘)が点在するなど、非常に難しいコースとなっています。

ここでのベストはトヨタのハンニネン! 後方スタートの有利を活かし、SS3で早くも総合首位に立ちました。
「簡単ではなかったよ。車は本当に良い。でもドライビングはトリッキーで、リズムが見つからない。コースはスリッピーで、森の中はすごく埃っぽいんだ。今は大きなチャレンジだけど、引き下がるつもりは無いよ」

ユホ・ハンニネンのヤリスWRC。

2番手タイムは3.2秒遅れでミーク。ハンニネンから4.6秒遅れの3番手タイムは、フォードのマッズ・オストベルグでした。

SS4 Tula 1 , 15.00 km

2016年から導入されたステージ。砂っぽい路面と、一部ではコース中ほどまで草が繁茂しているのが特徴です。
ツイスティな部分では、いくつかのジャンプが待ち受けています。
フィニッシュ前の連続するヘアピンを抜けた1車線の道路では、風力発電所の横を通過します。

風力発電所の隣を走り抜ける、ヒュンダイi20クーペWRC。

ステージウィンはヒュンダイのダニ・ソルドが獲得しています。
「あらゆる場所がスリッピーだよ!」

2秒遅れで同じくヒュンダイのティエリー・ヌービルが続きました。
「私たちにとっては良いステージになりました。限界までハードにプッシュしましたよ。これで十分なら良いのですが。私たちはセブ(オジェのこと)に対してベストを尽くします」

また、ソルドから3.3秒遅れの3番手には、フォードのオットー・タナクが入っています。

総合首位はミーク、2位にはヒュンダイのヘイデン・パッドンが浮上、ハンニネンは3位につけています。

また、フォードのエルフィン・エバンスはこのステージでクラッシュし、デイリタイアとなってしまいました。

エルフィン・エバンスのフォード・フィエスタWRC’17。

SS5 Tergu – Osilo 1 , 14.14 km

午前のループ最後のステージは道幅が広く、目の詰まった岩盤のうえにある路面もスムースですが、たくさんの石がゴロゴロと転がっています。

ここで総合首位のミークがクラッシュ! 8分近い遅れを喫し、一気に総合25位まで落ちてしまいました。
「4速ギアで走っているときに、ラフロードで右リアをバンクに当ててしまった。それで横転して、コース外に屋根から落ちた」

またもや横転してしまったミーク。

ステージベストを記録したのは、3台目のトヨタを駆るエサペッカ・ラッピでした。
「WRCで初めてのステージウィン! そしてまだ2速ギアが壊れていることを考えると、注目に値するね! 『トミ(・マキネン)に伝えてくれ、ギアは5速あれば十分だ!』」

早くも大物の風格が漂っているラッピ。「ギアは5速あれば十分だ!」

フィンランド出身で、WRCを2度制したマーカス・グロンホルムは、プジョー・307WRC(当初4速までしかなかった)のギアが3速でスタックした際に「ギアなんて3速あれば十分だ!」とブチ切れたことがあります。
ラッピのコメントは、グロンホルムのそれをもじったものなのです。
筆者はグロンホルムのファンだったので、これにはニヤリとしてしまいました。

でもラッピは、SS2から2速ギアが壊れたまま走ってきたため、総合ではまだ10位と低迷しています。

ミークの脱落により、総合首位にはパッドンが浮上。
4.3秒遅れの2位には、トヨタのハンニネンがつけています。

SS6 Terranova 2 , 14.54 km

SS2のリピートステージ。
ステージウィンはまたしてもラッピ! トラブルさえ無ければ、表彰台も狙えていたのではないでしょうか。

1.2秒遅れの2番手タイムはパッドン。
ハンニネンがラッピから2.5秒遅れの6番手タイムに終わったため、2人の総合タイム差は5.6秒にまで広がっています。

SS5でクラッシュしたミークは、ロールケージにダメージがあったため、リタイア届けを提出しています。
また、SS5からエンジンに不調を抱えていたソルドは、タイム・コントロール(TC)に遅着して1分30秒のペナルティを課され、総合17位に後退してしまいました。

SS7 Monte Olia 2 , 19.05 km

SS3のリピートステージ。
ここでもラッピがベストを記録! 3連続ステージウィンで、総合順位も8位まで戻してきました。
「今のセットアップは完璧。今朝、僕たちはダンパーを良くしようと色々試していた。サービスでセットアップを変更したら良くなったんだ」

1.3秒遅れの2番手タイムは、ヒュンダイのヌービルでした。
彼は左リアタイヤの大部分を失い、右リアタイヤをパンクしてしまったにもかかわらず、なぜか2番手タイムを叩き出せたようです。
「とてもハードにプッシュしましたが、一体何が起こったのやら……」

ヌービルと同タイムで、トヨタのヤリ-マティ・ラトバラもステージフィニッシュしています。
「ダッシュボードのワーニングランプが点灯してて、『rear diff high』と表示されてる。それについては心配してない。このステージはトリッキーだった。ライン上はグリップするけど、外れるととんでもなく滑るんだ」

ヤリ-マティ・ラトバラのヤリスWRC。

総合首位はパッドンのまま。
2位は4.5秒差でハンニネン、3位には首位から15.8秒差でオストベルグが続いています。

SS8 Tula 2 , 15.00 km

SS4のリピートステージ。
ここでのベストは、エンジントラブルを修復したダニ・ソルドが獲得しました。
「車の調子は完璧だ。サービスでターボを交換したんだが、やることが多くて大変だったみたいだ」

ラトバラは8.2秒遅れの2番手タイムでしたが、彼の走行順(3番目)からすると上出来です。
「ボンネット上でピラピラしてた、ラリー・イタリアのゼッケンプレートが外れてしまった……。太陽も低くなってきて眩しい」

現在ドライバーズランキングトップのセバスチャン・オジェ(フォード)は、先頭走者のためにまったくペースが上がらず、このステージでもトップから14.4秒遅れの6番手タイムと苦戦しています。
「ひどい。悪夢だね。全然グリップが無い。とても退屈だ」

先頭走者の宿命、路面のホコリに苦しむオジェ。今回は表彰台争いすら厳しそう。

2番目スタートにもかかわらず、8.3秒遅れの3番手タイムを記録したヌービルは、このオジェの発言を受けて、「それは私もニコラス(コ・ドライバー)に言ったことです。本当に、本当に滑りやすい。スムースに走ろうとしましたが、本当に難しかったですよ」とコメントしています。

総合首位はパッドン、しかし2位ハンニネンはやや遅れて、7.9秒差となってしまいました。
3位にはヌービル(首位から+8.8秒)が、4位にはラトバラ(同+11.0秒)が、それぞれ浮上してきています。

SS9 Tergu – Osilo 2 , 14.14 km

2日目最終ステージは、SS5のリピートです。
ステージウィンは再びソルドが獲得しました。

最近はグラベルでも速いソルド。頼れるベテランだ。

トヨタ勢はこのステージでラッピが2番手タイム、ラトバラが4番手タイムを記録したものの、なんと総合2位につけていたハンニネンがクラッシュ!
バンクにヒットしてフロントにダメージを負った彼のヤリスWRCは、ラジエターホースを破損、エンジンから冷却水を失ってしまいました。
これでハンニネンは総合6位に後退しています。

またもややらかしてしまったハンニネン。

2日目を終えた時点で、総合首位はパッドン、2位はヌービルと、ヒュンダイ勢が1-2を形成。
フォードのオットー・タナクがいつの間にやら総合3位に浮上しています。

グラベルに強いパッドンが帰ってきた!
そろそろ優勝したいタナク。

ラトバラは総合4位ですが、トップとのタイム差は9.8秒しかないため、十分に優勝を狙える位置です。
3日目からはスタート順がリバースとなるため、ラトバラのペースもさらに良くなるでしょうし、表彰台は十分に期待できると思います。

チームの士気を上げるためにも、トヨタはきっちり結果を出したいところ。
第14回ラリー・イタリア・サルデーニャ 2日目結果
順位 ドライバー/No./メーカー 総合タイム/トップとの差
1 ヘイデン・パッドン 1:31:02.6
#4 ヒュンダイ ──
2 ティエリー・ヌービル 1:31:10.8
#5 ヒュンダイ +8.2
3 オットー・タナク 1:31:12.1
#2 フォード +9.5
4 ヤリ-マティ・ラトバラ 1:31:12.4
#10 トヨタ +9.8
5 マッズ・オストベルグ 1:31.17.3
#14 フォード +14.7
6 ユホ・ハンニネン 1:31.40.6
#11 トヨタ +38.0
7 セバスチャン・オジェ 1:31:43.6
#1 フォード +41.0
8 エサペッカ・ラッピ 1:32:07.9
#12 トヨタ +1:05.3
9 アンドレアス・ミケルセン 1:33:00.5
#9 シトロエン +1:57.9
10 エリック・カミリ 1:35:10.6
#81 フォード(R5) +4:08.0

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3日目

SS10 Coiluna – Loelle 1 , 14.95 km

木々に囲まれた、風の吹き抜ける砂の道を走るステージ。
コース上にはもろい岩石が転がっています。
2.68km地点にある「Rino’s Jump」を越えた後は、隠れた岩やバンプが多くあるトリッキーなセクションに突入し、ドライバーを苦しめます。

ここでのトップタイムは、総合首位のヘイデン・パッドン
総合2位のティエリー・ヌービルが、このステージは4.9秒遅れの5番手タイムに終わったため、パッドンはチームメイトとの差を13.1秒に広げています。
「とても埃っぽいステージだったけど、それはみんな同条件だからね。プッシュする良い機会だよ」

4.0秒遅れの2番手タイムは、トヨタのヤリ-マティ・ラトバラでした。
「ダストが事を難しくしている。ちょっと怖いシーンが何度かあった」

パッドンから4.1秒遅れの3番手タイムは、フォードのオットー・タナクでした。
「車は少しオーバーステアでした。クリアな視界で走れていません、昨日は走行間隔が3分だったのに、なぜ今日は2分なのか疑問です……」

3日目になっても、総合上位のドライバーがきっちり好タイムを出しているので、今回のラリーにおける勢力図は、ほぼ固まったと見ていいでしょう。

SS11 Monti di Ala’ 1 , 28.52 km

風力発電所に沿って走る部分が多いステージ。
道は曲がりくねり、高速コーナーを抜けつつ丘を横切ります。
中盤には連続するヘアピンがある上、路面は砂と石に加え泥まであるなど、かなりの難ステージです。

ステージベストはヌービル。
パッドンは4.2秒遅れの2番手タイムだったため、SS10の借りをきっちり返した格好です。
「私にとって良いステージでした」とヌービル。「でも車は少し柔らかすぎで、動きが多かったですね」

ティエリー・ヌービルのヒュンダイi20クーペWRC。

ヌービルから5.1秒遅れの3番手タイムはタナク、同9.8秒遅れでラトバラと、やはり総合上位陣が、ステージタイムでも上位を独占しています。

一方、ドライバーズランキングトップのオジェは、ヌービルから24.7秒遅れの5番手タイムと振るいません。

SS12 Monte Lerno 1 , 28.11 km

サルデーニャ・ラリー名物のジャンピングスポット「Micky’s Jump」があるステージ。
ここで総合2位のヌービルにトラブルが!
彼のヒュンダイi20クーペWRCはブレーキが効かなくなり、このステージだけで1分以上の遅れを喫してしまいました。
「スタートからブレーキが効かなくなってしまって……前のステージのラスト200mから効かなかったんです」

ステージウィンはタナクが獲得しましたが、パッドンも2番手タイムで応戦したため、総合首位はパッドンのままです。

しかしパッドンとタナクとの総合タイム差は9.4秒しかありません。
総合3位に上がったラトバラも、首位から23.2秒差で続いています。

ジャンプを飛ぶタナクのマシン。

SS13 Coiluna – Loelle 2 , 14.95 km

SS10のリピートステージで、悲劇が起こりました。
なんと総合首位を走っていたパッドンが、ドライブシャフトを壊してリタイアに追い込まれてしまったのです!

壊れたパッドンのマシン。

「素人みたいなミスだ……最低最悪の愚かなミスだよ!」とパッドンは嘆きます。「あーイラつく! ターンインが速すぎて、バンクをカットしてしまった。それでドライブシャフトが壊れたんだと思う。みんなを失望させてしまったよ。バカなことをした……」

パッドンのリタイアにより、タナクが総合首位に浮上。
16.5秒差でラトバラが総合2位、ヌービルは総合3位ですが、彼はタナクから1分以上も離されています。

SS14 Monti di Ala’ 2 , 28.52 km

SS11のリピートステージ。
ステージベストはタナクでした。
「クリーンに走ることを心がけています。ラフなところを走るときには、タイヤをセーブするのがとても難しいです。次のステージでも同じように走りたいと思います」

2番手タイムのヌービルは、タナクにわずか0.8秒だけ及びませんでした。
「良いステージになりました。楽しかったですよ。午後のループではシェイクダウンで使ったタイヤを履いて、ニュータイヤは明日のパワーステージ用にとってあるんです」

ラトバラは、タナクから3.5秒遅れの3番手タイム。
「良い走りができたが、タイヤに注意しなければならない。タイヤにとても厳しいからね。次のステージでも大丈夫だといいけど」

風力発電所の横を抜けていくラトバラのマシン。

総合首位のタナクと2位ラトバラとの差は20秒に拡大。
一方、ラトバラとヌービルとの差は、やや縮まりました。

SS15 Monte Lerno 2 – 28.11 km

SS12のリピートで、3日目最後のステージ。
ここでトヨタの新人エサペッカ・ラッピが、またもステージベストを叩き出しました。
「プッシュしたよ、できるかぎり。ブレーキを失うまでは」とラッピ。「クリーンなドライビングについてより詳しくなった。僕は多かれ少なかれ、いつもより進歩していると感じてる。すべてが良い経験だ」

0.1秒遅れの2番手タイムはヌービルでした。
「タイヤが完全に終わりました。非常に滑りやすくて、最初のコーナーではとても驚きましたよ!」

総合首位のタナクは、ラッピから1.9秒遅れの3番手タイム。
「今日の午後は驚くほど良かったです。上手くドライビングできて、後方とのマージンも築けました。今、私たちはさらにプッシュできます。ラトバラに負けたくないですから」

第14回ラリー・イタリア・サルデーニャ 3日目結果
順位 ドライバー/No./メーカー 総合タイム/トップとの差
1 オットー・タナク 2:56:37.3
#2 フォード ──
2 ヤリ-マティ・ラトバラ 2:57:01.6
#10 トヨタ +24.3
3 ティエリー・ヌービル 2:57:39.5
#5 ヒュンダイ +1:02.2
4 エサペッカ・ラッピ 2:58:48.1
#12 トヨタ +2:10.8
5 ユホ・ハンニネン 2:59.19.4
#11 トヨタ +2:42.1
6 セバスチャン・オジェ 3:00:03.4
#1 フォード +3:26.1
7 マッズ・オストベルグ 3:00:33.3
#14 フォード +3:56.0
8 アンドレアス・ミケルセン 3:04:24.9
#9 シトロエン +7:47.6
9 ヤン・コペツキー 3:06:30.2
#34 シュコダ(WRC2) +9:52.9
10 エリック・カミリ 3:06:31.1
#81 フォード(R5) +9:53.8

上位陣はそれぞれのギャップが大きいので、最終日に残されたわずか40km強の競技区間では、順位の変動は起こらないと思います。
あるとすれば、トラブルやクラッシュを伴う場合だけでしょう。

最終日の見どころはパワーステージと、WRC2のトップ争いですね。
とくにWRC2は、首位コペツキーと2位カミリの差が0.9秒しかないという大接戦なので、決着が最終ステージまでもつれ込む可能性が高いです。

(訂正)エリック・カミリはフィエスタR5で走っていますが、WRC2にエントリーしているわけではないようです。
よってWRC2では、コペツキーが圧倒的なリードを築いていることになります。

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4日目(最終日)

SS16 Cala Flumini 1 , 14.06 km

石の壁が並ぶ細い道から始まり、短いアスファルトのストレートが終わると、海に向かって平均時速が上がっていくステージ。
橋を超えてフィニッシュに至る終盤セクションは、狭くてトリッキーな構成となっています。

このステージではオットー・タナクのフィエスタの室内にダストが侵入するトラブルが発生。
視界を奪われた彼は、このステージトップのヘイデン・パッドンから6.4秒遅れの4番手タイムに終わりました。

総合2位のヤリ-マティ・ラトバラは、タナクよりも5.5秒速い2番手タイムだったものの、2人の総合タイム差は、まだ18.8秒もあります。

SS17 Sassari – Argentiera 1 , 6.96 km

短いものの、トリッキーなヘアピンと隠れた石ころによって、全体的な難度が高いステージ。
フィニッシュ前の1.2kmは海沿いのコースで、砂の路面を駆け下るダウンヒルとなっています。

このステージでは、ラトバラがエンジンストールでタイムロス。
再始動の際にスタートボタンではなくストップボタンを押してしまい、5秒ほどロスしたのだとか。
これで前のステージで縮めた総合タイム差は帳消しとなり、決着はほぼ着いてしまいました。

SS18 Cala Flumini 2 – 14.06 km

SS16のリピートステージ。
ベストタイムはエサペッカ・ラッピでした。
ラトバラも2番手タイムだったため、このステージはトヨタの1-2となりました。

もう1台のトヨタ、総合5位につけているユホ・ハンニネンは、パワーステアリングのトラブルを抱えながらの走行となっており、総合6位のオジェに、わずか5.6秒まで迫られてしまいました。

SS19 Sassari – Argentiera 2 , 6.96 km

ステージ順位に応じてポイントが与えられるパワーステージは、SS17のリピートステージです。

ステージウィンは、なんとトヨタの新人ラッピが獲得!
WRカーでのエントリーは2度目という彼ですが、今回のラリーだけで6回のステージウィンを獲得しています。
驚異の新人という言葉は、彼のためにあるようなものですね。
「まだまだ速いドライバーがいるよ、様子を見てみよう(ラッピは出走順が早かったので、インタビュー時点では結果待ち)。だけど僕は全力を尽くした、完全にね」とラッピ。「ポルトガルで多くを学んだし、ここではもっと多くを学んだ。ステップ・バイ・ステップで改善しているよ」

ラトバラはパワーステージこそ5番手タイムでしたが、総合2位を死守、見事表彰台を獲得しました。

トヨタにとっては久々の好結果だ。

ハンニネンはオジェの猛攻をしのぎきれず、総合6位でフィニッシュ。
とはいえ初日に彼が見せたスピードは、今後に期待が持てるものでした。

優勝はオットー・タナク
WRC参戦73戦目にして、ついに初優勝を成し遂げました。
これまでタナクは優勝を目前で何度も取り逃してきただけに、喜びもひとしおでしょう。

ラトバラと健闘を称え合うタナク。
もうシルバーコレクターとは言わせない!

WRC2では、日本人ドライバーの勝田貴元選手が表彰台を獲得しました! 上位陣との差はまだ大きいものの、マイルストーンとなる結果を出したことは重要です。
ラッピと同様、こちらも今後に期待ですね。

ぜひともWRCに上がってきてもらいたいドライバーだ。
第14回ラリー・イタリア・サルデーニャ 最終結果
順位 ドライバー/No./メーカー 総合タイム/トップとの差
1 オットー・タナク 3:25:15.1
#2 フォード ──
2 ヤリ-マティ・ラトバラ 3:25:27.4
#10 トヨタ +12.3
3 ティエリー・ヌービル 3:26:22.8
#5 ヒュンダイ +1:07.7
4 エサペッカ・ラッピ 3:27:28.0
#12 トヨタ +2:12.9
5 セバスチャン・オジェ 3:28:40.4
#1 フォード +3:25.3
6 ユホ・ハンニネン 3:28.53.6
#11 トヨタ +3:38.5
7 マッズ・オストベルグ 3:31:46.9
#14 フォード +6:31.8
8 アンドレアス・ミケルセン 3:33:22.9
#9 シトロエン +8:07.8
9 エリック・カミリ 3:36:30.9
#81 フォード(R5) +11:15.8
10 ヤン・コペツキー 3:36:36.5
#34 シュコダ(WRC2) +11:21.4

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サルデーニャ・ラリー終了後、シトロエンのクリス・ミークが、次戦ポーランドラリーにエントリーしないとの情報が飛び込んできました。
速いけどクラッシュが多く、シトロエンの首脳陣とも確執があったと言われていますから、彼の去就が気になりますね。
ミークの代わりは、アンドレアス・ミケルセンが務めるとのことです。
今後はミケルセンがシトロエンのエースとして定着するのでしょうか? 次戦も注目です。

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