2016年のスーパーフォーミュラ 展望とラインナップは?
2016年のスーパーフォーミュラには大きな変化が起こる?
スーパーGTの来季展望に関しては、以下のリンク先をご覧ください。
2016年のSUPER GT 500のドライバーラインナップはどうなる?
2016年のSUPER GT 300のマシン&ドライバーラインナップ
F1やスーパーフォーミュラで苦戦するホンダにスポットを当てた記事はこちらとなります。
スーパーフォーミュラ(以下、SF)は2016年からワンメイクタイヤがヨコハマタイヤ(以下、YH)へと変更になるなど、オフシーズンの話題には事欠きませんが、まずは予想ドライバーラインナップから。
GP2王者参戦が最大の収穫&可夢偉はWECレギュラー?
バンドールン参戦の意義は大きい
来季のSFの話題といえば、GP2王者・ストフェル・バンドールン選手の参戦に尽きるでしょう。ダンディライアンからの参戦が確実視されています。
あとは去年のファビオ・ライマー選手のように、土壇場で参戦キャンセルとならぬよう祈るだけです。
GP2王者がSFに参戦するということは、SFが少なくともGP2以上のシリーズであると認められているということになります。
他の外国人ドライバーとしては、今季GP2で2勝を上げたリッチー・スタナウェイ選手が無限から、全日本F3チャンピオンのニック・キャシディ選手がKONDO RACINGから参戦するとの噂です。
エベレストに比べたら、今はまだ筑波山だけど
2008年以降、日本のトップフォーミュラであるSF(2008年当時はフォーミュラ・ニッポン)は、F1を頂点とするヒエラルキーとは別の、もう1つの頂点を目指して歩みを進めてきました。
そしてブノワ・トレルイエ選手、アンドレ・ロッテラー選手、ロイック・デュバル選手、中嶋一貴選手らのWECやル・マン24時間レースでの活躍により、SFがヨーロッパの若手ドライバーの選択肢の1つとして認識されるようになってきました。
SFとF1は、「アリと巨象」「筑波山とエベレスト」ほどの差があり、肩を並べる「もう一つの頂点」になったとはとても思えません。しかし着実に前進しつつあるのも事実です。バンドールン選手の参戦は、スーパーフォーミュラにとって1つのマイルストーンになることでしょう。
インパルに関口?
関口雄飛選手のインパルからの参戦が有力視されています。SFテストで好結果を出したことで、星野一義監督にいたく気に入られたという話が、その根拠となっています。
星野監督はいわゆる「ファイター」タイプのドライバーを好みます。現役時代から勝負にシビアな人ですが、「攻めた結果のミスなら仕方がない」と割り切れる監督でもあります。
かつてインパルに所属していたトレルイエ選手や、現所属のJ-P.オリベイラ選手と、関口選手は似たタイプのドライバーです。つまり星野監督好みのドライバーだと言うことです。
星野監督はお気に入りのドライバーにチャンスを与えるのを惜しみません。インパルのシートに関口選手が座る確率は、かなり高いのではないでしょうか。
WECに参戦するデメリットが消滅
アレックス・ブルツ選手が引退したことで、WECトヨタチームに小林可夢偉選手が加入するのではないかと言われています。
SFのカレンダーが調整され、WECとの被りが無くなったことで、来季はWECとSFの両方に全戦参戦可能な日程となりました。可夢偉選手もチーム・ルマンでSF参戦を継続すると見られています。
ロイック・デュバル選手がチーム・ルマンからSFに復帰するのではないかと言われているのもそのためです。WECとSFは、相互に補完し合う関係を築けているように見えます。
また、中嶋一貴選手とアンドレ・ロッテラー選手のSF全戦エントリーは、タイトル争いを盛り上げるに違いありません。
セルモの総監督に浜島裕英氏が就任したことの意味
石浦宏明選手の活躍で、今季タイトルをもぎ取ったセルモ・インギング。そのチャンピオンチームの総監督に、ブリヂストン(以下、BS)とフェラーリで活躍した浜島裕英氏が就任することが発表されました。
浜島氏の立場は総監督としてSFとSUPER GT(以下、SGT)両方を指揮するとのことで、SGTの高木虎之介監督、SFの立川祐路監督の両名は、そのまま留任となるそうです。
セルモ代表の佐藤正幸氏によれば、4年前から就任要請を出していたとのことですが、SFタイヤがYHに切り替わるタイミングでの就任は、別の狙いがあるように思えてなりません。
ブリヂストン勢の憂鬱
SF参戦チームの大半は、SUPER GT(以下、SGT)ではブリヂストンを履いています。
チーム名 | SGTでのタイヤ銘柄 |
---|---|
セルモ | ブリヂストン |
トムス | ブリヂストン |
インパル | ブリヂストン |
ルマン | ブリヂストン |
DRAGO | ブリヂストン |
リアル | ブリヂストン |
KONDO | ヨコハマ |
ナカジマ | ダンロップ |
無限 | SGTには不参戦 |
ダンディライアン | SGTには不参戦 |
このことは取りも直さず、KONDO RACING以外のSFチームは、YHとの人脈が無いということを意味しています。
レースタイヤ開発のプロである浜島裕英氏
浜島裕英氏というとF1での活躍から取り上げられることが多いのですが、浜島氏がレースタイヤ開発の現場に立つようになったのは80年代初頭のことです。
当時はバイアスタイヤからラジアルタイヤへの転換点でした。いち早くレース用ラジアルタイヤの開発を始めたBSは、その後日本のレースシーンを席巻します。浜島氏はその立役者でした。
ヨコハマタイヤの不安
SGTには長年タイヤを供給し続けてきたYHですが、トップフォーミュラへのタイヤ供給は、96年を最後に途切れていました。
久々の復帰となったYHを装着しての初テストでは、ウェット路面での神経質な挙動に手こずり、何人ものドライバーがコースアウトを喫していました。経験不足がたたったとの見方もできます。
浜島氏の知見+チャンピオン石浦のコメント
かつて浜島氏がF1でBSの責任者を務めていた際、「BSはフェラーリばかりを優遇している」との批判が巻き起こったことがあります。
しかしBS側からすると、ミハエル・シューマッハーという開発能力の高いドライバーのコメントを重視するのは当たり前で、別に優遇しているわけではなかったのです。
来季YHのエンジニアが「当てにする」チームがあるとすれば、レースタイヤ開発においてプロ中のプロである浜島裕英氏と、開発能力の高さに定評のあるディフェンディング・チャンピオン石浦宏明選手を擁する、セルモ・インギングにほかなりません。
レースに対するBSのモチベーションの低さ
最近BSはレースから徐々に手を引きつつあります。SGTでもミシュラン(以下、MI)に遅れを取るようになって久しく、「BSの本気度」が懸念される状況です。
とは言えGT500では、依然BSユーザーが最大勢力です。MIが供給台数を増やさない以上、有力チームは乗り換える相手もいません。
セルモのダブルタイトルに現実味
BSのモータースポーツに対する投資が細りつつある今、BSのサポートを自チームに集中させることがより重要になります。長らくBSに在籍していた浜島氏は、その交渉役に適任です。
浜島裕英氏のセルモ加入は、セルモがSF・SGTでダブルタイトルを獲得するための最善の一手となることでしょう。
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