
ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェにおいて、ポルシェ911GT2 RS MRが、6分40秒3というラップタイムを記録し、市販車最速タイムを更新しました。
しかし市販車ではあるものの、ノーマル車両ではないので、番外編という扱いになるでしょう。
このページには、1〜12位までのランキングと、タイムアタック時の動画、そしてそれぞれの車の簡単な紹介をまとめてあります。ぜひご覧ください。
更新情報
ポルシェ911GT2 RSの番外編として、911GT2 RS MRの情報と動画を追加しました。(2018/11/03)
番外編その2としてニュル最速の4ドア車を追加しました。(2018/10/25)
ランボルギーニ・アヴェンタドールSVJの項目を追加しました。(2018/07/27)
番外編としてポルシェ919ハイブリッドevoの項目を追加しました。(2018/06/30)
ポルシェ911GT3 RSの項目を追加しました。(2018/04/21)
ポルシェ911GT2 RSのアタックラップの映像を追加しました。(2017/09/29)
ポルシェ911GT2 RSがタイムを更新したので、順位を修正しました。(2017/09/27)
ニュルブルクリンク最速の市販車
12位 AMG GT-R

AMG GTの最速バージョンが12位にランクインしました。
タイムは7分10秒92です。
フロントに搭載された4.0リッター・V8ツインターボは、585ps・700Nmを発生します。
アルミニウム製のスペースフレームやチタン製エキゾーストに加え、カーボン製のルーフ、フロントフェンダー、トルクチューブが装着されるなど、軽量化には余念がありません。
11位 日産 GT-R NISMO

日本が誇るスーパーカーは11位でした。
タイムは7分08秒68です。
ニュルにおけるタイムアタック合戦の火付け役となった同車ですが、現行のR35型が登場したのは2007年末ですから、競争力はさすがに衰えつつあります。
NISMO仕様ではFIA-GT3に使われているターボチャージャーである「GT3タービン」を採用し、3.8リッター・V型6気筒ツインターボの出力を、600ps・652Nmにまで引き上げました。
SUPER GTで得られた知見を活かしたエアロダイナミクスも、GT-R NISMOの戦闘力向上に貢献しています。
10位 ダッジ バイパーACR・エクストリーム

10位には、第5世代バイパーのハイパフォーマンスグレード「ACR(American Club Racerの略)」がランクインしました。
タイムは7分01秒3です。
アタック車両には「エクストリーム・エアロパッケージ」というものが装着されており、その外観はほぼレーシングカーと化しています。
このエアロは決して見かけ倒しではなく、285km/hで走行時に約1トンものダウンフォースを発生するそうです。
8.4リッター・V10自然吸気は、645ps・814Nmを発生します。
これだけ大きなエンジンを搭載しているのに、車重は1500kg程度しかありません。
最小限の装備しかついていないからです。
9位 ランボルギーニ アヴェンタドール LP750-4 SV

9位にはイタリアの猛牛がランクインしました。
タイムは6分59秒73と、ついに7分台に突入しています。
ノーマル比+170%というダウンフォースと、50kgの軽量化、そして750psにパワーアップした6.5リッター・V12自然吸気エンジンにより、文字通り「超速(Super Veroce)」を実現しました。
速さだけでなく、V12サウンドも魅力的です。
8位 ポルシェ 918スパイダー

プラグインハイブリッド車の918スパイダーが8位にランクインしました。
タイムは6分57秒です。
4.6リッター・V8自然吸気は608ps。
それにフロントとリアのモーター出力を加えると、システム出力は887psbとなります。
カーボンモノコックの採用や、アルミやマグネシウムの多用により、プラグインハイブリッドの重量を相殺した結果、車重は1490kgに抑えられています。
7位 ポルシェ911GT3 RS
MY2019(2018年下半期〜2019年上半期生産モデル)のポルシェ911GT3 RSが、7位にランクインしました。
6分56秒4というタイムを記録したアタック車両には、ヴァイザッハ・パッケージが装着されており、カーボン製のルーフやアンチロールバーによって、軽量化とコーナリング性能向上が図られています。
また、ヴァイザッハ・パッケージ装着車両のみに用意されたオプションのマグネシウム鍛造ホイールも装備されているようです。
911GT3 RSは、チタニウム製のロールケージや、カーボンバケットシート等のおかげでそもそも軽いのですが、ヴァイザッハ・パッケージによって、車重はさらに18kg近くも軽減されました。
4.0リッター・水平対向6気筒ガソリン自然吸気エンジン(527ps)は、9000回転のレブリミットまでキレイに吹け上がっています。
200km/h時のダウンフォースは標準のGT3の倍だそうで、自然吸気エンジンと相まって、中高速コーナーでも非常に扱いやすそうです。
筆者は車載映像のドライバーのテクニックに関心したのですが、アタックを担当したのはワークス・ドライバーのケビン・エストレだったようですね。
911RSRでル・マン24時間レースを戦っているドライバーですから、上手くて当然です。
6位 ラディカル SR8

画像の出典: By Alf van Beem (Own work) [CC0], via Wikimedia Commons
イギリスのバックヤード・ビルダーであるラディカルが開発したSR8は、見た目こそレーシングカーですが、ナンバーを付けて公道を走れる市販車です。
このSR8がニュルで記録したタイムは、6分56秒06でした。
オートバイのスズキ・ハヤブサのエンジンを流用して製作されたオリジナルの2.8リッター・V8自然吸気エンジンは、360psを発生します。
パワーはそれなりですが、車重は725kgしかありませんから、ニュルで7分を切れるわけです。
5位 ランボルギーニ ウラカン・ペルフォルマンテ

ウラカンの最速グレードが5位にランクインしました。
タイムは6分52秒01となっています。
ウラカン・ペルフォルマンテに関しては、以下のリンク先で詳しく紹介しているので、ぜひそちらもご覧ください。
ランボルギーニ・ウラカン・ペルフォルマンテ ニュル最速の市販車
4位 ラディカル SR8 LM

6位にランクインしたSR8を、460psにパワーアップさせたモデルが「SR8 LM」です。
ハイパワーかつ軽量なSR8 LMは、6分48秒というタイムを記録しました。
3位 ポルシェ 911GT2 RS(タイプ991.2)

911GT2 RSが6分47秒30を記録しました。
やっぱりポルシェがナンバーワン!と言いたいところですが、「ガソリン車では」という条件付きでも2位止まりです。
911GT2 RSに関しては、以下のリンク先で詳しく紹介しているので、ぜひそちらもご覧ください。
ポルシェ新型911GT2 RS 史上最高、そして最後の991
911GT2 RSのアタックラップの映像が公開されました。
911GT2 RS MR

6分40秒3という最速タイムを叩き出した911GT2 MRは、WEC(世界耐久選手権)でポルシェのワークスチームを運営していることでもおなじみのマンタイ・レーシングが手がけた車です。
車名のMRはマンタイ・レーシングを意味します。

マンタイ・レーシングから購入可能だというこのマシンは、スタンダードな911GT2 RSとパワー・トルクこそ変わらない(700ps・750Nm)ものの、より大きなリアウイングに交換され、カナードが追加されている他、シャシーにも改良が加えられているようです。
アタック時に装着されていたレーシングシートだけは市販品ではないようですが、これは安全上の理由で装着されたものであって、軽量化には貢献していないとポルシェは主張しています。
市販されるとはいえ明らかにチューニングカーですから、総合1位にランキングするわけにはいきません。よって911GT2 RSの項目に追記するだけに留めておきます。
アタックラップの動画を見ると、車体のスタビリティが非常に高いことがわかります。
アヴェンタドールSVJよりも挙動が穏やかで、乗りやすそうです。
実際のアタックラップもこの1周のみだったそうなので、扱いやすい車なのは間違いないでしょう。
縁石に乗っても全く挙動が乱れていませんし、コーナリング中にスロットルを開き始めるタイミングも早く、クリッピングポイントを過ぎるとすぐ全開になっています。
2位 NextEV Nio EP9

2位はなんと電気自動車(EV)です。
EVベンチャー「NextEV」が開発したNio EP9は、ニュルブルクリンクで6分45秒90というレコードを叩き出しました。
市販予定とはいえ、発売前の車のラップタイムをランキングに加えることには異論もあるでしょう。
しかしEVで記録したことには歴史的意義がありますから、今回はランキングに入れてみました。
Nio EP9に関しては、以下のリンク先で詳しく紹介していますので、ぜひそちらもご覧ください。
1位 ランボルギーニ・アヴェンタドールSVJ

電気自動車のプロトタイプすら凌駕する6分44秒97というタイムを記録したのは、ランボルギーニ・アヴェンタドールSVJです。

Pirelli P Zero Trofeo Rタイヤを装着したアヴェンタドールSVJには、ウラカン・ペルフォルマンテで導入されたアクティブ・エアロ・システム(Aerodinamica Lamborghini Attiva, ALA)の最新バージョンが装備されています。
正確な車重とパワーは不明なもの、車重はSVの1525kgよりも20kgほど軽く、V12は770psにパワーアップされている可能性が高いです。
今回のアタックを担当したのは、ランボルギーニワークスドライバーのマルコ・マペッリです。
日本のスーパーGTにもエントリーしており、レースでも際立った速さを見せています。
アタックラップのオンボード映像を見ると、テールスライドするシーンが結構多いです。
オーバーステア気味のセッティングなのか、それともV12の重量ゆえかはわかりませんが、ヒヤリとする場面もあります。
それでもタイムを出せてしまうのは、やはりドライバーの腕ですね。
アクティブエアロの効果は、中高速コーナーで如実に表れているようです。
映像で印象的だったのは、低速コーナーの旋回速度ですね。
スロットルを開けながらグイグイ曲がっていけるのは、おそらく電子制御の効果でしょう。
番外編その1 ニュルブルクリンク最速のレーシングカー
ポルシェ 919ハイブリッドevo

レーシングカーまで含めたニュルブルクリンクの最速タイムを実に35年ぶりに更新したのが、ポルシェ919ハイブリッドevoです。
WEC(世界耐久選手権)に参戦し、ル・マン24時間レースを3連覇した919ハイブリッドを、ポルシェ自らがタイムアタック用に改造しました。

919ハイブリッドevoが記録したタイムは、なんと5分19秒55です。
かつてのレコードタイムが6分11秒3(ポルシェ956C)ですから、もはや異次元のタイムですね。
レコードラップのオンボード映像を見てみると、市販車の走り方とはまるで異なっています。
車体をフラットに保たないとダウンフォースが抜けてしまうために、縁石はほとんど使っていません。
名物コーナーのカルッセルでも、アウト側の平らな部分を走行しています。
720psのエンジンに440psのモーターという組み合わせは強烈で、短いストレートでもあっという間に250km/hオーバーの領域に到達するほどです。
その速度を保ったままコーナーリングしていくのですから、速いのは当然ですね。
番外編その2 ニュルブルクリンク最速の4ドア車
ニュル最速の4ドア車は、AMG GT 63 Sです。
AMG GTの4ドア版ですね。タイムは7分25秒41でした。
実はジャガー XE SV プロジェクト8が、2017年に7分21秒23というタイムを出しています。
ところがXE SV プロジェクト8は、見た目こそ4ドアセダンなものの、アタック車両は後部座席が除去され、その空間にロールケージが装着された2シーターです。
一方、AMG GT 63 Sには、きちんと後部座席が残っています。
よって単にドアが4枚ついている車という条件であれば、ニュル最速はジャガー XE SV プロジェクト8です。
4ドア・4人乗りという条件ならば、最速はAMG GT 63 Sとなります。
また、ジャガーの方は300台限定生産であることも考慮する必要があるでしょう。
最後まで読んでいただきありがとうございます。以下の関連記事もぜひご覧ください。
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