ル・マン24時間に参戦するLMH・LMDhマシン一覧
2023年のWEC(世界耐久選手権)と、その第4戦として開催されるル・マン24時間レースには、総合優勝を争うトップカテゴリー(LMHとLMDh)に数多くの自動車メーカーがエントリーしています。参戦しているのはトヨタ、プジョー、ポルシェ、フェラーリ、キャデラック、グリッケンハウス、ヴァンウォールなどです。また、2024年にはアルピーヌやBMWもこの戦列に加わります。トップカテゴリーにこれほど多くのメーカーが集まるのは1999年以来のことではないでしょうか。さらにはランボルギーニも今後ル・マンに参戦する予定ですし、アキュラ(ホンダの高級車ブランド)も加わるかもしれません。
このページではLMH(ル・マン ハイパーカー)とLMDh(ル・マン デイトナ h)のマシンをまとめています。LMH・LMDhのレギュレーションに関しては、以下のリンク先をご覧ください。
LMDhとLMHは何が違う? トヨタやフェラーリはLMH、ポルシェやBMWはLMDhで参戦
LMH(ル・マン ハイパーカー)一覧
レギュレーションでリアミッドに搭載されるエンジン出力は500kW(680ps)、フロントに搭載されるモーターの出力は200kW(272ps)にそれぞれ制限されています。システム出力も制限されており、最大500kWです。
ハイブリッド車がモーターで駆動できるのは前輪のみと決められているため、必然的に駆動方式は全輪駆動となります。
トヨタ GR010 HYBRID
2018-19のスーパーシーズン(2年またぎのシーズンで、ル・マン24時間レースが1シーズンに2回開催された)以降、WECを席巻してきたトヨタが開発したLMH車両が、GR010 HYBRIDです。トヨタは2022年までル・マン5連覇を達成していますが、実質的にライバル不在といえるシーズンが多かったため、強力なライバルが増えた2023年にその真価が問われます。
スペック | |
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全長(mm) | 4,900 |
全幅(mm) | 2,000 |
全高(mm) | 1,150 |
ホイールベース(mm) | 未公表 |
車重(kg) | 1,040 |
エンジン型式 | V6ツインターボ |
排気量(L) | 3.5 |
エンジン出力(kW) | 500 |
モーター出力(kW) | 200 |
システム出力(kW) | 500 |
トランスミッション | 7速シーケンシャル |
プジョー 9X8
1992年、1993年、そして2009年と、ル・マンで3度の優勝を誇るプジョーが開発したLMHが、9X8です。「X」は全輪駆動技術とハイブリッドパワートレインを意味しているのとか。リアウイングを持たない独特な空力デザインや、プジョーの市販車をイメージさせるシグネチャーライトなど、スタイリングにこだわったマシンです。
スペック | |
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全長(mm) | 4,995 |
全幅(mm) | 2,000 |
全高(mm) | 1,145 |
ホイールベース(mm) | 3,045 |
車重(kg) | 1,030 |
エンジン型式 | V6ツインターボ |
排気量(L) | 2.6 |
エンジン出力(kW) | 500 |
モーター出力(kW) | 200 |
システム出力(kW) | 500 |
トランスミッション | 7速シーケンシャル |
フェラーリ 499P
映画「フォードvsフェラーリ」で描かれたように、60年代のフェラーリはル・マンで大活躍していましたが、1968年を最後に撤退して以降、ワークスとして参戦することはありませんでした。そのフェラーリがル・マン復帰のマシンとして開発したのが「499P」です。
900VのバッテリーにはF1のテクノロジーが使われているそうです。
スペック | |
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全長(mm) | 未公表 |
全幅(mm) | 未公表 |
全高(mm) | 未公表 |
ホイールベース(mm) | 未公表 |
車重(kg) | 未公表 |
エンジン型式 | V6ツインターボ |
排気量(L) | 3.0 |
エンジン出力(kW) | 未公表 |
モーター出力(kW) | 200 |
システム出力(kW) | 500 |
トランスミッション | 7速シーケンシャル |
SCG 007
映画監督だったジェームズ・グリッケンハウス氏が創業したスクーデリア・キャメロン・グリッケンハウス(SCG)は、オリジナルマシン「SCG 003」でニュルブルクリンク24時間レースに参戦するなど、モータースポーツに積極的に取り組んできました。そんなSCGが満を持してル・マンに送り込んだのが、SCG 007です。
エンジンはフランスのピポ・モチュールが開発したV8。空力はF1のザウバー(2022年はアルファロメオとしてF1に参戦)が協力するなど、かなり本格的に開発されています。
ちなみにロードカー(SCG 007S)も発売予定で、価格は250万ドルからだそうです。
スペック | |
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全長(mm) | 4,991 |
全幅(mm) | 2,000 |
全高(mm) | 1,224 |
ホイールベース(mm) | 未公表 |
車重(kg) | 1,050 |
エンジン型式 | V8ツインターボ |
排気量(L) | 3.5 |
エンジン出力(kW) | 500 |
モーター出力(kW) | 200 |
システム出力(kW) | 500 |
トランスミッション | 7速シーケンシャル |
アルピーヌ A480(~2022年)
アルピーヌ A480は、かつてWECに参戦していたLMP1マシン「レベリオン R13」がベースとなっています。LMHのレギュレーションに適合するよう改造されていますが、ハイブリッドシステムは搭載されていません。
アルピーヌは2024年からLMDhに宗旨変えして参戦するため、2023年のWECにはLMP2クラスでエントリーしています。よってA480が走ることはもうないでしょう。
スペック | |
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全長(mm) | 4,645 |
全幅(mm) | 1,895 |
全高(mm) | 1,045 |
ホイールベース(mm) | 2,905 |
車重(kg) | 900 |
エンジン型式 | V8自然吸気 |
排気量(L) | 4.5 |
エンジン出力(kW) | 500 |
モーター出力(kW) | 非搭載 |
トランスミッション | 6速シーケンシャル |
ヴァンウォール ヴァンダーヴェル680
ドイツのコンストラクター・コデワ(チーム名はバイコレス)が開発したLMHマシンがヴァンダーヴェル680です。2022年はWECへの参戦が認められませんでしたが、2023年は参戦できるようです。
マシンはかつてLMP1クラスに参戦していたCLM P1/01と同様、ギブソン製のV8自然吸気を搭載しています。
スペック | |
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全長(mm) | 未公表 |
全幅(mm) | 未公表 |
全高(mm) | 未公表 |
ホイールベース(mm) | 未公表 |
車重(kg) | 未公表 |
エンジン型式 | V8自然吸気 |
排気量(L) | 4.5 |
エンジン出力(kW) | 未公表 |
モーター出力(kW) | 未公表 |
システム出力(kW) | 500 |
トランスミッション | 7速シーケンシャル |
LMDh(ル・マン デイトナ h)一覧
LMDh規定に基づいて作られたマシンは、アメリカのIMSA(International Motor Sports Association)が主催するユナイテッド・スポーツカー選手権にも参戦可能です。
マシンは自動車メーカーが自由に開発できるわけではなく、シャシーやコンポーネントは決められたサプライヤーから購入しなければなりません。その分自動車メーカーは参戦コストを削減できます。
シャシーサプライヤーはダラーラ、オレカ、マルチマチック、リジェの4社のみ。ギアボックスはXtracの独占供給です。バッテリーはウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリングが、ハイブリッドシステムのモーターはボッシュが供給します。タイヤはミシュランのワンメイクです。
LMHとは異なり、LMDhのモーターはリアに搭載されます。よって駆動方式は後輪駆動です。ボッシュ製モーターの最高出力は50kWで全車共通です。システム出力はLMHと同様に500kWに制限されています。
ポルシェ 963
ル・マン24時間レース通算19勝を誇る耐久王ポルシェが、サルト・サーキットに戻ってきます。
今回ポルシェはアメリカの名門チーム・ペンスキーとタッグを組み、WECとIMSAの両方にエントリーしています。シャシーサプライヤーにはマルチマチックを選択しています。LMDhですがトヨタを筆頭とするLMH勢に勝てるのでしょうか。
スペック | |
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全長(mm) | 5,100以下 |
全幅(mm) | 2,000 |
全高(mm) | 1,060 |
ホイールベース(mm) | 3,148 |
車重(kg) | 1,030 |
エンジン型式 | V8ツインターボ |
排気量(L) | 4.6 |
エンジン出力(kW) | 500 |
モーター出力(kW) | 50 |
システム出力(kW) | 500 |
トランスミッション | 7速シーケンシャル |
BMW M HYBRID V8
BMWは2023年からIMSAに復帰し、2024年にはWECにも参戦を開始します。1999年にはル・マン24時間レースを制したBMWですが、近年はGTクラスでの参戦にとどまっていました。ダラーラ製のシャシーで再び総合優勝を狙います。
スペック | |
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全長(mm) | 未公表 |
全幅(mm) | 未公表 |
全高(mm) | 未公表 |
ホイールベース(mm) | 未公表 |
車重(kg) | 未公表 |
エンジン型式 | V8ツインターボ |
排気量(L) | 4.0 |
エンジン出力(kW) | 477 |
モーター出力(kW) | 50 |
システム出力(kW) | 500 |
トランスミッション | 7速シーケンシャル |
キャデラック V-LMDh
キャデラックは2000年代初頭にル・マンに参戦していたものの、結果を残すことはできませんでした。しかしIMSAのユナイテッド・スポーツカー選手権では優勝の常連であり、LMDhマシンではかなり競争力があるものと思われます。
シャシーはダラーラ製。エンジンが自然吸気なのが面白い点です。
スペック | |
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全長(mm) | 未公表 |
全幅(mm) | 未公表 |
全高(mm) | 未公表 |
ホイールベース(mm) | 未公表 |
車重(kg) | 未公表 |
エンジン型式 | V8自然吸気 |
排気量(L) | 5.5 |
エンジン出力(kW) | 500 |
モーター出力(kW) | 50 |
システム出力(kW) | 500 |
トランスミッション | 7速シーケンシャル |
アキュラ ARX-06(ル・マンに参戦するかは不明)
ホンダが北米で展開する高級車ブランド「アキュラ」は、2022年のIMSAユナイテッド・スポーツカー選手権を制しました。2019年・2020年にもチャンピオンに輝いており、耐久レースで十分な実績を残しています。
ARX-06はオレカ製のシャシーをベースにしたLMDhマシンですが、アキュラはル・マンへの参戦計画を明らかにしていません。IMSAには2023年も参戦します。
スペック | |
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全長(mm) | 5,100 |
全幅(mm) | 2,000 |
全高(mm) | 1,060 |
ホイールベース(mm) | 3,148 |
車重(kg) | 未公表 |
エンジン型式 | V6ツインターボ |
排気量(L) | 2.4 |
エンジン出力(kW) | 未公表 |
モーター出力(kW) | 50 |
システム出力(kW) | 500 |
トランスミッション | 7速シーケンシャル |
ランボルギーニ
F1に参戦するアウディのル・マン復帰が撤回されたことを受けて、LMDhクラスに加わったのがランボルギーニです。2024年の参戦が発表されただけで、マシンの詳細は全く明らかになっていませんが、ポルシェとは異なるエンジンを搭載する見通しです。
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